(名古屋市)マンションの固定資産税・都市計画税(土地・家屋)課税明細書の見方

 私は名古屋市のマンションに居住していますが、毎年請求の来る「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)課税明細書」の年税額がどのように計算されて出てくるのか分からなかったため、改めて調べてみました。


マンションにかかる固定資産税・都市計画税

固定資産税とは、購入した土地や建物などの固定資産を所有する人に対して、自治体が課税する地方税の一種です。

毎年1月1日の時点で、土地や建物など償却資産を所有している人が対象となります。

マンションには所有する面積に応じた土地の固定資産税と、同じく所有する面積に応じた建物の固定資産税が課せられます。

マンションの場合には、マンション一棟にかかる固定資産税を計算した後に、建物は所有する床面積の割合で、土地については所有する敷地権の割合で按分して計算されます。

都市計画税は、都市計画法に基づいておこなう都市計画事業や、土地価格整理法に基づいておこなう土地区画整理事業に要する費用に充てるために、市町村が課税するものです。

固定資産税と同じく、毎年1月1日時点で所有している不動産に対して課せられます。

対象となるのは原則として市街化区域内の不動産で、固定資産税の評価額に対し税率を乗じて計算されます。

税率は各自治体によって異なりますが、最大で0.3%と定められています。

固定資産税の課税明細書は、固定資産税の納付書とともに自治体から送られてくるものです。

課税明細書には、固定資産税・都市計画税が課税されている土地・家屋について、その年の1月1日現在でどのような計算で税金が課せられているか、その内容の詳細が記載されています。


固定資産税と都市計画税の計算

固定資産税は毎年5月前後に市町村から納付書(固定資産課税明細書)が送付され、固定資産税評価額、固定資産税の税額などが記載されています。

名古屋市の場合、「固定資産税課税標準額×税率(1.4%)」で固定資産税額が計算されます。都市計画税の計算式は、「都市計画税課税標準額×税率(0.3%)」です。

課税標準額とは税額を計算するための基礎となる金額のことで、1月1日時点の固定資産の価格(評価額)から求められます。

なお、計算する際には端数処理が行われます。具体的には、まず同一区内で所有している土地・家屋の課税標準額をすべて合計した額の1,000円未満を切り捨てて、これに税率を乗じて算出した金額の100円未満を切り捨てることになります。

計算は下記の2ステップで行います。

①土地課税標準額と家屋課税標準額を足して1,000円未満を切り捨てる
②税率を乗じて100円未満を切り捨てる

固定資産税を求める計算式

土地の固定資産税は、以下のように計算されます。

固定資産税額=固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%(標準税率)

マンションの土地は持分割合(世帯数など)によって面積を決めるのが一般的なので、計算式がやや複雑になります。

土地の計算は、所有する割合により按分して計算されます。

マンションの場合は住宅用地ですから、特例により固定資産税は1/6に軽減されます。

建物の固定資産税は、以下のように計算されます。

固定資産税額=家屋の固定資産税評価額(課税標準額)(※)× 1.4%

※家屋の固定資産税評価額=再建築費評点数×経年減点補正率×評点1点あたりの価額

土地同様に、建物全体の固定資産税を算出し、その所有区分ごとに計算していきます。

固定資産税評価額とは、固定資産税の金額を決定する基準となる金額のことです。

建物であれば実際にかかった建築費用ではなく、面積、木造や鉄骨、鉄筋コンクリートといった構造、付帯された部屋数や設備等によって変わってきます。

なお、この固定資産税評価額は、年数の経過とともに価値が下がっていきます。


都市計画税を求める計算式

都市計画税=固定資産税評価額(課税標準額)×0.3%(標準税率)

居住用の土地には税金の負担を軽くする「軽減措置」が取られています。

居住用の土地の場合は6分の1に軽減されることになっています。(※6分の1になるのは200㎡未満と決められており、200㎡を超えると軽減率は3分の1で計算することになります)

この土地と建物(家屋)を合計した課税標準額に、固定資産税の税率1.4%(都市計画税は0.3%)をかけると、固定資産税と都市計画税の納税額が出てくる、という計算になります。

住宅用地と都市計画税の軽減措置

住宅用地とは、一戸建てやアパート・マンションなど居住を目的とした家屋の敷地として利用されている土地のことです。

住宅用地については、特例による税負担の軽減措置があります。具体的には、小規模住宅用地、一般住宅用地ごとに価格に次表の住宅用地特例率をかけた額を求め、その範囲内で課税標準額を算定しています。

