巻き爪の対処法

 

最近、足の親指が痛くなる時があり、その時に、親指の爪部分をよく見ると巻き爪になっていて、爪の端が食い込んでいました。

加齢のためかと思いましたが、そうではないようです。


巻き爪

日本人の約10人に1人が「巻き爪」に悩まされていると言われます。

巻き爪とは、爪の端が内側に曲がって巻き込んだように丸くなる状態を指し、爪が皮膚に食い込むことで強い痛みが表れます。

ほどんどの場合は足の親指で発症しますが、他の指で巻き爪が起こることもあります

巻き爪のある部分に痛みが起こるだけでなく、姿勢や歩き方が悪くなるため、ひざや腰の痛みの原因となり、特に高齢者の場合には転倒につながる危険もあります。

巻き爪を放置してしまうと爪に巻き込まれた皮膚が膿んでしまい、爪が剥がれたり歩けなくなってしまうこともあるため、気が付いたら早めに対処しておくことが大切です。


巻き爪と陥入爪

巻き爪とは、爪の端が内側に巻き込んだ変形のことをさします。

巻き爪の縁は爪の下や周りの皮膚を傷つけやすいため、細菌感染も重なって炎症を起こした状態である「爪囲炎(そういえん)」を起こすことが多いです。

これとよく似た病気に、爪の先端が周囲の皮膚に刺さって炎症を起こした状態である「陥入爪(かんにゅうそう)」があります。


陥入爪は、巻き爪があると起こりやすいのですが、巻き爪がなくても起こります。

爪のあたりが痛いからと言って必ずしも巻き爪というわけではありません。

足の爪に変形や痛みを起こしている場合、次のようなパターンが考えられます。

皮膚科専門医を受診することをおすすめします。

①爪が巻いていて痛みがあるが、皮膚に刺さってはいない

巻き爪の可能性が高い状態です。爪の端が内側に巻き込んで、爪の下の皮膚を挟んだり刺激したりして痛みが生じています。

②爪が巻いているが、痛みはない

巻き爪の可能性が考えられます。

爪が変形しているものの、皮膚への刺激は軽いため痛みまでは生じていません。

③爪が巻いており、皮膚に刺さっていて腫れと痛みがある。

巻き爪と陥入爪の両方が生じていると考えられます。

巻き爪の変形に加え、爪が皮膚に食い込んだ状態であるため、痛みが強く、炎症による腫れ・赤みや出血を伴うことが多いです。

④爪は巻いていないが、皮膚に刺さっていて腫れと痛みがある。

陥入爪の状態と考えられます。

間違った爪の切り方によって、短すぎる爪やとがった形の爪が皮膚に刺さっている可能性があります。


巻き爪の原因

巻き爪は主に「間違った爪切り」や「爪への過剰な力」、「指に力がかからない状態が長く続くこと」などが原因で起こります。

爪の切り方

爪の両端を深く切り落とすような、爪の切り方も、巻き爪を悪化させる原因となります。

爪は切った以上に長く伸びようとする性質があるため、爪の両端を切り落とすのはむしろ逆効果となり、さらに巻き爪がひどくなる場合があります。

「間違った爪切り」で多いのは深爪ですが、深爪をしていると、足の指に力が加わった際に、爪の先の皮膚が力を受けて盛り上がります。

その結果、爪はまっすぐに伸びることができずに、厚みが増したり、両端が巻いたりしてきます。

深爪では、立ったり歩いたりするたびに爪が皮膚に食い込みます。

また、爪の両端をわずかでも切り残してしまった場合には、その爪がとげのように皮膚に突き刺さり、痛みや炎症を引き起こす「陥入爪(そう)」の原因になることもなります。

その痛みを何とかするため深爪を繰り返すと、症状は悪化してしまうので注意が必要です。

外反母趾・浮き指・歩行方法

「指への過剰な力」がかかるのは、「外反母趾(し)がある場合」や「足の形に合わない靴を履いている場合」などです。

歩行時、地面からの力が親指に加わるだけでなく、人差し指によって上からも押されるなど、足の指に過剰な力が加わるため、親指の爪がまっすぐ伸びることができず、巻き爪になります。

足の親指が曲がる「外反母趾」以外に、つま先が浮いてしまう「浮き指」などの足の変形も、つま先に適切な力が伝わらないため、爪を反発する力が弱くなり、巻き爪を悪化させる原因になります。

一方、歩行方法で、膝が内側に入って歩く癖がある人も、親指に横から過剰な力が加わるため、これも巻き爪につながってしまうのです。

合わない靴

足に合わないサイズの靴などにより、足の指を強く圧迫してしまうため、履き続けることで巻き爪を引き起こす可能性が高くなります。

小さい靴では当然指を圧迫することが考えられますが、大きすぎる靴でも、靴の中で足が滑るため、足の指に力が入り、爪に必要以上の負荷がかかって巻き爪になることがあります。

