アニメ短編映画「The Danish Poet(デンマークの詩人)」


「デンマークの詩人」(The Danish Poet)は、2006年制作のアニメーション短編映画です。

トリル・コーブが脚本、監督、アニメ化し、リヴ・ウルマンがナレーションを務めました。

カナダ国立映画委員会(NFB)とノルウェーのミクロフィルムASの共同制作で、アカデミー賞の最優秀アニメーション短編映画賞を受賞しています。

「デンマークの詩人」は16分のショートアニメです。

本作品は、シンプルな顔と、柔らかい色調の手描きアニメーションの良さが特徴です。


あらすじ

デンマークの詩人カスパーは、書くことができずに精神科のカウンセラーに通います。

ある日お医者さんから、気分転換を兼ねてノルウェーに行ってみたらと勧められます。

お医者さんは「ノルウェーだったら外国といっても近くて言葉が通じるから」と言います。

彼はノルウェーについて図書館で調べるうちに、ノーベル文学賞を受賞したノルウェーの国民的作家シグリッド・ウンドセットが、実はデンマーク生まれで、ノルウェーに移り住んだ作家だったことを知り、興味を持ちます。

シグリッドの本を読み、感動し、作家に会いに行こうと手紙を書きます。

ところが、ノルウェーに行くと、シグリッドの家にたどり着く前に、雨がひどくなり、雨宿りのために近くの牧場で休むことにします。

するとそこの牧場主は、作家の遠い親戚であると言い、牧場に泊めてもらうことになります。
 
カスパーは、そこで、牧場主の娘インゲボルグに運命的な恋をし、詩を書くようになります。

二人は、仲良くなりますが、彼女には、婚約者がいました。

カスパーは、作家に会うこともなく、彼女と別れることを決心します。

理由は、彼が少し前に読んだ、シグリッドの若き日の体験談「親の反対を押して結婚したことについての悔恨」と自分たちの物語があまりにも似ており、またそれを彼女も知っていたからでした。

同じことは繰り返せないと二人は思います。

偶然にも、彼女こそシグリッドの親戚でした。

彼女は、「再会できるまで、髪を切らない」と言い、髪の毛をカスパーに切って渡します。

ある時、彼女の夫が事故でなくなり、彼女はカスパーに手紙を書きます。

しかし、郵便配達人が、手紙を落とし、ヤギに食べられてしまいます。

彼女とカスパーは会うことはできずに長い月日が過ぎ、髪はどんどん伸びていきます。

その髪を結うことのできるのは、近くの少女だけで、彼女はその少女を大切にしていました。

作家シグリッド・ウンドセットが亡くなり、彼女はお葬式に行きます。

すると、そこには、カスパーが来ていて二人は再会を果たします。

その後、二人は結婚してデンマークのコペンハーゲンで一緒に幸せな生活を送るようになります。

カスパーが彼女の長い髪がとても好きだというので、彼女は長い髪を決して切ろうとはしませんでした。

しかし長い髪にカスパーが足をつまずかせ、親指を怪我したしたことから、彼女はとうとう長い髪を切ることを決心します。

そして、あの少女を呼ぶことにしました。

少女は、荷物を持って、ノルウェーからデンマークへ向かいますが、その電車の席の隣の青年は、カスパーの詩のファンで、これから、彼に会いに行くといいます。

二人は、一緒に行き、カスパー夫妻と会います。

少女は無事に彼女の長い髪を切ることができました。

少女と青年も恋に落ち、このような「両親の出会いの奇跡」が、今この物語を語っているナレーターの私(リヴ・ウルマン)を生みました。