中古車評価点の仕組みについて


初心者が、良い中古車を選ぶことは至難の業と言われることがありますが、中古車を選ぶ上で、参考になるものとして、専門業者が評価を行うものがいくつかあります。

業者オークションの中古車評価点


中古車は仕入れのための業者オークションというものがあり、そこで検査員が1台ごとに評価を行っています。

「評価点」と呼ばれるもので、中古車の状態に応じて点数が付けられます。

評価点は外装2種類と内装に分けられ、総合点が付けられるから合計で4つあります。

中古車の評価点は下記の4つです。

1)車自体の総合評価(11段階評価)
2)外装の傷や凹みの評価(補修箇所を記載)
3)外装全体の評価(A〜Eランク)
4)内装全体の評価(A〜Eランク)

2〜4までは細かく評価基準が決まっていて、それらの総合評価が11段階で付けられます。

11段階評価の内容は以下の表の通りです。

評価点距離の基準内外装の評価点内外装の程度その他条件
S点1万キロ未満Aランクほぼ無傷、無補修初年度登録から12ヶ月以内
6点3万キロ未満Aランクほぼ無傷、無補修だが補修の必要がない初年度登録から36ヶ月以内
5点6万キロ未満Aランク目立たない傷、凹み程度エンジンや足回りが良好である
4.5点10万キロ未満Bランク以上軽微な補修で直るもの
4点15万キロ未満Cランク以上傷、凹み、錆などが少々ある
3.5点15万キロ未満Dランク以上板金修理が必要な箇所が数箇所ある
3点なしEランク全補修、交換などの必要がある
2点なしなし粗悪車
1点なしなし冠水歴車など
R点なしなし修復歴車
X点なしなしレプリカ車など評価が困難なもの

最低でも4点以上、新しい車なら5点以上あると安心です。

内外装の厳しいチェックを受けた後、初年度登録年数や走行距離が加味されて、総合評価点が決まります。

業者オークションというのは民間企業が運営している、全国の中古車屋が仕入れに使うためのものです。

検査員も民間の会社員であるため、業者オークションが儲かるために評価点が甘くなることもあるようです。

評価点を甘めに付けると車の価値が上がり、落札価格がアップして業者オークション側が儲かることになります。

評価点の操作は完全な不正ですが、業者オークションの会場は全国に140ヵ所以上あると言われています。

業者オークションでオークション運営会社が行っている中古車評価以外に、中古車検索サイト側が独自に行っている評価点もあります。



AIS

AISは、検査専門会社です。

中古車TVオークションの最大手である株式会社オークネットの車両検査部門からスタートし、1996年に中古車検査専門会社として独立事業化しました。

現在は、検査専門の第三者機関として中古車検査業務を中心に、事業運営されています。


プロの四つのチェック

AISの中古車検査では内外装や修復歴、機関・機構系の検査を行っています。

(※機関・機構系は目視上の確認です。エンジン内部や機関系においては販売店の申告を元に検査を行っています。)

修復歴のチェック

機関機構、下回りのチェックを行います。



車の価値に大きな影響を及ぼす修復歴。外板部位の状態(交換歴や板金跡)から論理的に骨格部位の損傷を摘出します。

エンジンオイルの「漏れ」やドライブシャフトブーツの「切れ」などをチェック。同時に車体下部の「擦り傷」や「凹み」、「錆」もチェックします。

外装のチェック及び、内装のチェック



一見してわかる「傷」「へこみ」から、殆ど気にならないような「小さな傷」「小さなへこみ」、
また、修復歴発見への足がかりとなる板金塗装跡もまで丹念にチェックしています。

 常にドライバーが触れるハンドルやシートの「すれ」「焦げ」等は勿論、「汚れ」や「臭い」に至るまでチェック、また装備類の作動チェックもを行います。


中古車品質の第三者評価

AISでは車両を評価するにあたり、外装や内装はもちろんのこと、機関・機構系や骨格にまで至り最大324項目を検査しています。

そして、AIS評価基準に基づき車両品質を評価点によって表します。

また、評価を分かりやすくするためにユーザー向けと中古車事業者向けに表示方法を分け、それぞれ10段階評価で表しています。


評価基準の統一

安心・信頼のできる中古車流通のために、トヨタ、ホンダ、日産、マツダの各メーカー系中古車事業会社にAIS評価基準が採用されています。

また、さらなる信頼性の向上のために、他自動車メーカーや中古車事業者に統一基準の採用を働きかけ、中古車品質評価基準のデファクトスタンダードを目指して活動しています。