このように、つま先に負担のかかる靴や足に合わない靴を履くことが、巻き爪の原因となります。

運動不足

「指に力がかからない」とは、「足の指に力を入れずにぺたぺたと歩く癖がある人」や、「寝たきりの人」など、親指に体重がかからない状態が長く続くことです。

寝たきりの高齢者のほとんどが巻き爪を患っていると言われることから、運動不足は巻き爪の大きな要因であると考えられます。


本来、爪は丸まっていく性質があります。

通常は歩行時に地面からの力が加わることで、爪は平らになりますが、力が加わらない状態が続くと、爪はどんどん巻いていく性質があります。

つま先を外側に向けて歩く癖がある人も、足の指をしっかり地面につけないために、爪への力が十分に加わらず、爪が巻いてしまうことがあります。

このように、毎日歩いて地面を踏みしめると足の裏から爪を押し返す力が働くため、爪が巻かずに指へ沿うような形状を保つことができるようになっています。


このように、足の裏から爪を押し返す力が時々働くような生活習慣を送ることも大切です。

栄養のバランス

薄い爪やもろく割れやすい爪、乾燥した分厚い爪など、正常とは異なった性質の爪も巻き爪の原因となる場合があります。

丈夫でしなやかな爪を維持するためには、爪の主成分である「タンパク質」や「ビタミン類」「ミネラル」「鉄分」などをバランス良く摂ることが必要です。

肥満

また、肥満は、足のアーチ形状を崩し地面を蹴るときに発生する爪への圧力が増加し、巻き爪になる傾向が強くなります。


自分でできる簡単な対処法

爪をスクエアカット


巻き爪を防ぐ正しい爪の切り方が、「スクエアカット」です。

これは爪の先端を真っ直ぐにした切り方で、爪の両端をヤスリで少しだけ削って整えます。

爪の長さは皮膚と同じか、皮膚から1mm長いくらいが適切です。

爪を切る頻度は3~4週間に1度程度が目安で、あまり頻繁に切りすぎないことがポイントです。

爪が割れやすい場合は爪切りを使わず、長さも全てヤスリで整えます。

テーピング

痛みがそれほどひどくなければ、自分でテーピングをすることで、痛みを軽減できます。

巻き方は2種類。足の指に巻き付ける方法と、爪の周囲を覆う方法があります。


どちらの方法も、爪の際にテープを貼って、皮膚を引っ張り、皮膚を爪から引き離すように引っ張ることがポイントです。

巻いている爪と皮膚の間に隙間を作ることで、爪の食い込みを緩和し、痛みを和らげます。

テーピングは、深爪を適切な長さまで伸ばすまでの期間にも、痛みの緩和に役立ちます。

巻き爪対策で使用するテーピングは、薬局などでも販売している柔らかく伸縮するタイプのものを選びます。

痛みが出ている爪のきわの皮膚に貼って、爪から皮膚を引き離すように優しく引っ張るのがポイントです。

こうすることで爪と皮膚の間にスペースが作られ、爪の食い込みを軽減できます。

足に合った靴

靴を選ぶ際に、足の形や土踏まずの位置が靴にフィットしているかどうかを確認することが大切です。

自分の足型に合ったインソールを活用するのも良いです。

サイズは、かかとに合わせて靴を履いたとき、つま先に5~10mm程度のゆとりがあるものが最適です。

靴紐は足の甲の高さに合わせて、キツすぎない程度に結びます。

歩き方

歩き方の癖を直すことも、予防のために大切です。

足の指がしっかり地面につくよう、正しい歩き方を心がけます。

つま先を正面に向けて、まっすぐ足を出します。

足裏全体にバランス良く負荷がかかるように、最初はかかとから、着地して、徐々につま先へ向け体重移動しながら歩きます。

上半身が前に出たら、小指に重心をのせて、そして反対側の足が地面につくときには、重心は親指側に移動します。

最後に足の親指で地面を軽く蹴って押し出すように前進します。

頭頂部は糸で引き上げられているようなイメージで行うと姿勢が良くなります。

腕を後ろに振るようにします。

足を清潔に保つ

爪に押し込まれた角質が痛みの原因になることもあります。

定期的に爪用ブラシなどでこすり、爪を清潔に保ちます。

乾燥によるひび割れを防ぐため、クリームを使ったケアもします。

医療機関での治療・矯正方法

痛みが改善しない場合は、悪化する前に、迷わず皮膚科やフットケア外来を受診して相談をします。

皮膚科やフットケア外来では、爪の形を矯正して痛みを取り除く治療が行われます。

軽傷の場合、「クリップ法」で爪を平らにしていきます。

重傷の場合には、爪の先端に穴をあけて金属製の細いワイヤーを通す「ワイヤー法」が行われます。

何れの方法も、爪が伸びてくるため1~2ヶ月に1回程度付け替える必要があります。


また、炎症を伴う巻き爪には、爪の端と皮膚の間に柔らかいチューブを差し込む「ガター法」を炎症が治まるまで行うこともあります。