乾電池と充電池はどちらがお得か

 

乾電池を廃棄、購入するときに、乾電池と充電池のいずれにするかで迷うことがあります。

充電池はイニシャルコストは高いが、充電を繰り返すことにより、トータルでは乾電池よりも安くなると言われます。

それでは、どれくらい充電を繰り返すと乾電池よりも安くなるのか調べてみました。


充電池のイニシャルコスト

充電池(ニッケル水素電池)は購入するときにイニシャルコストが高いと言われます。

充電池で最も定評のあるメーカーはパナソニックです。

パナソニックの充電池には、下記の4種類があります。

1)エネループ プロ [ハイエンドモデル]最小容量2500mAh/繰り返し500回

2)エネループ [スタンダードモデル]最小容量1900mAh/繰り返し2100回

3)充電式エボルタ [スタンダードモデル]最小容量1950mAh/繰り返し1800回

4)充電式エボルタe [お手軽モデル]最小容量1000mAh/繰り返し4000回

価格はそれぞれ、グレードによって4本セットで下記の通りです。

1)エネループ プロ [ハイエンドモデル]¥1,707(税込みamazon)

2)エネループ[スタンダードモデル]¥1,480 (税込みamazon)

3)充電式エボルタ [スタンダードモデル]¥1,045 (税込みamazon)

4)充電式エボルタe [お手軽モデル]¥727 (税込みamazon)

電池と充電器をセットで購入すると割安となり、パナソニック エボルタ単3のスタンダードタイプ4本と充電器のセットで2,082円(税込み配送無料 アマゾン)です。

またモデルチェンジが行われるタイミングで処分品として安く販売されることもあるようですので、機会を選んで購入するとお得です。

パナソニック「エネループ」と「充電式エボルタ」の特徴の違いは、下記の通りです。

エネループは「くり返し使用回数が、充電式エボルタよりも多い」

充電式エボルタは「容量がエネループよりも多く、一回の使用時間がより長い」

用途で選ぶなら、充電回数が多い場合はエネループ、使用時間を優先したい場合は充電式エボルタとなります。


充電池の充電費用

パナソニックのデータによると、充電費用は1本当たり約0.189円となっています。

4本充電でも約0.8円と、乾電池を新たに購入するのに比べて桁違いにお得です。


充電池と乾電池のどちらがお得か

エボルタ スタンダードタイプ 単3 4本セットと充電器のセットで購入した場合(¥2,082)を考えてみます。

また、アルカリ乾電池と充電池(ニッケル水素電池)は同じ性能と仮定します。

現在単3のアルカリ乾電池の価格は、100円ショップで4本110円といったところです。

実際に電池を使う際は2本や4本等、偶数の単位で使用することが多いです。

試算すると、20回目の充電を行えば充電池ニッケル水素電池がお得になります。

アルカリ乾電池の金額は110円×20パック=2200円、

充電池(エボルタ スタンダードモデル ニッケル水素電池)の金額は2,082円+(0.8円×充電20回)=2,098円となり、充電可能なニッケル水素電池の方が安くなります。

20回充電池を繰り返し使うということは、どれくらいの期間で充電を行うかによって、現実感が異なってきます。

今まで1か月に1回乾電池を取り換えていたような場合には、1年8カ月で乾電池よりも安くなりますから、お得感を実感できると思います。

但し、リモコンの乾電池を1年に1回しか交換しないような場合は、イニシャルコストを回収するのに20年も掛かることになるので、リモコンを使っている本体機器の寿命を考えたらあまり現実的ではないように思われます。

充電池には、長い期間使用していると、劣化による液漏れのリスクがありますから、メーカーがスペックで謳っている10年を超えるコスト回収は現実的ではなく、せいぜい一般的な償却期間である6年以内のイニシャルコストを回収を目途にすべきかと思います。

イニシャルコスト回収期間を考慮すると、すべてを充電器にするのはあまり得策とは言えません。

乾電池と充電器は、使用頻度によって使い分けをするのが賢明です。

スタンダードモデルに対し、ハイエンドモデルの場合はどれだけハードルが高くなるかも確認してみます。

エネループ プロ ハイエンドモデル 単3 4本セットと急速充電器のセットで購入した場合(¥4,661税込みamazon)は更にイニシャルコストが上がるので、43回の充電で乾電池よりコストが下がることになります。

アルカリ乾電池の金額=110円×43パック=4,730円

充電池(エネループ プロ ハイエンドモデル ニッケル水素電池)の金額は4,661円+(0.8円×充電43回)=4,695.4円となり、充電可能なニッケル水素電池の方が安くなります。

43回はかなりの頻度ですので、ハイエンドモデルを使用する箇所はかなり限られると考えられます。

それでは、逆に、ローエンドではどうかも確認してみます。

充電式エボルタe お手軽モデル2本セットしか販売していないようです。 単3 2本セットと標準充電器のセットを購入した場合(¥868税込みamazon)となり、イニシャルコストが下がるので、16回の充電で乾電池よりコストが下がることになります。

アルカリ乾電池の金額=110円/2×16
=880円

充電池( 充電式エボルタe お手軽モデル ニッケル水素電池)の金額は868円+(0.8円/2×充電16回)=874.4円となり、充電可能なニッケル水素電池の方が安くなります。

