歳をとると身体のシワ・シミが増える
体重が減ったために、こうなったのだろうと思っていましたが、老化の症状の一つであると知ってがっかりしました。
同じ年齢でも若く見える人、老けて見える人がいるが、肌の老化は見た目に影響するだけではなく、「体内の老化も表している」と、形成外科医で、細胞の老化にも詳しい北條元治氏は指摘します。
「老化を細胞の減少ととらえると、肌の老化は22、23歳ごろから始まっていると言えます。
「老化を細胞の減少ととらえると、肌の老化は22、23歳ごろから始まっていると言えます。
しかし、細胞が減っても肌としての機能は維持できるため、見た目に影響し始めるのは40代くらいからです」と北條氏は説明します。
細胞の減少は体全体で起こるので、老けて見える人は、血管も老化が進んでいる傾向があります。
肌の老化は、皮膚を構成する細胞が減少して皮膚が薄くなり、弾力性がなくなり始めると見た目に表れます。
肌の老化は、皮膚を構成する細胞が減少して皮膚が薄くなり、弾力性がなくなり始めると見た目に表れます。
老人では加齢に伴い、皮膚最表層を構成する表皮細胞の増殖能が低下するため表皮は薄くなり、表皮の次の層である真皮に含まれる線維芽細胞数が減少するためコラーゲン、弾性線維が減少し、シワやたるみが形成されます。
こういった加齢に伴う変化を「生理的老化」あるいは「自然老化」と呼びます。
これに対し、顔、首、腕などの露光部では、紫外線による影響のため生理的老化とは異なる「光老化」が起こります。
「光老化」では表皮は肥厚し真皮との境界である基底膜のコラーゲンは分解・変性を受け多重化します。
真皮でもコラーゲンの分解・変性が起こり、変性した弾性線維が蓄積されます。
「生理的老化」では真皮の構成成分であるグリコサミノグリカン(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸など)は減少しますが、「光老化」では減少せずに弾性線維変性部に限局して沈着するという変化を起こします。
「光老化」の変化により、深いシワ、乾燥が起きます。
表皮が老化すると紫外線の影響を受けやすくなり、メラニン色素の濃度が高くなって、肌の透明感が失われます。
こうして起きるのがくすみ、さらにメラニン色素が沈着してできるのがシミです。
真皮の弾力性やうるおいがなくなると、シワ、たるみ、クマができます。
加齢に伴うシミの代表に、紫外線による老人性色素斑があります。
加齢に伴うシミの代表に、紫外線による老人性色素斑があります。
さらに、紫外線を長時間浴びると、老人性イボ(脂漏性角化症)になったり、皮膚がんも発症しやすくなります。
皮膚ガン
皮膚がんは手術で取れば、命には別状ないことがほとんどです。
皮膚がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)となるとやや深刻ですが、北條氏は「日本では新規に発症するのが1年に1000人程度と、非常に少ないです。
皮膚がんも、悪性黒色腫も、素人が見ても異常に気付きやすいので、おかしいと思ったらすぐに病院に行ってほしい」と話します。
皮膚の問題
農家の方、漁師さんの後頚部に起こる「項部菱形皮膚」はこのようにして発症します。
「光老化」による変化は顔面では多数の「面皰(めんぽう)」を引き起こします。
「面皰」は皮膚に出来る角質が詰まった小さな穴です。
また、皮下脂肪も加齢とともに減少し表皮、真皮の変化も伴って皮膚が萎縮したるみます。
これを「老人性皮膚萎縮症」と呼びます。
臀部では皮膚の加齢変化に加え、繰り返し受ける加重や摩擦により、表皮肥厚、乾燥が増し「臀部老人性苔癬化局面」を形成します。
四肢では皮膚菲薄化、血管壁の脆弱化により「老人性紫斑」が起こります。
外傷にも弱く、転倒、打撲で容易に「表皮剥離」が起きます。
皮膚の脆弱化に加え、活動性の低下から骨突出部は加重により「褥瘡」を起こし易く、体位変換、加重を出来るだけ広い面積で受けるような工夫が必要となります。
汗腺、脂腺機能低下により皮膚は乾燥し、「老人性乾皮症」、「皮脂欠乏性湿疹」が出現します。
明らかな湿疹はなくとも、乾燥や皮膚の脆弱化のため広範囲に瘙痒が起こることがあり、「老人性皮膚瘙痒症」と呼びます。
活性メラノサイト、メラノソームの減少、脱落により、毛髪では「白髪」、皮膚では「老人性白斑」が出現します。
男性ホルモンの影響による男性型脱毛症(AGA)のあるなしとは別に、50歳を超えると生理的老化のため毛髪の数が減少します。
これを「老人性脱毛症」と呼びます。
頭髪以外の体毛も減少します。
加齢とともに女性にもびまん性脱毛が起こります。
肌の酸化
紫外線を浴びることは酸化の大きな原因のひとつです。
老化対策はにワセリンとニベア
顔を洗うときも、石鹸は不要です。
日焼けの際に、メラニンが生成され肌が黒くなるのも、チロシンというアミン酸が酸化することにより起るものです。
そのため、酸化ダメージの蓄積はシミやシワ、たるみを引き起こします。
また、肌の中では皮脂やコラーゲン、遺伝子などのさまざまな物質が酸化ダメージを受けます。
また、肌の中では皮脂やコラーゲン、遺伝子などのさまざまな物質が酸化ダメージを受けます。
例えば皮脂の場合は、肌表面にある皮脂が紫外線にあたることで皮脂の中の不飽和脂肪酸やスクワレンなどが酸化し、過酸化脂肪酸や過酸化スクワレンという物質に変化します。
すると、表皮の細胞に対して細胞障害を引き起こし、くすみなどにつながります。
また、コラーゲンが酸化すると、肌が硬くなったり黄ぐすみを引き起こしたりします。
酸化は肌の中のいろいろな細胞や物質にダメージを与えるため、シミ・シワ・たるみ・くすみなど肌の老化を促すのはもちろん、免疫力の低下などさまざまなトラブルにもつながるのが酸化の大きな特徴です。
抗酸化物質を摂取
酸化から肌を守るシステム(抗酸化作用など)があるため、抗酸化物質は体内で生成されているのですが、加齢とともに徐々に減ってしまいます。
減ってしまった抗酸化物質を補うためにも、ビタミンCやビタミンE、リポ酸などを摂取するのが推奨されます。
身体自身の抗酸化力
生体が自らつくり出している抗酸化物質の働きをできる限り高めることも、肌の酸化を予防する有効な手段です。
私たちの身体は抗酸化機能を持つ因子(チオレドキシンやグルタチオンなど)を自らつくり、酸化ストレスから身体を守っています。
規則正しい生活やストレスを溜めない生活を心がけ、免疫力をアップさせて、抗酸化因子の働きを高めることも意識します。
スキンケア剤は、高価である必要はなく、シンプルな保湿効果があるものでよいです。
北條氏は、「私の周りの医師は、女性でも『スキンケアはワセリンやニベアだけ』という人がほとんど」だと言います。
水やお湯で汚れは十分落ちます。
体を洗うときは、タオルは使わず、石鹸を泡立てた手を使います。
皮膚の表面には、角化層という死んだ組織でできた層があり、これが肌を覆って保護しています。
「角化層は、こすれば取れるため、垢と勘違いする人がいますが、肌に必要なものです。
ナイロンタオルでこすり取るなどもってのほか」と北條氏は言います。