佐藤正午の「月の満ち欠け」を読んで


久しぶりに、直木賞作家の小説を読みました。

図書館で借りてきた、佐藤正午の「月の満ち欠け」です。

「月の満ち欠け」は佐藤正午が62歳にして受賞した直木賞受賞作品です。

「生まれ変わり」をモチーフにした小説です。

最初は若い学生と瑠璃という女性の不倫恋愛の話が展開していきますが、不慮の事故で女性が亡くなった直後から、生まれ変わりとして前世の記憶を持った3人の少女が次々と描かれていきます

小説の中で、話が前後する場面が幾つかありますが、3人の少女の内、2人がやはり不慮の事故で亡くなり、最後に3人目の少女が、既に中年に達してしまったかつての恋人と再会するという、少し奇想天外な恋愛小説です。

この世には生まれ変わりとしか思えない人々がいる、と言う主題が心を震わせます

「生まれ変わり」をテーマにした小説で思い出されるのは、三島由紀夫の「豊穣の海」の夢と転生を描いた小説がありますが、描かれている世界はまるで違います。

「豊穣の海」の小説中では、三つの黒子にまつわる転生の話が、二人の青年から王女そして少年へと受け継がれていく少し難解で複雑な展開でした。