最近街でよく見かけるスマート・フォーツー
最初は軽自動車より小さく見えて、少し変わった車といった印象でした。
ただ、街の中を移動するという目的に限ったら、あれで充分ではないかと思えます。
フォーツー (Fortwo)は、ダイムラー傘下のスマートが製造・販売する2人乗りの小型乗用車です。
スイスの時計メーカー・スウォッチ・グループの創業者であるニコラス・ハイエックの発案により、ダイムラー・ベンツ(当時)との共同事業で設立されたマイクロカー・コーポレーション(Micro Car Corporation, MCC)により開発が進められた『スウォッチカー』を起源としています。
元々は電気駆動或いはハイブリッド駆動によるマイクロカーとして企図したもので、当初はフォルクスワーゲン (VW) とのパートナーシップを予定しましたが、VWが生産を決定できず、ハイエックはパートナーをダイムラーに求めました。
開発の過程で、MCCは電気駆動またはハイブリッド駆動だけでなく「(スウォッチのように、実用性に徹した)最大限に削ぎ落とした自動車」という当初のコンセプトを放棄せざるを得なくなったため、ハイエックを含むスウォッチ側の多くのメンバーが開発から去ることになりました。
そのため、現在の(ガソリンエンジン駆動の)スマートには元スウォッチチームの計画との共通点はないとされています。
1995年、現在のフォーツーの原型に当たる車両の設計概要がフランクフルトモーターショーで発表されました。
1998年10月にヨーロッパで「ピュア」「パルス」の2車種が市場に導入されました。
1999年には3つ目のバリエーションとして「パッション」が投入されました 。
ディーゼルエンジンを搭載したフォーツーのCO2排出量は88 g/kmです。
ディーゼルエンジンを搭載したフォーツーのCO2排出量は88 g/kmです。
2010年秋に改良投入された第2世代モデルでの導入により、NEDCの CO2排出量は86 g/kmに削減されています。
2代目 スマート・フォーツーW451 (2007 – 2014年)
衝突安全性を考慮して全長が20cm長くなり、「トリディオンセーフティセル」と呼ばれる高張力鋼製のモノコックフレームに交換可能なプラスチック製ボディパネルを組み合わせたボディとなりました。
自然吸気モデル(52kW / 71馬力)とターボチャージャー付きモデル(62kW / 84馬力)が用意されました。
ターボチャージャー付きモデルをブラバスがチューンナップしたモデル(75kW / 102馬力)も存在します。
また、自然吸気モデルには「マイクロ・ハイブリッド・ドライブ」(MHD) と呼ばれる、セルモーターとオルタネーターを一体化させたジェネレーターを用いた運動エネルギー回生システム付きアイドリングストップ機構を備えています。
製造国 | フランス |
---|---|
販売期間 | 2007 – 2014年 |
乗車定員 | 2名 |
ボディタイプ | 3ドアハッチバッククーペ 2ドアコンバーチブル |
エンジン | ガソリン: 1.0L I3 ディーゼル: 0.8L I3 |
変速機 | 5速AMT |
全長 | 2,690mm |
全幅 | 1,560mm |
全高 | 1,540mm |
ホイールベース | 1,870mm |
車両重量 | 750-820kg |
トゥインゴと基本コンポーネンツを共用すべく、全幅が一気に105mm拡大されました。
パワートレーンもトゥインゴと共通化され、メルセデス・ベンツ製の直接3気筒DOHCエンジン(999cc自然吸気または898ccターボチャージャー付き)M281型が採用されました。
2020年以降はスマートの全車種が電動化(EV化)されると発表されています。
製造国 | フランス |
---|---|
販売期間 | 2014年- |
乗車定員 | 2名 |
ボディタイプ | 3ドアハッチバッククーペ 2ドアコンバーチブル |
エンジン | 0.9/1.0L I3 |
変速機 | 5セミAT |
全長 | 2,695mm |
全幅 | 1,665mm |
全高 | 1,555mm |
ホイールベース | 1,875mm |
車両重量 | 750-820kg |
姉妹車 | スマート・フォーフォー ルノー・トゥインゴ |
2代目 スマート・フォーフォーW453 (2014年-)
生産は基本コンポーネントを共用する3代目トゥインゴとともに、スロベニアのルノー・ノボメスト工場にて行われています。
フォーツーと同じく、「トリディオンセーフティセル」と呼ばれる高張力鋼製のモノコックフレームに交換可能なプラスチック製ボディパネルを組み合わせたボディとなり、初代モデルより一回り小さくなっています。
エンジンはルノー、ダイムラー(メルセデス・ベンツ)と、ルノーとのアライアンスを組む日産自動車の3社が共同開発した 999cc 直列3気筒DOHC自然吸気のM281 E10型(ルノー型式:H4D、日産型式:HR10DE)と、898cc 直列3気筒DOHCターボのM281 E09 LA型(ルノー型式:H4Bt、日産型式:HR09DET)へとダウンサイジングされています。
ダイムラーは、第2世代モデルの一つとして、2015年モデルに電気自動車バージョンを追加することを明らかにしました。
現在はメルセデスEQの一バージョン「EQフォーフォー」として扱われています。
名称の由来
「smart」の名称は、創業時のパートナーであったスウォッチ (Swatch) の「S」と、メルセデス・ベンツ (Mercedes-Benz) の「M」に、「芸術」(art) を組み合わせ、英語の「smart(洗練された、気のきいた、賢い、鋭い、活発な、などの意味を持つ)」にかけたものです。