おにぎりの雑学

おにぎりを前にすると、いつでもとても懐かしく、時には、何となく家に居ても食べたくなるものです。

夕飯におにぎりだったりすると、何となく嬉しくなってしまうのも不思議です。


おにぎり

おにぎり(御握り)とは、炊飯米のみまたは、炊飯米と何らかの具材を組み合わせた料理を指します。

一般的におにぎりの具材は、梅・鮭・昆布などが定番となっています。


従来のおにぎりだけでなく、具材を中に入れて炊飯米で包む料理もすべておにぎりです。


 おにぎり(御握り)は、ご飯を三角形・俵形・球状などに加圧成型した食べ物です。

通常は掌(てのひら)に載る程度の大きさに作ります。

「にぎり」「握り飯(にぎりめし)」「握飯(にぎりめし、にぎりいい)」、「むすび」「おむすび(御結び)」「おつくね」などともいいます。

携行性に優れており、手づかみで食べられることから、日本で古くから今日に至るまで携行食や弁当として重宝されています。


元々は残り飯の保存や携行食として発達したが、その後は常食としてのおにぎりが主流となり、現代ではコンビニエンスストアやスーパーマーケットでも販売されています。

携行する必要がない居酒屋や定食屋でも提供されるほど、日本の食文化に定着しています。

日本のコンビニエンスストアや外食・中食店の海外進出、日本滞在経験を持つ外国人の増加に伴い、世界各国でおにぎりが販売されるようになっています。

表記としてのおにぎり


日本おにぎり協会では、「おむすび」でなく「おにぎり」と呼びます。

NHKのおにぎり調査の結果からも「おむすび」と「おにぎり」は地区や形状によって名前が変わるということが分かっています。

そして、NHKのアンケート調査によると約90%の人が「おにぎり」と読んでいることが分かりました。

そのため、日本おにぎり協会では「おにぎり」と呼ぶべきだと考えているとのことです。


古代の炭化米として各地から出土

1987年(昭和62年)11月12日、能登半島の中央部にある杉谷チャノバタケ遺跡(石川県鹿島郡)の弥生時代中期(約2000年前)層に属する竪穴式住居の壁際から、握り飯と思われる炭化した米粒の塊が単独で出土しました。

この炭化米から人間の指によって握られた痕跡が発見されており、当初「最古のおにぎり」として報道されました。

その後の研究では、炊かれて握られたものというより、おそらく蒸された後に焼かれたものであり、言わば粽(ちまき)に近いものとされました。

それ以降、この遺物は学術上「粽状炭化米塊(ちまきじょう たんかまい かい。:チマキ状炭化米塊)」と呼ばれています。

 また、奈川県平塚市ある、北金目塚越遺跡の竪穴式住居跡の弥生時代後期後半(3世紀)遺構からは、握り飯状に固まった炭化米が発見されていますが、これは、握り飯の可能性もあるものの、表面についた籠の痕跡の形状から、握らず籠に入れただけの飯の塊が炭化したものと考えられています。(平塚市の管理名称は「おにぎり状炭化米」)

さらに、神奈川県横浜市に所在した北川表の上遺跡(きたがわおもてのうえ いせき)にて、1984年(昭和59年)の発掘調査で、古墳時代後期(5世紀後半- 6世紀後半、約1500-約1400年前)の竪穴式住居跡から握り飯と見られる炭化米の最大長約15cmという大きな塊8個が弁当箱に収められた形で出土しています。


初めて書物に記載されたおにぎり

奈良時代初期の養老5年(西暦換算:721年)に成立した地誌『常陸国風土記』の「筑波郡」条に註釈があり、現在知られている限りでは、そこに見られる「握飯(当時の読み:にぎりいひ、現代の読み:にぎりいい)」が、握り飯とかおにぎりとか様々に呼ばれる料理の記録上の初出となっています。


おにぎりの起源は「屯食(とんじき)」

(おにぎり)の直接の起源は、平安時代の「屯食」(とんじき)という食べ物と考えられています。

この頃の「屯食」は大型の楕円形(1合半)で、使われているのは蒸したもち米でした。

「屯食」が意味するものは時代によって異なり、江戸時代に入ると公家社会では現在の握り飯のことを「屯食」と呼ぶようになりました。


おにぎりに海苔はかなり後のこと

鎌倉時代末期頃からは、うるち米が使われるようになりました。

当時の握り飯は飯をただ握り固めたものか焼き固めたものでした。

表面に海苔を貼り付けるようになったのは海苔の養殖が普及し、加工された四角い板海苔が「浅草海苔」として広く販売されるようになった江戸時代後期の元禄年間以降と見られています。