因みに、計算の前提として、アルカリ乾電池と充電池(ニッケル水素電池)は同じ性能と仮定しましたが、100均では販売されていないパナソニックのエボルタ・アルカリ電池と、100均のダイソーアルカリ電池、三菱のアルカリ電池、富士通のマンガン電池の電気容量は、ネットから拾い上げると、下記のようになっています。

エボルタ(アルカリ)…1696mAh

100均_ダイソー(アルカリ)…1359mAh

三菱電機(アルカリ)…1185mAh

富士通(マンガン)…275mAh

仮に、三菱のアルカリ乾電池のセットを100均で購入したとすると、エボルタ スタンダードモデルは20回×1359/1950=約14回、エネループ プロ ハイエンドモデルは、43回×1359/2500=約23回、エボルタe お手軽モデルは16×1359/1000=約22回となり、イニシャルコストを回収する回数の差は縮まります。

パナソニックの3モデル中、エボルタ スタンダードモデルのお得度が、一番高いように思えます。

それでも、6年以内に、イニシャルコストを回収するためには、1年に14/6=2.3回以上乾電池を交換している用途に、充電池に交換するのが賢明と考えられます。


充電池液漏れの原因

種類や銘柄(メーカー名)の違う電池を混ぜて使ったり、同じ種類、銘柄でも、特にフル充電の電池と、使用途中や未充電の電池を混ぜて使用すると、使用途中電池や未充電の電池が過放電状態になりガスが発生します。

充電池がショートすると瞬間的に大電流が充電池に流れ、充電池の内部温度が急激に温度上昇します。

このような状態になると充電池内部でガスが発生します。

上記のように、過放電やショート等により、電池内部でガスが発生すると圧力による破裂を防止するためガス排出弁からガスを排出します。

そのガスを放出する際に充電池内部の電解液が一緒にもれ出る場合があり、これが液もれ(漏液)現象となって現れます。

過放電を防ぐためには、目安として本来使用できる時間(回数)の 2/3程度を使用された時点で充電することが推奨されます。

長期間使わない時も、自然放電による過放電を避けるため、必ず電池を機器から取り出しておくことが肝要です。

ショートを防ぐためには、必ず個別に樹脂ケースやビニール袋に入れて保管します。

使用推奨期限10年液漏れ補償10年付きの製品は乾電池で販売されています。

よく知られているのが、maxell「ボルテージ」(\437 税込配送無料
ヨドバシcom)です。

「富士通 プレミアムS」(\528 税込配送無料ヨドバシcom)も同じく10年液漏れ補償付きです。

パナソニック乾電池「エボルタ」は使用推奨期限10年で、液もれ防止新製法を謳っていますが補償付きとはなっていません。

同じくパナソニックの充電式エボルタ スタンダードモデル と充電式エボルタ お手軽モデルは、液もれ防止製法を採用としていますが、補償付きとはなっていません。

ニッケル水素電池などの充電式電池は繰り返し充電して使用できることから使用推奨期限はありません。 ニッケル水素電池の寿命はサイクル回数で判断しています。

また充電池は1年以上、使用のない場合には電池内部の材料の劣化や過放電などで、電池性能が劣化することがあります。電池内部の不活性化や過放電などを防ぐためにも6カ月に1度は充電をすることが推奨されています。

充電池の電圧公称電圧は 1.2V

乾電池の公称電圧は1.5Vですが、充電池(ニッケル水素電池)の公称電圧は 1.2Vです。

充電池の公称電圧が、乾電池に比べて低くなりますが、乾電池が使用できるほとんどの機器で使用できます。


乾電池は機器が作動する領域の間、電池を放電(使用)するに従って電圧が徐々に下がっていきます。

充電池の場合、機器が作動する領域の間1.2V付近で電圧が一定となり、電池の容量がなくなりますと、電圧が一気に低下していきます。

このように、公称電圧では乾電池と充電池では差がありますが、機器の作動範囲では乾電池も充電池も使用可能電圧の範囲であることが理由です。

但し、密閉された機器では、充電池は使用できません。

充電池は過放電や充電池のショートによる発熱で電池内部からガスが発生します。

そのため充電池には発生するガスの内圧上昇による電池の破裂を防ぐために、ガス抜き構造を備えており、ガスを放出します。

水中ライト等の密閉された機器でご使用すると、放出したガスが逃げないために機器を破損させる危険性があります。

機器メーカーが取扱説明書などでニッケル水素電池使用不可の指定がある場合はご使用しない方が無難です。

時計やリモコン等の微小電流で動く物は1.5Vでないと問題が起きること製品がある場合があるので、予め取説などで確認しておく必要があります。

また、乾電池とニッケル水素電池では構造上、電池の寸法に差があります。

パナソニックの充電式エボルタ・エネループの単3形/単4形ハイエンドモデル(高容量モデル)は、一般の乾電池に比べて直径が太く、プラス端子の 出しろ(高さ)が少なく(低く)なります。

乾電池に合わせて寸法がきっちりできているカメラのバッテリーホルダーやストロボの電池ホルダーなどには充電池が入らないか、入ってしまった充電池を取り出せなくなる恐れがあります。