高齢者が無気力になるのはなぜか

最近89歳になる義母が、何もする気がしないと無気力になりがちです。

歩くことが不自由になり、心臓も悪いのでそのような気分になりがちなのかもしれません。

93歳の義父はまだ一人で歩き回れるので、外の刺激が多いのかもしれません。

しかし、黙して多くを語らないので、義母と同じように感じているのかどうかは分かりません。

もう若くはない私自身の歳を考えれば、明日は我が身ですから、とても心配になります。


高齢者の無気力

高齢者は、ふっとした時にやる気がなくなり、無気力状態になっていることがあります。

日常のあらゆる事象や自分自身に対してやる気や関心が失われていく、いわゆる"無気力"に陥るケースもあります。

このような無気力状態は「アパシー(apathy)」と呼ばれるもので、暴力や徘徊などとは異なり、はっきりと目に見えて現れる症状ではありません。

そのため、周囲の人たちも症状の進行に気づくのが遅れてしまいがちです。

もともと、一人でいるのが好きでぼーっとしていることが多い高齢者もいます。


しかし、一人でいることが多くても、いつもと違う無気力さを感じた時は注意が必要です。

そのまま、老人性うつ病や、認知症の第一歩へ踏み出してしまうこともあるので、周囲が注意してあげる必要があります。


アパシーApathy

アパシーは、もともと社会学で用いられていた概念で、世の中で起こる事象に対する無関心を表す言葉でした。

無気力症候群(アパシーシンドローム)とも呼ばれます。

しかし近年、心理学でも使われるようになり、周囲の事象に対してだけでなく、自分自身の身の回りのことでさえ、無気力・無関心になってしまう状態を指す言葉として用いられるようになりました。

高齢者にアパシーが見られる場合、これまで実践されてきた生活習慣が乱れ、健康面や衛生面であらゆる無精が目立つようになります。

例えば、今まで散歩など外出することを習慣にしていた人が急に引きこもりがちになったり、入浴や歯みがき、着替えをする気力がなくなってしまうことがあります

特に一人暮らしや夫婦ともに高齢者の世帯の場合、周りの目が行き届きにくいものです。

久々に自宅を訪れてみたら、脱いだ洋服や下着が散乱していたり、部屋中ホコリまみれだったりという場合は、アパシーの症状が出ている可能性が高いと言えます。

うつ病では、常に、気持ちが暗く沈みがちになります。

アパシーは、意欲的になることもなければ、気分が落ち込むようなこともありません。

何事にも特に関心を示さない、極めてフラットな心理状態なのです。

うつ病には、抗うつ剤が有効とされ、実際多くのうつ病患者に抗うつ剤が処方されていますが、アパシーについては、治療に有効な薬が存在しません。

アパシーは家族の働きかけによって意欲を促進させ、症状の緩和を試みることができます。 

そのために、まずは規則正しい起床、就寝、食事の時間を送ることを促します。

自発的に体を動かすことを促し、できるだけ手を貸さずに見届けることも必要です。




無気力・無表情になってしまう原因


1)身体を動かすことがしんどいため動きたくない

2)そのため、行動することそのものに意欲がなくなる

3)昔出来ていたことが出来なくなっていること(排泄の失敗、誤嚥、物忘れなど)で自尊心が傷つく

4)親しい人との死別にショックを受ける

5)老化や認知症により物事の理解力が低下し、何を言われているのかわからない

6)感受性が低下し、感情が動きにくくなる

アパシーや老人性うつ病になると、何かをきっかけに急激に無気力になってしまいがちになるので、周りが気を付けてやらないといけません。


初期症状


無気力・無表情になる前には、次のような症状が現われることが多いようです

1)家族の会話に参加せず眺める時間が増える

2)ずっと続けていた習慣や趣味をやめてしまう

3)記憶力が低下する

4)注意力が散漫になる


コミュニケーション

高齢者になると言葉でのコミュニケーションよりも非言語コミュニケーションの方が重要になってきます。

表情(笑顔)、優しく触れる、楽しい・心地よい映像や音楽などのほうが高齢者の心には伝わりやすくなります。

高齢者は難しい文章や言葉を理解する能力がだんだん衰えていきます。

出来るだけ分かりやすく伝えるようにします。

会話のペースが早いと高齢者は理解することが出来ず、反応が出来なくなっていきます。

高齢者のペースに合わせて会話をすることが必要です。

加齢とともに聴力が低下していきますが、高音より低音のほうが聞き取りやすいと言われています。

無理のない程度に声を低くするほうが高齢者にとっては聞き取りやすくなります


予防

他人と会話をする機会を持つことが予防改善に繋がることがあります。

簡単な読み書きや計算、脳トレなどによって学習療法を行います。

数独などを利用してゲーム感覚でそのような機会をつくるのも良い方法です。

手と頭を使うことで脳が活性化し、問題を解くことで達成感も得られます。

もちろん若い頃に比べれば解ける難易度は低く、かかる時間も長いです。

ですが大事なことは何が出来なくなったかではなく、今何が出来るのかです。

解けなかったことを残念がったり叱ったりするのではなく、解けたことを褒めるようにします。

音楽を聞いたり自分で演奏したりすることで脳を活性化させる音楽療法も有効だと言われています。

若い頃に聞いていた曲を聞くことによって当時の記憶が蘇り、元気になる場合もあります。

若く元気に活躍していた頃の話をしてもらうのも有効です。

当時の記憶・感覚が蘇ることでイキイキとした活力を取り戻すことがあります。

当時の思い出の品(写真)があるとより効果的です。