ただし幕末間近の嘉永6年(1853年)に編纂された『守貞謾稿』には、握り飯に海苔を巻くとは記載されておらず、一説でははるかに時代を下って1930年(昭和5年)に神戸沖で行われた観艦式の際の海苔景気がきっかけであったともいわれています。

海苔は栄養もあり、表面に貼り付ければ食べる際に手に飯粒が付着しない。

その便利さも相まって海苔は握り飯に欠かせない食材になったとしている。


握り飯は戦時には兵糧 

また、握り飯は古くから戦場における携行食(兵糧)としても活用されました。


大日本帝国陸軍では兵食の基本となる米麦飯を1合ずつ球形に握り、それを1食当たり2個携行するのが標準でした。



しかし水分を多く含むため、熱帯など高温多湿な環境下では腐敗しやすく、逆に寒冷地では凍結しやすいという難点があったため、乾パンなどさらに保存性に優れた糧食も開発され制式採用されました。


小売店でおにぎり販売競争

おにぎりと言えば従来は一般家庭で作られるものでした。

第二次世界大戦後の復興期を経て高度経済成長期へ突入してゆく日本社会において、1952年(昭和27年)にスーパーマーケット、次いで1971年(昭和46年)にコンビニエンスストアという新しい小売業態が登場してきました。

コンビニでの販売を皮切りに作り置きのおにぎりがそういった小売店で販売されるようにもなりました。

加えてそれ以外の業態の専門店でも製造販売される商品になっていきました。



食品を扱う小売店の弁当コーナーを支える商品としておにぎりは重要視され、特にコンビニでは各社ともに熾烈なおにぎり新商品開発合戦・顧客獲得合戦を繰り広げています。 


革新的包装技術「パリッコフィルム方式」

業者が作り置きのおにぎりを提供するにあたっては、包装技術の革新が普及の鍵を握っていました。

優れた包装の開発がこの市場の成立と拡大を可能にしました。

1978年(昭和53年)に日本のセブン-イレブンが「パリッコフィルム方式」と呼ばれるおにぎり専用のフィルム包装システムを開発し、国内で売り出しました。

作り置きの海苔巻きおにぎりといえば、それ以前には、巻かれた海苔が飯の水分に触れているために少なからずしっとりしているものでした。



巻きたてのおにぎりのように、本来の海苔がもつ「爽やかさにも繋がる『パリパリ』」の食感と風味を味わえないものでした。


パリッコフィルム方式では食べる直前まで海苔と飯がフィルムで隔てられていて食べる段になって初めておにぎりとして完成する形を執っているため、パリパリの食感と風味を消費者に届けることが可能になりました。

この新しさは消費者に大いに受け入れられ、以来、パリパリおにぎりがコンビニエンスストアの主力商品になりました。

ただ、パリッコフィルムはそれを剥がして海苔で巻くまでの作業が煩雑でした。

1970年代後半、長野県の惣菜屋が手軽に海苔を巻ける画期的なパッケージを考案したことでそれが変わりました。

そのパッケージに目をつけた問屋が実用化し、人気を博しました。


その頃、コンビニの数はまだ少なく、パリパリおにぎりはどこでも買えるわけではなかったため、個人経営のパリパリおにぎり専門店が各地に生まれ、パリパリおにぎりブームが起きました。

また、そのフィルムは家庭用に販売されたことで、「家庭で作るおにぎりの海苔はしっとりしているもの」というそれまでの常識も覆りました。


改良されたパラシュート包装方式

その後、1982年(昭和57年)にセブン-イレブンが初期型の「セパレート方式」を開発しました。

おにぎりを右へ左へと転がしながら開封する方式でした。

しかし海苔を巻くのが大変で、失敗してしまう消費者がまだまだ多かったため、そこでセブン-イレブンは2年後の1984年(昭和59年)に「パラシュート方式」を開発しました。

三角形の頂点からわずかに飛び出しているフィルムを摘まんで引き抜くこの方式は、消費者に要求される動作が至極単純で、失敗することが少なくなりました。

ただし、別資料ではパリッコフィルム方式発売の翌年である1979年(昭和54年)7月に早くも改良型と言える「パラシュート方式」を採用した商品「引っ張るだけのおにぎりQ」を志のぶ寿司(現・シノブフーズ)が発売しています。


