心疾患は生活習慣が大切


私も70代になり、久しぶりに親の年忌法要で、兄弟に再会した時に、兄が腕からカテーテルで造影剤を入れて検査を受けたこと、血液をサラサラにするワーファリンを飲んでいること、医師からニトログリセリンを処方されていることを知り、少なからず驚きました。

普段耳にする話であれば、耳元を通り過ぎるだけですが、肉親のことであれば、他人事ならずで、明日わが身にも起きうる可能性があることとして受け取られます。


心疾患

心臓病とは、心臓の疾患の総称で、全身へ血液を送るポンプという性質上、重篤な症状を起こすものも多いです。

心臓病には、冠動脈性心疾患、不整脈、弁膜症、心筋症などがあります。

初期症状としては、息切れや胸の圧迫感、めまいや立ちくらみなどが挙げられます。

心臓病は、心臓の疾患の総称で、心疾患(しんしっかん)とも呼ばれます。


症状

心疾患の症状は、具体的にどのような病気なのかによって大きく異なります。

虚血性心疾患は、突然の強い胸の痛み(締め付けられるような痛みが代表的)や吐き気、嘔吐などの症状が見られます。

また、不整脈は動悸(どうき)やめまい、脈が飛ぶような感覚などの症状が目立つようになります。

また、心疾患は心筋梗塞などのように突然発症して急激に症状が悪化していく病気を除き、発症早期の段階ではあまり症状がなく、病気に気付かないこともあります。

心臓のポンプ機能が低下すると心臓から送り出す血液の量(心拍出量)が少なくなります。

心臓はそれを補おうと心臓を拡大したり脈拍数を増加したりすることで心拍出量を維持しようとします(代償機構)。

しかし、このはたらきは長期的に心臓に大きな負担をかけるため、さらに心機能が悪化していくこともあります。

その結果、むくみや呼吸困難、チアノーゼなどを引き起こす心不全に移行するケースも少なくありません。


不整脈

不整脈は心臓の電気的な興奮に異常が生じることによって引き起こされる病気であり、原因としてさまざまな病気が挙げられます。

心臓の筋肉にダメージが生じること、心臓に長期的な負担がかかることなどでも発症します。

不整脈は上に挙げた虚血性心疾患や心臓弁膜症に併存することが多いです。


心臓弁膜症

心臓弁膜症は心臓内で血液の逆流を防ぐための僧帽弁や大動脈弁といった逆流防止弁が正常に機能しなくなる病気です。

主な原因は先天的な異常や、加齢による組織の変化、石灰化(石のように固くなってしまうこと)がよく見られます。

また、感染症や外傷によって引き起こされるケースもあります。


虚血性心疾患

動脈硬化や血栓などで心臓の冠動脈が閉塞したりして心筋に血液がいかなくなること(心筋虚血)で起こる病気です。

冠動脈が動脈硬化などで狭くなると、血流が悪くなって心筋に必要な血液が不足し、胸が痛くなります。

これが「狭心症」です。血管内のプラークが破れて血管内に血栓ができ、冠動脈が急激に閉塞すると心筋が壊死に陥り、
「心筋梗塞」となります。

壊死の部分が大きくなると命に関わる危険な状態となり、緊急の治療が必要です。


狭心症

「胸が締め付けられるように痛くなる」「押さえつけられたように痛み」痛む部位は前胸部、みぞおち、肩、頸などです。

歯や喉が痛むこともあります。

痛みの続く時間は短く、多くは数分までです。


心筋梗塞

狭心症と同様に胸の痛みが発生しますが、心筋梗塞では激しい痛みが30分以上続きます。


検査方法

心疾患の検査には、心電図、超音波検査、心筋シンチグラフィー、MRI、CT、冠状動脈造影などがあります。それぞれの検査によって異なる情報が得られるため、医師によって適切な検査が選択されます。

狭心症の場合には症状が出ているときの心電図が必要となるので、運動時の心電図を記録する装置(運動負荷心電図)などを使用します。

また心筋の収縮力や血流をチェックするため、超音波(心エコー図)検査、心筋シンチグラフィー(微量の放射線物質を注射し、心臓各部へ血流が届いているかを調べる検査)などの画像診断を実施します。

MRI検査で心筋の動きや状態を観察する場合もあります。

冠動脈のCT検査では、冠動脈の狭窄を直接観察でき、また壊死した心筋の成分の有無を調べる血液検査などが行います。

冠状動脈造影検査とは、心臓に血液を送る冠動脈の形状や狭窄の有無を確認する検査です。

足の付け根や手首から細い管(カテーテル)を挿入し、冠動脈に造影剤を注入してX線撮影を行います。狭心症や心筋梗塞の診断や治療のために行われます。


薬物療法

血管を広げる薬や動脈硬化の進行を抑制する薬、血液を固まりにくくする薬などが用います。

狭心症の場合はこのような薬物療法が基本になります。

ワーファリンは、血液を固まりにくくする薬で、抗凝固薬という種類に属します。

血栓(血の塊)が血管内にできるのを防ぎ、心筋梗塞や脳梗塞などの病気を予防するために使用されます。

一方、ニトログリセリンは、狭心症の発作を起こしたときに使用される薬で、血管を拡張させる効果があります。


カテーテルインターベンション(PCI)

手や足の付け根の血管から冠動脈の狭い部分までカテーテルを挿入し、バルーンを持ち込んで狭い部分を拡張させる治療です。

原則的に局所麻酔で手術時間は短く、患者の身体的負担は比較的少ないです。


冠動脈バイパス手術

カテーテル治療が困難なほど重症な場合や、カテーテル治療後に再発を繰り返す場合は冠動脈バイパス手術を選択します。

心筋梗塞の場合は、時間経過とともに心不全を合併する危険性が高まるため、一刻も早い治療が必要となる。


健康的な食事と生活スタイル

アメリカ心臓協会は、2006年に心臓病と闘うための健康的な食事と生活スタイルを勧告しています。

食生活の変化により発症率は、男性は22〜26%、女性は15〜18%とされています。

必要以上にカロリーを摂りすぎないようにし、体重を維持すべきとしています。

ほとんど毎日、少なくとも30分の適度な運動をすべきとしています。

ハーバード大学医学部はいくつかのエクササイズを比較し、有酸素運動と筋力トレーニングを連続で行うのが心臓に最適であると結論付けています

穀物の半分以上を精白されていない全粒穀物にし、様々な野菜と果物を食べ、毎日25グラムの食物繊維を摂取することを勧めています。

脂質は、全カロリーの25〜35%までとしています。

肉は皮が取り除かれていて脂肪の少ないものを選び、また、低脂肪の乳製品を選ぶ方が良いそうです。

少なくとも週2回は魚を食べることと、固形マーガリンを含む食べものや、フライドポテトを制限し、砂糖が加えられた飲食物は減らようにするべきとしています。

7〜9時間の睡眠が望ましく、1晩の睡眠が6時間を切ると心臓病のリスクも高まるとしています。

すべて、至極もっともなことで、従来から繰り返し言われている健康的な生活を送るための最も基本的な生活習慣です。