トリックアートの世界
トリックアートは、一般には「だまし絵」、「隠し絵」、「ダブルイメージ」、「さがし絵」などと呼ばれ、古くは歌川国芳の「寄せ絵」もその中に入ります。
ぺンローズの階段
ぺンローズの階段はペンローズ親子が考え出した不可能図形です。
永遠に上り続けても高いところに行けない階段を二次元で描いたものです。
三次元で実現するのは明らかに不可能であり、歪みのパラドックスを利用した二次元でのみ表現できます。
その三次元で実現不可能と言われたペンローズの階段を、実際に立体で表現したのが下の写真です。
どうやっているのかを種明かししたのが下です。
階段がぎざぎざにくだり勾配に作られていますが、ある角度からみると登り勾配に見えます。
下はペンローズの階段を利用して描かれたマウリッツ・エッシャーが「上昇と下降」の中で描いたリトグラフです。
伊坂幸太郎の小説の中でも題材として、使われていました。
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ペンローズの3角形
1934年、スウェーデンの芸術家オスカー・ロイテルスバルトが考案しました。
1950年代に数学者ロジャー・ペンローズがそれとは独立に「不可能性の最も純粋な形」として考案し、一般に広めました。
下はオーストラリアのパースにある、あり得ない三角形のオブジェです。
3本の真っ直ぐな四角柱がそれぞれ直角に組み合わされていながら、ある方向から見ると全体で三角形を形成しています。
下のサイコロはトリックアートで、こういう風に見えるような絵または合成写真です。
この通りにサイコロを配置することはできません。
ルビンの盃
心理学の教科書には必ずと言ってよいほど、使われている絵です。
1915年頃にデンマークの心理学者エドガー・ルビンが考案した多義図形です。
盃が見えてるときは人の横顔が見えず、人の横顔が見えているときは盃が見えません。
娘と老婆
19世紀からある古い絵であり、2016年現在、1888年のドイツのハガキに描かれたものが確認されている最古のものです。
作者は不詳です。
その後、イギリスの漫画家
W.E.ヒル
(W.E.Hill)によって改作され、アメリカの雑誌
Puck
の中で
"My
Wife and My Mother-in-Law. They are both in this picture--Find them"
として掲載され1915年に出版されました。
若い女性しか見えない場合は、耳を目に、アゴを鼻に、ネックレスを口にします。
老婆しか見えない場合は逆に、目を耳に、鼻をアゴに、口をネックレスとして見ることで、両方が見えるようになります。
若い世代では若い女性を最初に認知する人が多く、年配の世代では老婆を最初に認知する割合が高いそうです。
たまごのパック
目を近づけたり遠ざけたり、目の焦点を何度かずらしていると、立体的な凹凸が見えてきて、それが卵のパックに見えます。
人によってはかなり努力しないと見えないようです。
回転するシルエット
人物が右に回転しているようにも左に回転しているようにも見えます。
回転方向によって、上げている足と手が入れ替わります。
右回転しているときは、右足と右手が上がっているように見えます。
左回転しているときは左足と左手が上がって見えます。
Created by Nobuyuki Kayahara (茅原伸幸), Hiroshima/Tokyo, Japan in 2003
魔法の立体錯視
明治大学・数理工学の杉原教授が作り出した立体錯視です。
矢印を回転させても向きが変わりません。
同じ方向ばかり向き続ける不思議な矢印です。
ゆっくり回しているのを目を凝らしてじっと見ていても、向きが切り替わり、丸いコーナーが鋭角に切り替わるのも一瞬でよく分かりません。
筒のフチの曲線が上がったり下がったりする空間曲線となっていることがポイントのようです。
実際のフチの高さは部分によって違うのですが、いくら回しても同じ高さに見えるように作ってあるのだそうです。
脳は軸に垂直な平面でスパッと切った切り口を見ていると思い込み、平面図形だと考えてしまうために、いくら回しても矢印が同じ方向に見えるのだそうです。
鏡に映し出した角と丸に切り替わる立体
やはり同じく明治大学の杉原教授が作り出した立体錯視です。
鏡に映る物体の形と、鏡の前にある物体の形が、全く異なって見えます。
手前でくるっと回転させても角から丸へ形状が変わります。
これはただ単に、プラスチックで作られた物体を鏡に映しただけなのにとても不思議な立体です。
何度、見ても不思議な立体です。
これを売りだしたら、さぞや飛ぶように売れるのではないかと思いますが、直ぐに形状を不法コピーした偽物も多く出回るのかもしれません。