運動がアルツハイマー型認知症の予防に役立つ

 運動をする習慣があると、アルツハイマー型認知症の予防に役立つそうです。

アルツハイマー型認知症に効果のある薬が、最近米国で認可され、続いて日本でも認可されるようです。

しかし、一般に使われるようになるためには、まだかなりの時間を要するのではないかと思われます。

 ただ運動をする習慣をつけることによって、アルツハイマー型認知症から逃れられるかもしれないという知見は朗報です。


アルツハイマー病の予防に役立つ運動

適度な運動を行い脳への血流を促すことは、アルツハイマー型認知症の予防に役立つ可能性があることが示唆されています。

また、糖尿病・高血圧・肥満・脂質異常症等の方は、アルツハイマー型認知症のリスクが高まる可能性があると言われています。

アルツハイマー型認知症を予防するためには、適度な有酸素運動(ウォーキング・ジョギング・サイクリング・エアロバイク等)を1日30分程度、できれば毎日続けることがおすすめです。

毎日行うことが難しい場合は、週に3日から4日程度から取り組み始め、まずは6か月から1年継続することを目指すことがお勧めです

なお、ウォーキングしながら簡単な計算をする等、有酸素運動をしながら頭を使うようにすることも、アルツハイマー型認知症の予防に役立つと言われています。

足し算より引き算の方が脳へ刺激を与えられると言われているので、100から7を引き続ける等の簡単な計算から取り組み始め、少しずつ難易度を上げるようにすると良いです。

家族・友人等と、簡単なゲームをすること等もおすすめです。

高齢者には、スマホで多く公開されているマッチ棒クイズなどは、皆で盛り上がりながら結構楽しめます。

ちょっとお洒落で格好良い「数独」は、外国人が旅客機の中でやっているのを良く見かけますが、新聞などに毎日或いは毎週投稿されているので、ちょっと気難しい御老人にも楽しんでもらえそうです。



運動のアルツハイマー病予防効果の仕組み

運動がアルツハイマー病のリスクを減少させる要因が、ホルモンのイリシンにあることが分かったとの研究結果が、米マサチューセッツ総合病院の研究チームにより発表されました。

イリシンは、運動中に体内を循環するホルモンです。

学術誌Neuron(ニューロン)で8日に発表された論文によると、このホルモンが、アミロイドβ(ベータ)と呼ばれるタンパク質の脳細胞への沈着を抑制することが分かりました。

アミロイドβの沈着により脳内に形成されるプラークは、アルツハイマー病の主な症状の原因とみられています。

研究チームは、アルツハイマー病の3次元(3D)細胞培養モデルを作成し、そこにイリシンを加えました。

結果、イリシンが「ネプリリシン」という酵素の活動を促進し、これがプラークとアミロイドβ沈着の「顕著な減少」につながることが分かりました。

運動がアルツハイマー病のアミロイドβ沈着を減少させることは以前から知られていましたが、そのメカニズムははっきりしていませんでした。

英アルツハイマー病協会によれば、定期的な運動は認知症発症のリスクを約30%減少させることが分かっています。

特にアルツハイマー病(アルツハイマー病は認知症の一種)は、45%のリスク減少につながるといいます。

アルツハイマー病のリスクを減らす活動は、運動以外にもあります。

オーストラリアと米国の研究チームが7月に発表した研究結果によれば、パズルやカードゲーム、チェス、成人向け講習の受講など、認知機能を積極的に使う活動をすることで、70歳以上の認知症発症リスクを11%減らすことができるといいます。

また米食品医薬品局(FDA)は7月、世界初のアルツハイマー病治療薬を正式承認しました。

バイオジェンと日本のエーザイが開発した「レカネマブ」と呼ばれるこの薬は、脳のプラークを除去することによって認知症の進行を遅らせられるとされますが、その安全性を懸念する声も出ています。

睡眠もアルツハイマー病と関係します。

人間の脳は、睡眠中も、必要な栄養素を取り込む・老廃物を排出する・不要な記憶を整理する等の活動をしています。

アルツハイマー型認知症の原因と言われているβアミロイド(脳が活動した際に発生する老廃物)の産生・排出は、睡眠時間や睡眠の質と関係があることが示唆されており、睡眠不足や睡眠の質が低下した状態が続くことは、アルツハイマー型認知症のリスクを高める可能性があると考えられています。

ただし、アルツハイマー型認知症の方は睡眠障がいになりやすいという特徴があり、アルツハイマー型認知症の影響で睡眠障がいを発症するか、睡眠障がいの影響でアルツハイマー型認知症を発症するかについてははっきり解明されていません。