最新の「カットテープ波型方式」

「パラシュート方式」は、引き抜きやすくするための油を使っていたため、食感や風味が損なわれるという問題がありました。

そこで、セブン-イレブンは1986年(昭和61年)に「カットテープ方式」を開発しました。

この新方式は、真ん中のテープを引き抜いたあと左右のフィルムを外す2段階方式で、油も使わず簡単であったため、一気に普及しました。

セブン-イレブンはさらに、改良型にあたる「カットテープ波型方式」を2014年(平成26年)に開発しています。

これは、三角形の下辺にある開封部が従来品ではまっすぐに切れる方式であったのを、波型に変えてより広く開封できるよう工夫を加えたものです。

抵抗が少なく、横を引っ張る際の力も小さくて済む方式でした。 

また、2001年(平成13年)12月に高級おにぎりが販売市場に登場した際、初めての試みとして包装に和紙が使用され、以後、定着していきました。


コンビニおにぎりが三角な理由

丸く握るよりも、同量で三角に握る方がボリュームが多く見えることです。

また、三角で面で固定できるので、運搬中にコロコロと転がりにくく、ケースに詰める時も丸型のように隙間ができないので効率よく運べるためです。


専門店

おにぎりに特化したファーストフード的な販売店・中食店も存在します。

座席(イートインスペース)を設けたり、味噌汁なども併売したりして、その場で食べられるように配慮する店もあります。

居酒屋では 茶漬け、麺類などと並んで、一通り飲み食いした後に食べる、いわゆる「シメ」の一品として好まれています。

焼きおにぎりとして提供される場合も多いです。 


家庭のおにぎり 

家庭で作られるものは、遠足や外出に携行するための弁当の主食および、作り置きの昼食などのために、用意されています。

形状は様々で、俗に「爆弾」と呼ばれる大きな球形に握り、海苔を巻いたおにぎりもあります。


作り方によって保存性が変わります。

東日本では海苔は焼き海苔を巻いて風味を味わう傾向ですが、西日本では味付海苔を巻いて味わう傾向にあります。


ふるさとおにぎり百選

1986年(昭和61年)には当時の食糧庁(現・農林水産省総合食料局)と「ふるさとおにぎり百選審査委員会」が共同で全国から応募のあったおにぎり・おむすび・まぜごはんを選考し、「ふるさとおにぎり百選」として発表しました。


おにぎりの記念日

「おにぎりの日」が2つ、「おむすびの日」が1つあります。 

1987年(昭和62年)に杉谷チャノバタケ遺跡で「粽状炭化米塊」が出土した石川県鹿西町(当時)は、この「おにぎり」の発見を記念して「おにぎりの日」を制定しています。

「鹿西(ろくせい)」をもじった「6」と毎月の「米食の日」とされている「18日」を合わせて「6月18日」とし、2002年(平成14年)10月1日、日本記念日協会がこれを認定しました。

これに加えて、鹿西町の合併後の自治体である中能登町は町の合併10周年を機に2015年(平成27年)6月19日付で「11月18日」も「おにぎりの日」に制定しました。

こちらは「おにぎり」が発見された「11月」と毎月の「米食の日」である「18日」を合わせた日付で、日本記念日協会に認定されています。


2000年(平成12年)12月26日、JA等で組織された「ごはんを食べよう国民運動推進協議会」が、阪神・淡路大震災の日である「1月17日」を「おむすびの日」に制定し、日本記念日協会に認定されました。

震災当時、ボランティアによる炊き出しに被災者が励まされたことに因んでいます。


呼び方

日本国内でも、地方あるいは家庭によっては「おむすび」や「握り飯」などと呼ばれます。

単に「むすび」や「にぎり」などと呼ぶ場合もあります。 

地域的には、通説では西日本は「おにぎり」、東日本は「おむすび」とされます。

『日本国語大辞典』(小学館)は東京でも古くは「おむすび」であったが、上方から新しく言葉が広まったとされます。

一方、近畿地方は「おにぎり」が優勢で、九州・沖縄地方では「おにぎり」や「にぎりめし」が大半を占めますが、通説とは異なり、北海道、関東地方、四国では両者が拮抗し、中部地方及び中国地方では「おむすび」が優勢とする研究もあります。