住宅用地特例率表
区分小規模住宅用地一般住宅用地
固定資産税6分の13分の1
都市計画税3分の13分の2

マンションにかかる都市計画税の軽減についても、住宅用地の軽減措置を利用することができます。

住宅用地区分固定資産税の特例課税標準額都市計画税の特例課税標準額
小規模住宅用地200平方メートル以下の部分
評価額×6分の1
評価額×3分の1
一般住宅用地200平方メートル超の部分
評価額×3分の1
評価額×3分の2

固定資産税通知書

土地の場合

評価額

単独所有であっても、共有の場合であっても、一筆全体の価格が表示されています。

固定資産税の価格は時価の7割に設定されています。

マンションの場合、土地(敷地)は共有になりますので、マンション全体の敷地の評価額となります。記載されている評価額はマンション全体の土地(敷地)の評価額となります。

このため、自分の持分に応じた土地(敷地)の評価額を計算するには、登記簿に記載されている敷地権割合を評価額に掛け合わせて算出します。

固定資産税課税標準額

土地の軽減措置により課税標準が1/6となっている場合、評価額の1/6の価格が課税標準として記載されます(この段階でも持分ごとの課税標準ではなく、一筆全体の課税標準となります)。

固定資産税

課税標準に1.4%を乗じた金額に、共有の場合はこの段階で初めて持分相当額に按分後の税額が記載されます。


建物の場合

評価額

所有権の及ぶ区分毎の価格が表示されます。
建物の持分が共有の場合は、その建物全体の評価額が表示されています。

マンションは1戸毎に区分所有権が確立していますので、上記の土地(敷地)と異なり、所有者ごとの価格が表示されます(建物部分に表示されている価額がそのまま評価額となります)。
ただし、共有名義(夫婦共有名義等)の場合で自分の持分だけの評価額を算出する場合は、評価額に持分割合(敷地権割合)を掛けて算出します。

固定資産税課税標準額

建物の軽減措置の適用がある場合であっても土地と異なり、この段階で課税標準額が1/2ととはなりません。

上記軽減措置の説明を読み直していただくと分かると思いますが、土地の場合課税標準が1/6になると書いてありますが、建物の場合は課税標準ではなく固定資産税が1/2になると書かれています。

新築軽減税額

軽減税額の計算がされています。

具体的には課税標準に1.4%を乗じた金額に、建物の軽減措置が固定資産税の1/2であれば1/2を乗じて算出します 。

固定資産税

課税標準額に1.4%を乗じて計算した金額から③の軽減税額を控除した金額が記載されています。


固定資産課税明細書の見方(横浜市の事例)


区分
ここには『土地』や『家屋』といった、対象の固定資産の区分が記載されます。

所在地番
前回ご説明した、登記事項証明書を取得するために必要な地番がここに記載されています。ここで地番が確認できれば、法務局のブルーマップで地番を調べるお手間が削減できます。

登記地目
登記地目は登記事項証明書にも記載される、その土地の正式な用途が記載されます。

課税地目
ここには、その土地の実際の用途(評価の基準となる地目)が記載されます。土地の用途変更を行っていない場合は、登記地目と課税地目が異なる記載になります。

実際に、登記地目:畑、雑種地 課税地目:宅地 となっている課税明細を目にする機会がよくあります。

種類
ここには家屋(建物)の種類が記載されます。

構造
ここには家屋の構造が記載されています。市区町村によっては、階数も記載される場合があります。

地積
その土地の課税の対象となる面積が記載されます。

床面積
その家屋の課税の対象となる床面積が記載されます。戸建の場合は基本的に登記事項証明書に記載の床面積と一致しますが、分譲マンションの場合はその区画の床面積に加えて共用部(エントランスや廊下等)を按分した面積の合計が記載されています。そのため、登記事項証明書の床面積(内法)や不動産広告に記載の専有面積(壁芯)より大きい面積が記載されます。

家屋番号
建物の登記事項証明書を取得する際に必要な家屋番号が記載されています。法務局で家屋番号を調べることもできますが、登記事項証明書を取得する際は課税明細をご用意いただいた方がスムーズかと思われます。

建築年
その建物の建築年が記載されます。登記事項証明書では日付まで記載されますので、大まかな目安として確認することができます。

価格
その年度の1月1日時点の土地や建物の価格(固定資産税評価額)が記載されます。固定資産税・都市計画税では、3年毎にこの価格が見直されます。

分譲マンションの場合、ここにはマンション全体の土地の価格が記載されます。そのため、非常に大きな金額が記載されていますが、最終的な税額では土地の共有持分に応じた額になります。

固定前年度課税標準額
前年度の⑮固定課税標準額が記載されます。

都計前年度課税標準額
前年度の⑯都計課税標準額が記載されます。

固定課税標準額
土地は⑫の価格を基にその土地の用途やエリアによって計算した価格が記載されます

※参考 東京都主税局 https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/kotei_tosi.html#ko_02_07


名古屋市の固定資産課税明細書の事例