短編映画「おもちゃの国 / Toyland」はドイツナチスのホロコーストを描いた、重くも感銘を与える作品
概要
「おもちゃの国 / Toyland」(原題Spielzeugland)は、2007年ドイツ制作の短編映画で、ヨッヘン・アレクサンダー・フライダンクが監督・共同執筆した作品です。上映時間はわずか13分52秒ですが、重い内容で感銘を与える内容となっています。
2008年第81回米国アカデミー賞 短編実写部門受賞の作品です。
シルバースタイン家が強制収容所へ送られるために連行された朝、息子ハインリッヒが部屋からいなくなっていることに気づき、母親マリアンヌは慌てふためきます。
貨物車の大きなドアをゲシュタポが勢いよく開けると、捕えられたユダヤ人の家族たちが立ったまま、ぎっしりと隙間なく乗せられているのを見て、マリアンヌは目を見開きます。
「おもちゃの国 / Toyland」は、戦争が人々を狂気に陥れ、普通の生活を奪ってしまうことを伝えています。
ショートショート フィルムフェスティバル 2008 – インターナショナル部門オーディエンスアワードも受賞しています。
あらすじ
映画は、1942年のナチスドイツを舞台として描かれています。ドイツ人(映画の中ではアーリア人とよんでいる)のマイスナー家と、ユダヤ人のシルバーシュタイン家は隣人同士であり友人同士でもあります。
それぞれの家族の息子である、ハインリッヒ・マイスナーとデビッド・シルバースタインは、お互いに行き来をしながら一緒にピアノのレッスンを受けるとても仲の良い親友同士でした。
ユダヤ人であるシルバーシュタイン家が、強制収容所へ連行されようとしていました。
まだ小さい子供であるハインリッヒは、なぜシルバーシュタイン家がそんなに早く行かなければならないのかと母親のマリアンヌに尋ねます。
しかし、マリアンヌは息子のハインリッヒに本当の事を話すことができません。
そして彼女は、息子にシルバースタイン家は「おもちゃの国」へ行くのだと嘘をついてしまいます。
息子ハインリッヒは、シルバースタイン家が行くとき、自分も一緒について行き、親友のデビッドといっしょいたいと言いだします。
彼女が息子についた嘘は、裏目に出てしまいます。
シルバースタイン家が強制収容所へ送られるために連行された朝、息子ハインリッヒが部屋からいなくなっていることに気づき、母親マリアンヌは慌てふためきます。
母親マリアンヌは、息子ハインリッヒを必死に探し始めます。
マリアンヌは、ゲシュタポの将校から、お前はユダヤ人かと尋問されます。
マリアンヌが証明書を見せて、ドイツ人であることが分かると、彼らは彼女の話を聞き、息子のハインリッヒを探すことに協力してくれます。
シルバースタイン家を乗せた貨車はあともう少しで発車するところでした。
貨物車の大きなドアをゲシュタポが勢いよく開けると、捕えられたユダヤ人の家族たちが立ったまま、ぎっしりと隙間なく乗せられているのを見て、マリアンヌは目を見開きます。
マリアンヌは彼らに向かって、息子ハインリッヒの名前を呼びます。
数人のユダヤ人がすこし脇に移動すると、シルバースタイン夫妻の苦痛の面差しがそこにあり、マリアンヌを見下ろしていました。
マリアンヌは、シルバースタイン夫人が抱きしめている後ろ姿の少年が息子ハインリッヒだと思い、ハインリッヒと呼びかけます。
少年がゆっくり振り向くと、それはハインリッヒではなく、シルバースタイン氏の息子のデビッドでした。
その時、マリアンヌは、シルバースタイン家の人々が連行されたとき、収容所へ送られていくことが分かっているのにハインリッヒが一緒に連れていかれるわけがないことに気づきます。
しかし、マリアンヌは、ハインリッヒと呼びながら、デビッドに手を差し伸べます。
シルバースタイン夫妻は顔を見合わせ、デビッドをマリアンヌの方へそっと押しやります。
ゲシュタポはデビッドを貨車から降ろし、マリアンヌに渡します。
そのあと、デビッドを最後まで見つめるシルバースタイン夫妻の目の前で扉は勢いよく締められます。
マリアンヌはデビッドをマイスナー家に連れ帰り、ハインリッヒとともに自分の息子として育てていきます。
最後のピアノを連弾する2人の老いた手が、その後デビッドが生き延びて、ハインリッヒとの友情をはぐくんだことを示しています。