ボディビルダーは長生きできないのか

ボディビルダーはよく長生きできないということを聞いたことがありますが、どうしてそのようなことが言われるのか調べてみました。


体に負荷が大きい

ひと頃、ボディビルダーのトレーニングと言えば、「倒れるまで鍛えろ!」「吐くまで食べろ!」と言われる程過酷な体作りを行ってきました。

ボディビルダーの出場する大会(コンテスト)は体重別なので体重制限が厳しくなります。

大会前は極限まで減量するという、不健康で体に相当な負担がかかります。

脂肪を増やさないで筋肉量を増やすためには高タンパク、低脂質、低糖質の食事をしないといけません。

体のカットをよく見せるために極端な食事制限をしたりジョギングなどの有酸素運動をしたりして脂肪を減らします。

日本スポーツ協会の「アスリートの栄養摂取と食生活」によると、体脂肪の減少には、一定期間が必要で、減量したい体重量によって減量期間は変わる、急激な減量は体への負担と危険度が大きいので避けるべきと書かれています。


プロテイン

筋肉作りのためによく飲まれているのがプロテインですが、ボディビルダーはプロテインを飲み過ぎていて寿命を縮めているのではないかと言われています。

基本的にプロテインはタンパク質をメインとした飲み物なのでデメリットはありません。

しかしプロテインを規定量よりも過剰に摂取してしまうと体に危険を及ぼしてしまいます。

プロテインの過剰摂取による副作用として、肝臓・腎臓への負担を重くすると言われています。

筋肉増強剤(アナボリックステロイド)

大会に出るようなボディビルダーは筋肉増強剤としてアナボリックステロイドを常飲していた時期がありました。

その副作用で心臓に負担がかかり若くして命を落とす可能性があったと言われます。

筋肉増強剤などのステロイドを使用すると、強靭な筋肉が手に入れられますが、多くの副作用が伴います。

例えば肝障害、肝臓癌、前立腺癌、高コレステロール血症、高血圧症、心筋梗塞、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、性腺刺激ホルモン分泌低下性機能低下症、体液性免疫異常、ニキビ、筋断裂、毛髪の消失、しゃがれ声化あるいは金切り声化などが副作用として挙げられます。


免疫力や体力アップ

筋トレすると、筋肉量が上がります。

筋肉量が上がると運動やトレーニングをした時に、体温が上がり血行が良くなります。

そのため体全体に酸素や栄養が行き渡り免疫力がアップするのです。

また筋力が上がると疲れにくくなったり、重いものを持てたりと体力もアップします。

適度な運動は免疫能を高め,感染症や癌の予防に有効です。

適度な運動習慣がストレスや感染に対する抵抗力(防衛体力)を強化します。

日本補完代替医療学会誌の論文によると、適度な運動は免疫能を高めて、ストレスや感染による抵抗力を強くするとあります。


コリや冷え性の改善

筋トレ行うと毛細血管が発達、体全身の血行が良くなります。

体中に血液が運ばれて循環するため、足先や手先などの冷えを改善し、肩や首のコリを改善するというメリットがあります。

体がポカポカと温かくなるので、冷え性や寒がりの人におすすめです。


筋肉を維持

中年期になると「毎年筋肉の1%脂肪へ変換現象」という現象が起こります。

今ついている筋肉が毎年1%づつ脂肪へ変わってしまうという現象です。

また脂肪の中でも内臓脂肪が増える傾向にあると言われています。

しかし筋トレを行うことで筋肉を維持し、基礎代謝もアップします。

基礎代謝が上がると、痩せやすく太りにくい体を作ることができます。


成長ホルモン

筋トレを行うと、成長ホルモンを分泌させる効果があります。

成長ホルモンが分泌されると、骨や筋肉の生成、病気への抵抗力アップや脳の疲労回復を促してくれます。

成長ホルモンは発育時に分泌されて、年齢とともに少しづつなくなっていき、やがて消失します。

しかし筋トレを行うことで、年齢問わずに成長ホルモンが分泌されます。


短命であったボディビルダー

ボディビルダーは寿命が短いと言われていますが、過酷過ぎる体作りやプロテインの飲みすぎ、ステロイドの副作用が要因になったと考えられます。

反対に、適度な筋トレや運動は免疫力アップや筋力向上とメリットが多くあります。


マッスル北村

マッスル北村は、2000年8月に享年39歳という若さで死亡しました。

東大に合格するという頭脳を持ちながら、数十キロのダンベルをロープで括り付けてトレーニングするという高重量トレを行い、極限の食事制限を笑顔で行う伝説のボディビルダーでした。

過度な糖質制限や脂質をカットした食事を行ったことが原因で死亡しています。死因は栄養失調による餓死でした。


リッチ・ピアーナ

ユーチューバーとしても活躍していたボディビルダー、リッチ・ピアーナは2017年8月25日、46歳で死亡しています。

彼はインスリンやステロイド、成長ホルモンを使用していることを公言していました。

インスリンはバルクアップのために有効ですが、血糖値を一気に下げてしまうため、糖尿病ではない健康な人が使うと有害です。


ゲント・ウェイクフィールド


ハンサムボディビルダーと言われていたゲント・ウェイクフィールドは、2016年12月に35歳という若さで死亡しました。

亡くなる数年前に上腕二頭筋を怪我する前は、「WWE」のレスラーとして活躍していました。

薬物などの噂はありますが、死因はわかっていません。

原因は公式に確定されていませんが、一説では、ホルモンの一種であるインスリンをステロイドと共に使用していたからではないかとささやかれています。

彼はケガからの回復を図るためインスリンとステロイドを多量に使用していました。


Sam Standerwick サム・スタンダーウィック



イギリスのボディビルダー、サム・スタンダーウィックは25歳の若さで亡くなっています。

ほとんど毎日トレーニングを行い、健康的な食事療法を行っていたサム・スタンダーウィックでしたが、ホテルの一室で死亡しているところを発見されます。

直接の死因は心臓発作でした。

冠状動脈の70パーセントが閉塞していたと検死官は報告しています。


Nasser El Sonbaty ナッサー・エル・ソンバティ


彼はドイツ出身ですが、大の親日家として知られ、2013年に腎臓病を原因とする心不全が原因となり、47歳の若さで死亡しています。

17歳の時にサッカーの試合後に友人に誘われてたまたま行ったジムで、自分には考えられない高重量を扱ってトレーニングしているウエイトリフターに衝撃を受けて、ウエイトトレーニングを始めました。

アウクスブルク大学に通い歴史学、政治学、社会学の修士課程を修めています。

25歳でボディビルのプロデビューをして、後にアメリカに移住しました。

彼は大会に出場するためにステロイドを何年も大量に摂取していたといいます。そのため、特に心臓と腎臓に重篤なダメージを負っていました。


Zyzz ジィーズ

Zyzz(本名:Aziz Sergeyevich Shavershian アジズ・シャバーシアン)はフィジークの祖ともなった、ロシア生まれのオーストラリアのボディビルダーです。

彼はアルメニアのクルド人少数派のクルド人の両親の元に生まれました。

「フィジーク」とは、バランスのいい筋肉の付き方を競う、新しいフィットネスの競技で、近年人気が高まっています。ボディビルほどのモリモリした筋肉量が求められないので、フィットネス初心者でもチャレンジしやすい競技です。

SNSで話題になり、Youtuberとしても活躍していました。

しかし2011年8月、旅行中に22歳で心臓発作を起こし突然死をしています。

直接の死因は先天性の心臓病であると医師によって断定されました。

息切れや高血圧など自覚症状があったとのことですが、ステロイドの副作用による死亡説も根強く残っています。