新聞とチラシは分けた方が良いのか


妻の実家では、新聞とチラシは分けて出しており、我が家では、新聞と混ぜて出しています。
一体どちらが良いのか調べてみました。

新聞とチラシ

新聞紙は再生利用されて新聞紙になります。

段ボールと並んで新聞紙は、リサイクルの優等生です。

2015年の古紙回収率は何と81.3%だそうです。

新聞紙にチラシが混入したところで特に大きな問題にはなりません。

再生のためには、新聞とチラシや雑誌に、分別回収した方が良いのですが、結局は、新聞紙古紙と混ざったチラシ古紙はリサイクルされて新聞紙になります。

勿論、分別された場合には、チラシは新聞紙よりは白色度が高いので、再生上質紙や再生コート紙の原料として使用されます。

チラシの全部がそうなるわけではありませんが、比較的白色度の高い紙に使いやすいです。

もとの白色度が高ければ、漂白薬品も少なくて済みます。

チラシは新聞紙にも、普通の印刷用紙にも使われます。

かつて、コート紙の多いチラシは、新聞古紙に配合とかなり厄介なことがありました。

原因は炭酸カルシウム(炭カル)です。

炭酸カルシウムの由来はコート紙の塗料にありました。

コート紙の塗料はクレーと炭酸カルシウムメインの顔料として使用されます。

この炭酸カルシウムは硫酸があると、泡を出して溶けて石膏になります。

炭酸カルシウムの化学式は、CaCO3で、硫酸があると変化して、CaCO3+H2SO4→CaSO4+H2O+CO2 となります。

ここで出てくるCaSO4は硫酸カルシウムで、別名は石膏です。

このようにして出来た石膏は、水にはあまり溶けないので、スケール(汚れ)となって設備や配管に溜まってしまいます。

この汚れが増えてくると、操業性がとても悪くなります。

具体的には、紙に欠陥が増えて、頻繁に設備を掃除することになります。

これは酸性抄紙の場合に起こります。

酸性抄紙の場合は、サイズ剤の定着剤として硫酸バンドが使われます。

硫酸バンドは硫酸アルミニウムと言い、化学式はAl2(SO4)3となります。

硫酸アルミニウムは水に溶けており、炭酸カルシウムと化学反応して、硫酸カルシウム(石膏)が出来、設備を汚す原因になります。

従って、酸性抄紙の場合には、古紙原料の中に炭酸カルシウムがたくさんあると、頻繁にトラブルを起こすことがありました。

この問題解決策として、新聞紙も中性紙化され、新聞古紙にチラシが混ざっても、トラブルが起こらないようになってきました。

新聞紙は薄いので不透明度が必要であるため、高価な酸化チタンやユーパール、ホワイトカーボンといった填料を使っていました。

しかし、この填料を炭酸カルシウムに置き換えればコストダウンになります。

不透明性に優れる炭酸カルシウムを配合することで、用紙の不透明性が向上しました。

特にカラー印刷時の印刷裏抜けを防止できることから、最近の新聞印刷のさらなるカラー化に対応できます。

中性抄紙技術の進化により、新聞紙が中性紙になり、チラシ古紙が新聞にも使えるようになりました。

むしろ、チラシに含まれる炭酸カルシウムの有効利用が出来るようになりました。


名古屋市の紙の分類

名古屋市では、平成11年から、資源化可能な事業系紙ごみを焼却工場へ搬入することを禁止しています。

事業系ごみを資源化する場合には、新聞、雑誌、段ボール、OA用紙、シュレッダー古紙、雑がみなど紙の種類ごとに分別して収集業者に引き渡します。

紙は種類によって再生利用される用途が違うため、種類ごとに分けることが基本です。

新聞・雑誌・段ボール・OA用紙は紐でしばって、シュレッダー古紙・雑がみは透明・半透明の袋に入れます。



会社から排出されるシュレッダー古紙は、そのほとんどがOA用紙(コピー用紙)であり、リサイクルが可能です。

シュレッダーに透明・半透明の袋を設置し、一杯になったら、袋を外してそのまま縛るだけなので、分別が簡単です。

リサイクル禁忌品やプラスチック製の記憶媒体(CDやDVDなどをシュレッダーにかけたもの)を混ぜないよう注意します。


機密書類は、シュレッダーを使わなくても機密性を保ったまま資源化(製紙会社での直接溶解処理など)が可能です。

契約している業者や古紙業者に問い合わせをして確認することが必要です。

雑がみのリサイクル

雑がみとは新聞・雑誌・段ボール・紙パック(飲料用の内側が白いもの)以外の資源化可能な紙のことです。

基本的には、透明・半透明の袋に入れて出します。

雑誌と一緒に縛れるものは、一緒に縛って排出してもかまいません。(具体的な排出方法は、実際に回収を依頼する業者と相談します。)

