おひとり様が孤独死するとどうなる
おひとり様が孤独死するとどうなるのか調べてみました。
内閣府「令和3年版高齢社会白書(全体版)」によると、65歳以上の一人暮らしの高齢者数は2015年時点で、男性約192万人、女性約400万人となっており、1980年以降一貫して増加傾向にあるようです。
国土交通省の「死因統計別データ」によると、2018年に東京都区部で孤独死した人は5513人に上り、15年前の2003年から約1.9倍に増えているそうです。
人が亡くなった場合には様々な手続きが必要になります。
1.葬儀・納骨の手配
2.死亡届・火葬許可申請書の提出
3.健康保険証の返却
4.年金受給停止
5.入院費・介護施設利用料の清算
6.不動産賃貸契約の解約
7.遺品整理
8.公共サービスの解約
9.住民税・固定資産税の納税
10.デジタル遺品(SNS・メール等のアカウントや画像など)処分
これらは本来、家族などの親族が行うものですが、おひとり様の場合、頼れる親族がいないため、行うことができません。
警察が現場検証
自宅で孤独死した場合、個々人によって長短はありますが、いずれは誰かに発見されて多くは警察に通報されます。警察官が現場を確認し、警察医が検死をして死因を特定します。
事件性がなく自然死であると判断されると「死体検案書」が作成されます。
遺族がいれば、遺体は遺族に引き渡されます。
公的な書類から近親者を探し出し
近親者の有無や連絡先がわからない場合には、警察が現場の家で契約書類を探し、住民票や戸籍などの公的書類から近親者を探し出します。
親、子、兄弟姉妹、親戚など、血縁関係の近い順に検索し、もし居れば連絡を取ります。
身寄りがないと自治体が火葬
身寄りがなかったり、親族がいたとしても遺体の引き取りを拒否した場合には、法律に基づき、遺体の引き取り手が存在しない死者として扱われます。
この場合、警察から自治体へ遺体が引き渡され、自治体が火葬を行った上で官報に公告します。
自治体は埋葬法により引取人のない遺体の火葬・埋葬手続きの費用を負担するものと定められています。引き取り手が現れた場合には遺骨を渡し、現れない場合は一定期間保管した後、無縁納骨堂などで遺骨を保管することになります。
医療費や葬儀の費用
千葉県の船橋市役所のウェブサイトにある「身寄りのない方が亡くなったら」によると、「葬祭費用については、本人の所持金から支払いができない場合、市役所が相続人を確定するために親族を調査し、相続人に請求します」と書かれています。
まずは本人の所持金が支払いに充てられ、足りない場合は相続人へ請求されます。また、本人の所持金だけでは足りず、相続人も見つからなかった場合、東京都墨田区の「行旅(こうりょ)病人及行旅死亡人取扱法施行規則」によると、火葬などの費用はいったん自治体が立て替えた上で、亡くなった人の遺留物品を競売で売却して費用の支払いに充てるとしています。
相続人が見つかった場合でも、費用を負担してもらえなかった場合には、同様の手続きが取られます。
それでも足りなければ、最終的に自治体が支払うことになります。
おひとり様で、身寄りがなくても近隣住民や施設の管理者、賃貸の管理人が「生活保護の葬祭扶助」を利用して葬儀を行う場合、自治体の負担は4分の1になり、残りの4分の3は国が負担します。
支給額はケースによって異なりますが、20万円前後が多いようです。
清掃費用
おひとりさまが賃貸の部屋で亡くなり、遺体の発見が遅れた場合には、部屋の原状回復のための清掃費用等がかかることもあります。
通常は、相続人がその費用を負担することになります。
その際、原状回復までの期間の賃料も請求されることになり、相続人の出費がかさむことになります。
また、相続人が見つからない場合には、管理人の負担で原状回復を行うことになります。
電気、水道、携帯電話などの契約
おひとり様が電気・水道などのライフラインの料金を銀行口座振替で支払っていた場合、銀行が口座を凍結しないかぎりは基本料金の引き落としが続きます。
銀行は、口座名義人の死亡を確認するとすぐに口座を凍結します。
口座振替が続き、預金が底をついて各種契約料の支払いがされなくなると、ライフラインの提供業者は、契約時の保証人に未払い料金を請求する、督促状を送る、といった所定の手続きを行います。
死後事務委任契約
「死後事務委任契約」を結ぶと、自分の死後に発生するさまざまな事務手続きを任せることができます。
通夜や葬儀、埋葬などに関することや、公共サービスなどの解約、公的年金の届出など、あらゆる事務手続を行ってもらえます。
士業(弁護士・行政書士・司法書士等)などの専門家に依頼することが適切ですが、民間会社のサービスもあります。