馳星周の「約束の地で」を読んで
馳星周の「約束の地で」を読み終わりました。
馳星周は「少年と犬」で第163回直木賞を受賞しましたが、もっぱら図書館で本を借りて読む主義の私は、どのような作家か、1冊借りて読んでみることにしました。
5つの短編が、それぞれの話の中に登場する人物によって、リレーのようにつながっています。
第1話 ちりちりと……
焼肉屋を共同経営していた友人に騙されて追い出され、ほとんど一文無しになった誠は、自らの命を絶つために生まれ故郷の寂れた街へ帰ってきました。
その街の居酒屋でかつての床屋の店主から、父親が妻と誠の妹が亡くなった火災で多額の火災死亡保険金を得、勤めていた郵便局の退職金と合わせて多額の金を持っているという噂を聞きました。
その金を盗み出そうと、父親が一人で済む山小屋に忍び込み、母と妹が眠る墓に隠されていた現金を見つけて逃げようとするが見つかって、父親の猟銃で撃たれて死んでいくというストーリーでした。
北海道の美しい自然と、容赦ない冬の寒さが描かれていて、精気という精気が次第に抜け出ていく男の上にちりちりと音を立てながら雪が降ってきます。
題2話 みゃあ、みゃあ、みゃあ
第一話の誠の父親のかつての愛人だった美恵子が、実家に帰ってきて、アルツハイマーで呆け、毒ずく母親の三津の介護と孕んだ猫の世話で、逃げ場のない毎日を送っていく日々がつづられています。
美恵子は自分を捨てた外車ディーラー土屋から50万円を借りて、勤めている飲み屋のオーナーの高田と、店の常連客のガソリンスタンドの店主の山口に頼んで、三津を老人介護施設に入れようします。
高田と山口が迎えにきたその日、グルになった3人に殺されると思い込んだ三津は車に乗ることを拒絶します。
美恵子は三津が可愛がる猫の生んだ5匹の子猫を段ボールに入れて、冬の冷たい川に流します。
堂々巡りの出口のない暗く重い閉塞感を感じさせる話です。
第3話 世界の終わり
第2話の美恵子を捨てた外車ディーラーの土屋の15歳の息子である智也の話です。
かつて友人をナイフで刺した中学生の智也は家で閉じこもりとなり、愛犬レオと近くの公園にやってきます。
そこで、かつて高校サッカーのエースで、事故で足に怪我を負った19歳の雅史に脅されて、中古のスクーターを売りつけられます。
愛犬レオをリュックに入れ、スクーターを駆って、土管が積み重なる勇払原野の、智也が世界の終わりの場所と呼ぶことになる場所に行きます。
智也は、霊園の墓を暴き、ボストンバッグを骨で満杯にしてスクーターで運び、世界の終わりを骨で埋め尽くそうとします。
帰る途中で、スクーターが故障し、呼び止めた警察官を持っていたナイフで、油断の隙をついて刺し殺し、世界の終わりに埋めます。
愛情を知らない孤独な少年の幻想世界は、煌めく満点の星の下で骨を撒くという、美しくも哀愁に満ちた光景です。
第4話 雪は降る
第3話の智也にスクーターを売りつけた雅史が、暴走族リーダーが彼氏だった美穂を乗せて、函館まで走る話です。
雅史の1つ年上の美穂は、両親が旅行で留守中に、レイプしようとした弟を刺し殺していました。
雪の降る北海道をノーマルタイヤを履いたホンダステップワゴンを、ひたすら函館に向かって走らせる、2人の危うい逃避行は、逃げ場のない行き止まりを感じさせます。
函館直前で、雅史は、信号で、急ブレーキを踏んで、信号待ちで停止していた4
駆に追突します。
4駆を振り切って逃げた雅史と美穂は、函館山をステップワゴンで登っていきましが、山腹の途中で通行止めの遮断機に阻まれます。
どこまで走っても、行き着くことのない、冷たく荒涼とした北海道の風景と重なる話です。
第5話 青柳町こそかなしけれ
智也は、霊園の墓を暴き、ボストンバッグを骨で満杯にしてスクーターで運び、世界の終わりを骨で埋め尽くそうとします。
帰る途中で、スクーターが故障し、呼び止めた警察官を持っていたナイフで、油断の隙をついて刺し殺し、世界の終わりに埋めます。
愛情を知らない孤独な少年の幻想世界は、煌めく満点の星の下で骨を撒くという、美しくも哀愁に満ちた光景です。
第4話 雪は降る
第3話の智也にスクーターを売りつけた雅史が、暴走族リーダーが彼氏だった美穂を乗せて、函館まで走る話です。
