睡魔について



たいがい、眠るべき時間にはなかなか眠られず、眠ってはいけない時に眠くなるものです。

眠って良い時間に眠くなるのは眠気ですが、眠るべきではない時間に眠くなるのは睡魔です。

うつらうつらと日中眠くなることはよくあることですが、「単純に睡眠が足りない」ことが原因のケースも多いので、最低でも6時間は睡眠を確保すべきですが、「睡眠が足りていても」眠気がやってくるケースはあります。

お腹がふくれたら眠くなるのは誤解

よく、「お昼ご飯を食べると、その消化のために胃や腸に血流が集まり、脳に行く血流が減るので眠くなる」といわれていますが、これは誤解です。

14時ごろに眠くなるのは「アフタヌーンディップ」と呼ばれるヒト固有の生理機能です。

昼食は「食べても」「抜いても」、その後は眠くなります。

「昼食後にやってくる眠気」は、厳密にいうと「眠気」ではなく、満腹感からくる「気だるさ」です。

この気だるさを助長しないためにも、お昼に過食は避けたほうがよいです。

あまりに重い食事をとるとオレキシンなどの覚醒系物質の働きを抑制してしまう可能性があります。


目の休息を取る

コンピュータの画面だけを長時間見ることは、目の疲れの原因となり、睡魔だけでなく、疲労を悪化させる原因にもなります。

定期的に数分間パソコンの画面から離れて目を休ませることも必要です。


睡魔にはコーヒーよりも抹茶が良い

「眠くなったらコーヒー」は定番の眠気対策です。

「カフェインが眠気に効く」ことは広く認識されていて、事実飲むと基礎代謝が上がり、覚醒モードに体が切り替わる働きがあります。

さらに、「睡眠時は体温が下がる・覚醒時は体温が上がる」ことを踏まえると、アイスコーヒーよりもホットコーヒーのほうが飲むと体温が多少上がり、覚醒度も上がると考えられます。

しかし、コーヒー以外にもカフェインがたくさん含まれている食べ物・飲み物があります。

「カフェインといえばコーヒー」というイメージが強いですが、カカオ豆からつくられるチョコレートやココアはもちろんのこと、緑茶や紅茶、抹茶にも含まれていて、特に抹茶の含有量は高いことが確認されています。


歩いたり、椅子の高さを変えると覚醒する

カリフォルニア州立大学のロバート・セイヤー教授の実験では、10分間の散歩は、体内のエネルギーを活用し、人間を覚醒状態へ切り替える効果があるそうです。

軽い運動をすることは、脳にとって良い刺激となります。

睡魔に襲われたら、立ち上がり、こまごまと歩き回ることが睡魔対策に効果的といえます。

椅子の高さを変えても、脳にとって刺激となり、睡魔を退散させる一助となります。

基本的に変化は脳に刺激となるため、他にも変えられる部分があれば、積極的に変えていくことで睡魔を退散させられます。


ガムも睡魔対策に効果的

「よくかむ」ことも覚醒効果を高めてくれるひとつの方法です。

脳には「かむと活性化する」性質があります。

ミントやカフェイン入りの覚醒作用のあるガムをかめば、「覚醒成分の刺激」と「かむ刺激」の2つが同時に手に入るので効果的です。


会話をすると覚醒する

人と会話をすることは、脳にとって良い刺激となります。
会議中眠くなったりしたときは、「発言する」ことも覚醒に効果的です。

会話は覚醒の強いスイッチであり、「ミーティングでは質問する、細かなことでも発言する、疑問はその場で解消する」など発言の機会をとらえることにより、会議中にうつらうつらして、どこかのお役人のようにひんしゅくを買うことはありません。


仮眠は睡魔に効果的、でも1時間以上は逆効果

「仮眠をするとパフォーマンスが上がる」ことがよく取り上げられています。

昼寝を1520分程度とることで、脳に休息をとらせ、リフレッシュさせることができます。

これは刺激ではありませんが、睡魔を退治する効果的な方法です。

「もし、仮眠が取れなくても静かに目を閉じて10分間休むだけでもその後の効果は変化してきます」とスタンフォード大学睡眠医学センターのアリソン・サイバーン氏は言及しています。
眠気を我慢したまま車の運転をしているととても危険です。

