文字が上手く書けない書痙(しょけい)
病院や役所で、住所や名前を書くことを求められる時に、文字が上手く書けないことに、我ながら驚くことがあります。
どのような原因が考えられるのか調べてみました。
書痙(しょけい)
書痙は、「書字(しょじ)に関連する動作に限定して現れる、不随意(ふずいい)運動や筋緊張の異常」を特徴とする神経症です。
簡単に言えば、「字を書こうとするときだけ、手が震えたり、硬直したりして、文字が書けなくなる症状」のことです。別名「書き字恐怖症」とも呼ばれます。
症状が字を書く時だけに限られる人もあれば、コーヒーに砂糖を入れるときにも持ち手が震える方がいますが、書痙は、字を書くという特定の動作に限定して症状が現れます。
例えば、絵を描いたり、物を掴んだりする際には震えない、といった特徴があります。
この症状は、特定の動作中にのみ現れる「局所性ジストニア」の一種と考えられています。ゴルフのパットを打つときだけイップスになる「ゴルファーズイップス」や、演奏中に手が震える「音楽家のジストニア」などと似た性質を持ちます。
書痙の症状の現れ方には、いくつかのタイプがあります。
振戦(しんせん)型:
文字を書こうとすると、ペンを持つ手が小刻みに震えるタイプです。文字が波打つように乱れたり、線が途切れたりします。
緊張や不安が強いときに悪化しやすい傾向があります。痙性(けいせい)型:
文字を書こうとすると、指や手首、腕に力が入ってこわばり、筋肉が痙攣するタイプです。
ペンを強く握りすぎてしまったり、思うように指を動かせなくなったりします。
書く速度が極端に遅くなったり、字が小さく、読みにくくなったりすることがあります。混合型:
両方の症状(震えとこわばり)が混在して現れるタイプです。
書痙の原因
書痙は、医学的には「大脳基底核の異常」と考えられています。
しかし、明確な書痙の原因は解明されておらず、書痙の治療法も確立されていません。
病院での一般的な書痙治療
- 内服薬(筋弛緩剤・抗不安薬)
- ボトックス注射(筋肉の過緊張を和らげる)
- 外科手術
書痙以外の手の震え
字を書いているとき以外の動作でも手指が震える場合は、明らかな原因が無く姿勢保持時や運動時にも振戦が現れる本態性振戦をはじめ、パーキンソン病、ジストニア、小脳疾患などの疾患が疑われるので、病院での診断が必要です。
高齢者の手の震えにはさまざまな原因がありますが、最も多いのが本態性振戦です。
本態性振戦
体の一部が意思に反して動くことを「振戦」といいます。
特定の原因がなく発生する手の震えのことは本態性振戦と呼んでいます。
これは高齢者に最も多く見られる手の震えの原因であり、40歳以上の約4%に見られるとされています。
さらに、年齢が上がるにつれてその発症率は高くなります。
本態性振戦の特徴として、以下のようなものが挙げられます。
- 動作時に震えが強くなる
- 両手に対称的に現れることが多い
- 精神的なストレスや疲労で悪化する
- アルコールを摂取すると一時的に症状が軽減する
例えば、食事の際にスプーンや箸が使いづらくなったり、手が震えて字が書きづらくなったりすることがあります。
また、コップを持つときにこぼしてしまうなど、生活の質を低下させる原因にもなります。
パーキンソン病
パーキンソン病も高齢者の手の震えの主要な原因の一つです。
パーキンソン病は、脳内のドーパミン(神経伝達物質の一種)を作る細胞が減少することで起こる、進行性の神経変性疾患です。パーキンソン病による手の震えは、本態性振戦とは異なる特徴を持っています。
- 安静時に震えが強くなる
- 片側から始まることが多い
- 「丸薬丸め運動」と呼ばれる特徴的な震え方をする
- 震え以外に、動作の緩慢さや筋肉の硬直などの症状を伴う
生理的振戦
誰にでも起こりうる一時的な震えで、寒さや過度の緊張、重いものを持ち続けた時などに見られます。
一般的に病的なものではありません。
薬剤性振戦
特定の薬剤の副作用として手の震えが現れることがあります。例えば、喘息の治療薬や精神疾患の治療薬の一部で、このような副作用が報告されています。
甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、手の細かい震えが起こることがあります。他にも、動悸や体重減少などの症状を伴うことが特徴です。
アルコール依存症
長期的な大量飲酒や急激な断酒によって、手の震えが現れることがあります。特に朝方に症状が強くなる傾向があります。
小脳の疾患
小脳に問題がある場合、意図的な動作をしようとしたときに震えが強くなる「企図振戦」が見られることがあります。