2013年の調査によると、日本全国では「おにぎり」が89%で、10%の「おむすび」を圧倒しています。


地域別でも全都道府県で「おにぎり」が「おむすび」を上回り、「おむすび」が比較的多いのは中国地方の山口県(45%)、広島県(38%)等でした。

「握りまま」(青森県)、「おにんこ」(栃木県)、「にんにこ」(和歌山県)といった方言もあります。

歴史的には、古くは「握飯」(にぎりいい)と呼ばれていたものが「握り飯」(にぎりめし)に変化し、女性語の「おにぎり」になったと考えられます。

「おにぎり」「おむすび」どちらも握り飯の丁寧語ですが、後者の呼び名は元は子供語、御所の女房言葉でした。

また、国語学者の吉田金彦は「おむすび」は「おにぎり」や「握り飯」と比べて婉曲的な表現で丁寧な語感があり、寿司にも握りがあり、上等であるが、むすびはない、むすびは飯だけの粗末な響きがあるとしています。

おむすびと言えば三角に握ったものというイメージが強いです。

「おむすび型」というように三角形をした物のことを指す代名詞として使われる場合があります。

おにぎりやおむすびの語源、両者の違いについては種々の説があります。

・おにぎりは形を問わないが、おむすびは三角型という説。

・おにぎりが三角型で、おむすびは俵型という説。

・米を握り固めた状態がおにぎりで、おにぎりをわらで巻いて運搬しやすくした状態がおむすび説。

・丸形で海苔(しめった海苔)が全面を覆うのがおにぎり、三角で乾いたパリパリの海苔が一部を取り巻くのがおむすびという説。

・三角の握り飯を「おむすび」というのは造化の三神に由来するとの説。

・おにぎりの呼び名は江戸時代からの呼び方でおむすびの呼び名はそれ以前からの古くからの呼び名。

・東日本でおにぎり、西日本でおむすびと別名でよんでいたのが混交したという説

・握り飯またはおにぎりの方が歴史が古く、その女房言葉もしくは丁寧語としておむすびといったという説

・昔の日本人は山を神格化し、その神の力を授かるために米を山型(神の形)にかたどったのが握り飯を三角形に作った由来との説もあります。

・おにぎりは「鬼を切る」という言葉に似ているため、魔よけの効果があるとの説もあり、鬼退治に白飯の握り飯を投げつけたなどの民話もあります。

・ハワイなど明治期に多くの日系人が移民した国や地域ではおにぎりではなく「MUSUBI」という呼称が一般的となっています。


おにぎりの形

三角形・円形・俵形・球形の4つが主要な型とされます。

江戸時代後期に編纂された類書『守貞謾稿』には「三都トモ、形定ナシト雖ドモ、京坂は俵形ニ制シ・・・」「江戸ニテハ、円形、或ハ三角等・・・」と記されており、京都・大坂では俵形、江戸では円形・三角形が一般的であったことが窺えます。

江戸では円形よりも三角形が多かったともされます。

三角形 

高さの無い三角柱の形。握りやすいので一般的です。

関東地方発祥といわれ、山形に握った頂点に神が宿ると信じられたため、三角形になったとの説もあります。

コンビニエンスストアで販売されているおにぎりの主流の形状です。

俵形 

 米俵と同じ形です。

言い換えれば、横に倒した円柱形です。

弁当箱に収まりやすく幕の内弁当で用いられます。

かつては関西の標準型でした。 

円形

高さの無い円柱形です。

主に東北地方で見られます。

ゴーダチーズや鏡餅のような形です。

球形

文字どおりの球の形です。

手毬形ともいわれます。

九州に多いですが、日本全国に分布します。

方向性がないので、美しく球形にするのが難しいです。

四角形

高さの無い直方体です。

九州や台湾などで見られます。

押し寿司に近いです。 

その他、梅の花形、星形などがあります。

型に押し入れて作る場合、様々な形のものがあります。


焼きおにぎり

焼きおにぎりと呼ばれる調理法もあります。


焼きおにぎりとは、白飯を握ったのち、焼き網やグリル、専用の道具である焼きおにぎり器などで焦げ目が付くまで焼き、醤油や味噌を塗って、さらに炙ったものです。

焼きおにぎりは冷凍食品として市販もされている。


おにぎらず

おにぎらずは、ご飯を手で握らず、大判の海苔で風呂敷包みのように包むだけのおにぎりの一種です。

「おにぎりとは違って手でギュッとは握らない」ため、おにぎらずと呼ばれています。

うえやまとちの長期連載料理漫画『クッキングパパ』の COOK.213(第213話)「超簡単おにぎり おにぎらず」(1990年 初掲載。)で紹介されたものがオリジナルであり、考案者は漫画家本人の夫人とのことです。 


天むす

天むす(てんむす)とは、海老の天ぷらを具にしたおにぎりで、名古屋めしの一つとして知られますが、三重県津市発祥の津名物でもあります。