リサイクル禁忌品に注意

雑がみは、一般家庭から出るものと同じ性状で発生量が1収集日あたり45リットル1袋までの場合に限り、市の資源収集に「紙製容器包装・雑がみ」として出すことができます。



OA用紙(コピー用紙)、カタログ、パンフレット、ノート、チラシ、ポスター、メモ用紙、名刺、カレンダー、はがき、封筒、値札、紙製ファイル、紙箱、包装紙、紙芯、紙袋など

雑がみを出すときの注意点

OA用紙(コピー用紙)などに付着しているホッチキスは付いたままでかまいません。(リサイクル工程で除去されます。)

金属やプラスチックの留め具などが付着したファイルやカレンダーは、金属やプラスチックを取り除きます

プラスチックフィルムのついた紙(ティッシュの取り出し口や窓枠封筒など)は、可能な範囲でその部分を取り除きます。

シールや粘着テープが貼られた紙(はがきや封筒など)は、可能な範囲で粘着物を取り除きます。

その他、リサイクル禁忌品に該当する紙は「可燃ごみ」として出します

資源化できない紙(リサイクル禁忌品)

以下のものはリサイクルに支障が出るので「可燃ごみ」として出します。

リサイクル禁忌品については、古紙再生促進センターのホームページ(外部リンク)にも写真付きで掲載されています。

資源化できない紙(リサイクル禁忌品)
禁忌品の種類使用例、注意点などリサイクルができない理由
カーボン紙・ノーカーボン紙複写式伝票など特殊なインクを完全に取り除けず、斑点が製品に現れます。
感熱紙レシート、ロール状のファックス用紙など特殊なインクを完全に取り除けず、発色して斑点が製品に現れます。
防水加工された紙紙コップ、紙皿、紙製のカップ麺容器、油紙など古紙処理工程で離解できず、製紙原料となりません。
印画紙写真、インクジェット用写真用紙など古紙処理工程で離解できず、製紙原料となりません。
粘着性の紙シール、圧着ハガキなど(シールについては、台紙はリサイクルできるものがありますが、シール自体ははがしてください。)のりが完全に取り除けず、まとまった粘着物が機械や製品に付着します。
食品残渣や油で汚れた紙キッチンペーパー、ティッシュペーパー、ピザやケーキなどの包装箱に食品がついたもの、油絵具やクレヨンを使用した画用紙など製品に汚れや臭いの付着がおこります。
また、腐敗・異臭など衛生上の問題があります。
臭いのついた紙石鹸・洗剤・線香の箱、芳香紙など古紙処理工程で完全に脱臭することができず、製品に臭いが残ってしまいます。
プラスチックやアルミ箔などを貼り合わせた複合素材の紙ラミネート加工紙、カップ麺のふた、お酒のパック、ガムの包装紙(銀紙)など
・複合素材かどうか分かりにくい場合は、少し紙を破いてみましょう。簡単に破れなかったら複合素材です。
紙ではない成分が含まれ、取り除けなかった樹脂片が製品に付着し、印刷不良を引き起こします。
箔押しされた紙金銀の折り紙など古紙処理工程で取り除けず 、製品が金属反応を示してしまいます。
建材に使用される紙壁紙、防水シートなど製紙原料とならない異物が含まれています。
昇華転写紙
(アイロンプリント紙・捺染紙)
・裁縫用の型紙などに使われています。見分け方は字や絵柄が逆になっています。
・使用済みの昇華転写紙は靴やかばんの詰物(緩衝材)として使用されていることがあります。見た目では判断が難しいため、靴や鞄の詰物はすべて可燃ごみとしてお出しください。
古紙処理工程で取り除けず 、製品にカビ状の斑点になって現れます。
感熱性発泡紙
(立体コピー紙)
・加熱により発泡するインキが塗布された紙で、主に点字印刷物に使われます。
古紙処理工程で取り除けず 、製品の表面に凹凸が発生します。
紙以外のもの不織布マスク、簡易お手拭、フローリングワイパーなど樹脂繊維でできているものが多く、製紙原料にはなりません。使用済みのものは衛生上の問題もあります。
吸水性ポリマーなど紙ではない成分を含むもの紙おむつ、ペット用トイレシートなど使用済みのものは衛生上の問題もあります。