眠気を感じながらの運転は、飲酒運転と同じくらい危険である」とサイバーン氏は述べています。

長時間運転で移動する場合は、少なくとも2時間にごとに車を止め、仮眠したり、車から降りて散歩したり新鮮な空気を吸うことで睡魔に勝つことができます。

30分未満の昼寝」をする人は「昼寝の習慣がない」人に比べて、認知症発症率が約7分の1になります。

30分~1時間ほど昼寝をする」人も、「昼寝の習慣がない」人に比べて発症率が約半分になることがわかりました。

ところが「1時間以上昼寝する」人は、「昼寝の習慣がない」人に比べて発症率が2倍も高いことがわかりました。

昼寝をしすぎるとかえって、脳にダメージを与え認知症になり易くなる可能性があります。

また仮眠を取る最善の時間帯は、就寝の約67時間前までです。


伸びをしたり深呼吸をする

睡魔を退治するには、血流をスムーズにすることが大事です。

デスクワークで30分以上仕事をしたら、一度ストレッチなど全体を伸ばしてあげると覚醒して睡魔に効果的です。

深呼吸は体内の血中酸素濃度を上昇させます。これは心拍数を落とし、血圧を低下させ、最終的に精神的な落ち着きとエネルギー循環をサポートします。

深呼吸は胸に息を入れるのではなく腹部までしっかりと息を吸うことが必要です。

これはデスクにいながら実践できるので、オススメの方法です。


朝風呂と朝のランニングは眠気を誘いやすい

15分ほどの朝風呂で体温が大きく上がると、しばらくすると体温が下がって眠くなります。

体温が急激に上がると、その後下がって眠くなる」性質があります。

朝お風呂に入るならシャワーがお勧めです。

朝のランニングで汗だくになるくらい走ってしまうと体温が上がりすぎて、その後元の体温より下がって眠気がやってきやすくなります。

「早足のウォーキング」に切り替えるなどして、体温が上がりすぎないようにすると良いです。


冷たい水を飲む、冷たい水で顔や手を洗う

冷たい、熱いといった刺激も、脳に刺激を与え、睡魔を退散させることに効果的です。

しかし温かい飲み物を飲み、体温を温めてしまうと、その後下がる時に睡魔が襲ってくるため逆効果になってしまいます。

温度を利用する場合は、冷たい水を利用すると睡魔に対して効果的です。


電車の中での睡眠はスッキリしない

電車内での仮眠はたいていノンレム睡眠です。

座ったままの不安定な姿勢では、筋肉が弛緩するレム睡眠に簡単に入ることができません

深いノンレム睡眠にいきなり入るので目覚めもすっきりしません。


睡眠の質を向上させる

ジョージア大学の研究者が行った6800人以上が参加した70の解析研究の結果によると、定期的な運動は、活動エネルギーを増加させ、日中の疲労を減少させるのに有効であったことを見出しました。

それは、睡眠障害を治療するために使用されるいくつかの薬剤よりも、効果的であったとのことです。

また、睡眠の質を向上させることもわかりました。

睡眠―覚醒周期のリズムには日光が影響しています。

少なくとも1日に30分は外で自然光を浴びて過ごすようにすると良いようです。

「メラトニン」は、朝に太陽の光を浴びることで生成された「セロトニン」が変化してできます。

体内時計は、「セロトニン」が分泌された1416時間後に「メラトニン」が生成され、眠気を感じる、というリズムで成り立っています。

朝に太陽の光をしっかり浴びないと、夜に生成された「メラトニン」の分泌が止まらず、眠気が残ってしまいます

このため、日中も睡魔におそわれてしまうのです。

不眠症の場合、睡眠の専門家は朝日が出る時間に日光を浴びることをおすすめしています。

外に出て新鮮な空気を吸い、睡眠サイクルを整えるのが良いです。

質の良い睡眠がとれていると、日中に睡魔に襲われる可能性も低くなります。