PBCシステム

検査の厳正かつ公平を期すためにペンベースコンピュータによる車両検査を実施しています。

過去の検査履歴の参照はもとより、モニターに表示された展開図に車両状態を入力することで評価点を算出しています。

このシステムの開発によりデータ化が実現でき、さらにサービスの幅が広がりました。


「車両品質評価書」の見かた

① 評価点

「評価点」は、中古車の「内部」を評価するための指標となります。

・修復歴はあるか?
・機関機構は正常に作動しているか?
を総合的に検査し、10段階で評価付けをしています。

S12ヶ月未満、1万kmまで。新車をご検討中の方にもお勧めです。
636ヶ月未満、3万kmまで。中古車で程度重視の方にもお勧めです。
5走行距離5万kmまでで内外装がとてもきれいな状態です。
4.5中古車としては、内外装ともきれいな状態です。
4多少のキズ、ヘコミなどはありますが、全体的には良好です。
3.5多少のキズ、ヘコミなら気にならない方にお勧めです。
3走行に支障がない、キズ、ヘコミが多数あります。
2走行に支障がない、大きなキズ、ヘコミがあります。
1冠水車などの特別瑕疵車両が該当します。
R走行に支障がない修復歴車です。

② 修復歴

修復歴がある車両については、「走行上問題ない」と思われる車両のみを対象としています。

③ 外装評価・内装評価

「評価点」が中古車の内部の指標である一方、「★の数」は中古車の「外部」を評価する指標です。

・外装にはキズ・ヘコミはないか?
・内装にはコゲ、スレ、キズはないか?
総合的に検査し、各5段階で評価付けをしています。

外装の目安

目立つキズ、ヘコミがなく、ほぼダメージの無い状態です。
キズ、ヘコミなどが少なく、良好な状態です。
多少のキズ、ヘコミなどがありますが、中古車としては標準です。
目立つキズ、ヘコミなどがあります。
全体にキズ、ヘコミなどがあります。

内装の目安

無キズもしくは、ほぼダメージの無い状態です。
目立たないダメージがありますが、良好の状態です。
多少のコゲ、スレ、キズなら気にならないという方にお勧めです。
多少の加修を必要とする可能性があります。
部品交換を必要とする可能性があります。

④ 車両の基本情報

車名、グレード、型式、走行距離などの車両の基本情報です。


⑤ 車両状態

クルマのどこにどのようなダメージがあるのかを記号と数字で表示しています。

例えば、A2はキズの種類が「線キズ」で、傷の状態が「20cm程度」と表示されます。

キズA110cm程度の線キズ(拳大程度)
A220cm程度の線キズ(手のひら程度)
A340cm程度の線キズ(手のひら2個分程度)
A4A3を超えるもの
ヘコミU1ゴルフボール大程度のヘコミ
U2テニスボール大程度のヘコミ
U3サッカーボール大程度のヘコミ
U4U3を超えるもの
キズを伴うヘコミB1ゴルフボール大程度のキズを伴うヘコミ
B2テニスボール大程度のキズを伴うヘコミ
B3サッカーボール大程度キズを伴うのヘコミ
B4B3を超えるもの
要塗装P1軽微な色褪せ、塗装剥がれ
P2部分的な色褪せ、塗装剥がれ
P3大きな色褪せ、塗装剥がれ
P4P3を超えるもの
修理跡W1修理跡のあるもの
W2容易に確認できる修理跡
W3再加修が必要な修理跡
S1ゴルフボール大程度の錆
S2テニスボール大程度の錆
S3サッカーボール大程度の錆
腐蝕C1ゴルフボール大程度の腐蝕
C2テニスボール大程度の腐蝕
C3サッカーボール大程度の腐蝕
フロントガラス点キズ点キズのあるもの
交換済みXX交換済み
要交換
(切れ・破れ・割れ)
フロントガラスX11cm以内の割れまたは修理跡
X23cm以内の割れまたは修理跡
X3X2を超えるもの
その他ガラス割れ
バンパーX1軽微な割れ、破れ(5cm程度)
X2X1が数箇所あるもの
X3X2を超えるもの
幌・スクリーンX15cm程度の切れ、焦げ小、またはその修理跡
X220cm程度の切れ、またはその修理跡
X3X2を超えるもの

⑥ 検査コメント

車両内容で特に明記すべき事が表示されます。

また、車両状態展開図で記載されていない軽微な傷などに関しても、ここに表示される場合があります。