雅史の1つ年上の美穂は、両親が旅行で留守中に、レイプしようとした弟を刺し殺していました。
雪の降る北海道をノーマルタイヤを履いたホンダステップワゴンを、ひたすら函館に向かって走らせる、2人の危うい逃避行は、逃げ場のない行き止まりを感じさせます。
函館直前で、雅史は、信号で、急ブレーキを踏んで、信号待ちで停止していた4
駆に追突します。
4駆を振り切って逃げた雅史と美穂は、函館山をステップワゴンで登っていきましが、山腹の途中で通行止めの遮断機に阻まれます。
どこまで走っても、行き着くことのない、冷たく荒涼とした北海道の風景と重なる話です。
第5話 青柳町こそかなしけれ
第4話で、追突された4駆の30代の漁師、保の妻の安以子が主人公です。
安以子は、追突されて帰ってきた保の、見境のない怒りによって、振り回され引き戸にたたきつけられて大怪我を負います。
安以子は、日頃から保のDVのトラウマに怯えながら、毎日を送っていました。
幼馴染の恵理も、また水産加工会社の会社員の夫の勝久からDVを受けていました。
恵理は、安以子に夫の交換殺人を持ち掛けますが、安以子は取り合わず帰っていきます。
ある夜10時頃、恵理から電話を受け、駆けつけた安以子は、勝久から頬骨を骨折するほど殴られ、どす黒く晴れ上がった無残な恵理が、勝久に踏み殺された愛犬のチワワを抱きかかえて、勝久を殺してと絞り出すように叫ぶのを目にします。
夫の保も恵理の姿を目にし、立ちすくみますが、恵理から保が安以子に対して同じことをしてきたという言葉をたたきつけられます。
恵理へのDVは警察に突き出さないかわりに、夫が別居して、毎月生活費、家賃を払ってもらうことで決着します。
保は安以子に許しを請いますが、安以子は恵理から人は簡単に変わらないと言われます。
入院している恵理に頼まれて、保とともに、恵理の愛犬の葬儀を終えて帰る途中で寄ったラーメン屋で、偶然出会った勝久を保が見つけました。
形相が一変した保は、制御できない怒りに我を忘れて殴りかかり、許しを懇願し、口から血を流す勝久の顔を踏みつけにします。
それを見ていた安以子は、みっともなく命乞いする勝久の姿に自分の姿が重なり、震えが止まらなくなります。
その場を立ち去った安以子は、また必ず保が我を忘れ、安以子を殴り、保への殺意を抑え込むことができなくなることを想い、出ていくことにします。
抑えきれない感情のどす黒い怒りから、悔恨と止めどない悲しみがあふれ出てくる話です。
安以子は、追突されて帰ってきた保の、見境のない怒りによって、振り回され引き戸にたたきつけられて大怪我を負います。
安以子は、日頃から保のDVのトラウマに怯えながら、毎日を送っていました。
幼馴染の恵理も、また水産加工会社の会社員の夫の勝久からDVを受けていました。
恵理は、安以子に夫の交換殺人を持ち掛けますが、安以子は取り合わず帰っていきます。
ある夜10時頃、恵理から電話を受け、駆けつけた安以子は、勝久から頬骨を骨折するほど殴られ、どす黒く晴れ上がった無残な恵理が、勝久に踏み殺された愛犬のチワワを抱きかかえて、勝久を殺してと絞り出すように叫ぶのを目にします。
夫の保も恵理の姿を目にし、立ちすくみますが、恵理から保が安以子に対して同じことをしてきたという言葉をたたきつけられます。
恵理へのDVは警察に突き出さないかわりに、夫が別居して、毎月生活費、家賃を払ってもらうことで決着します。
保は安以子に許しを請いますが、安以子は恵理から人は簡単に変わらないと言われます。
入院している恵理に頼まれて、保とともに、恵理の愛犬の葬儀を終えて帰る途中で寄ったラーメン屋で、偶然出会った勝久を保が見つけました。
形相が一変した保は、制御できない怒りに我を忘れて殴りかかり、許しを懇願し、口から血を流す勝久の顔を踏みつけにします。
それを見ていた安以子は、みっともなく命乞いする勝久の姿に自分の姿が重なり、震えが止まらなくなります。
その場を立ち去った安以子は、また必ず保が我を忘れ、安以子を殴り、保への殺意を抑え込むことができなくなることを想い、出ていくことにします。
抑えきれない感情のどす黒い怒りから、悔恨と止めどない悲しみがあふれ出てくる話です。
