高齢者の頬が膨れて下膨れになるのはなぜか
高齢になると、色々な変化があるものですが、容貌の変化は歳に関係なく気になるものです。
顔のたるみ
肌のたるみは、 肌の弾力を司るコラーゲンやエラスチンが破壊され、 弾力がなくなった結果起こります。
線維芽細胞が衰えると、肌弾力が低下して顔がたるんでしまいます。
身体の筋肉と同様、表情筋もまた加齢によって機能が衰えたり、普段から口を大きく動かさずに話をしたり表情をあまり変えたりしない習慣がある場合、頬や口元の筋肉が衰え、筋肉の上に乗っている脂肪と皮膚が垂れてしまいます。
顔のエクササイズで改善することもあります。
1)鏡の前で「イー」と口角を上げて頬を高く持ち上げ、10秒間キープします。
2)口を大きく開けて「あ」「い」「う」「え」「お」と発音します。各音を発音する際に、口の形をしっかりと変えることがポイントです。これを1セットとして、1日3セット行います。
3)頬を膨らませて、空気を口の中で左右に移動させます。各側に5秒間ずつキープし、これを10回繰り返します。頬の筋肉を鍛えることで、たるみを防ぎます。
4)口角を上げて、笑顔を作ります。その状態を5秒間キープし、リラックスします。これを10回繰り返します。口角を上げることで、頬の筋肉を引き締めます。
5)舌をできるだけ前に出し、その状態を5秒間キープします。これを10回繰り返します。舌の筋肉を鍛えることで、顔全体の筋肉を刺激します。
高齢者にみられるむくみ
浮腫とは、皮膚の下に余分な水分(組織間液)が溜まってしまった状態のことを指します。
病気が原因となるむくみ
一過性のものならあまり心配ありませんが、中には心不全や腎不全などの病気が隠れている場合や、高齢者に多い「慢性下肢浮腫(まんせいかしふしゅ)」の可能性もあり注意が必要です。
病気によるむくみの場合は、なかなかむくみが治らず、動悸や息切れ、食欲不振、尿の量が減る、体重の増減が激しいなどの症状を伴うこともあります。むくみを伴いやすい病気の一例
・ 心臓病(心不全に伴う心臓性浮腫)・ 腎臓病(腎炎・腎不全に伴う腎性浮腫)
・ 肝臓病(肝硬変によるもので、腹水を伴うことが多い)
・ 内分泌性浮腫(甲状腺機能低下症に伴う硬い浮腫など)
・ 栄養障害性浮腫(食事が取れず血液中の蛋白質が低下した状態の時に発症)
・ 皮膚感染症(丹毒や蜂窩織炎)
・ アレルギー性浮腫(膠原病、ストレスなどが原因の発症)
・ 静脈性浮腫(深部静脈血栓症、下肢静脈瘤などで血液が滞り発症)
・ リンパ性浮腫(がん治療によるリンパ節の切除や、股関節・膝関節の術後、加齢によるリンパ管の機能不全などで発症)
おたふく風邪
耳下腺に、ムンプスウイルスが感染することで発症します。子どもに多いイメージの「おたふく風邪」ですが、大人が発症することもあります。
<主な症状>
2)腫れた部分はゆっくり大きくなっていく
3)高熱(熱がない場合もある)
4)唾を飲み込むときに痛みがある
病院受診科
・耳が聞こえにくいと感じる場合
蜂窩織炎・丹毒
皮膚疾患・傷・やけど等、皮膚に生じた小さい傷などから、細菌が入ってくることで発症する病気です。そのうち、歯周病や歯・歯肉の細菌感染が、顎や頸部にまで拡大したものを頬部蜂窩織炎といいます。
細菌が頬へと移動して炎症が起こると、頬に腫れが生じます。蜂窩織炎の場合、正常な皮膚部分と感染部分の皮膚のさかい目がはっきりしていないケースが多いです。
<主な症状>
1)(蜂窩織)感染部分の皮膚が熱感と痛みを伴い赤く腫れる
2)高熱(38度以上)
3)悪寒
4)頭痛
5)頻脈
(丹毒)
・感染部分に触れると硬い感じがする
自分でできる対処法
感染部分が腫れている場合、軽く冷やすと痛みが緩和することがあります。
病院受診科
次の症状を目安に、歯科、耳鼻いんこう科に行くようにします。
・ 口が開きにくくなった場合
・ 高熱を伴う場合
・ 全身に倦怠感がある場合
医療機関によっては、丹毒の診察に対応しておらず、別の医療機関や診療科を紹介されることがあります。受診する前に電話などで確認をします。
腫瘍(上顎洞がん)
頬の骨の裏側にある、鼻の左右の空洞(上顎洞)に腫瘍ができた状態です。副鼻腔炎(副鼻腔粘膜に炎症が生じる状態)が原因で、上顎洞に膿が溜まることで発症リスクを高めると考えられています。
また、喫煙も原因になると考えられています。
<主な症状>2)鼻づまり(片側)
3)鼻水に血液が混ざる
病院受診科
次の症状を目安に、内科、耳鼻いんこう科、歯科に行くようにします。
・ 物が二重に見える
・ 視力が低下してくる
・ 血液や膿が混ざった鼻水が続く場合
・ 頬に腫れが生じた場合