世界で最も大きな輸送機

大きな物には畏敬を感ずるものですが、世界で最も大きな輸送機を調べてみました。


An-124(ロシア)

An-124 ルスラーンは、ソビエト連邦のアントノフ設計局が開発した輸送機であり、量産された機体としては世界最大のものです。 


設計作業は1971年に開始され、製造施設の建設は1973年に始まりました。

最初の機体は1979年に製造が開始され、1982年に初飛行を行いました。

西側へは1985年のパリ航空ショーで披露され、1986年にはアエロフロート・ロシア航空などへの納入が開始されました。

1992年にはロシア連邦航空委員会がAn-124-100に民間形式証明を付与しました。

生産はソ連崩壊によって一時的に中断されましたが、その後も低い生産率で2004年まで生産が続けられ、56機が生産されました。

An-124は、実用輸送機としては世界最大であり、その最大ペイロードは150トンにもおよび、C-5A輸送機よりも25%大きいです。

機体は、トリム抵抗を減少させるために静的安定性への余裕を低くするように設計されました。

軽量化のため機体の表面積の1,500m2には複合材が多用され、2,000kgの軽量化を達成しています。

冗長性確保のためすべてのシステムは、四重化されています。


主翼は高い空力効率と航続距離を得るために、比較的厚い12%の翼厚を持つ後退超臨界翼となっています。


配置は軍用輸送機では一般的な高翼配置ですが、軍用ジェット輸送機としては珍しく水平尾翼はT字ではなく通常配置です。 

エンジンはイーウチェンコ設計局によって開発されたD-18Tターボファンエンジンで、主翼下に4基搭載しています。

操縦装置は油圧バックアップを備えたフライ・バイ・ワイヤ方式で、コックピットには6名の搭乗員(操縦士2名、航空機関士2名、航法士1名、通信士1名)が座り、その後部にある上部デッキには88人分の座席を取り付けられます。 

胴体の前後にカーゴドアを備えた貨物室には、重量物を扱うために3,000kg容量の2連ウインチと10,000kg容量の可動式クレーン2基を備えます。

貨物室の大きさは約36×6.4×4.4メートル(118×21×14フィート)で、C-5の貨物室36.91×5.79×4.09メートル(121.1×19.0×13.4フィート)より20%大きいです。


貨物室内は与圧されていますが、空挺部隊を運ぶことをあまり考慮していないため限定的なものです(24.6 kPa, 3.57 psi)。 

着陸装置は高い強度を持ち、前線の不整地での着陸も可能です。

2014年末頃からはB787増産に伴い、製造拠点のある愛知県と米国・シアトル間での貨物需要増大に対してボーイング社の自社製貨物機B747 LCFの輸送力が追い付かなくなった事もあり、ヴォルガ・ドニエプル航空の保有するAn-124が国際チャーター貨物便として中部国際空港へ頻繁に飛来しており、同空港では毎日のように飛来する姿が見られます。 
諸元 

乗員: 4-6(パイロット、副操縦士、ナビゲーター、シニアフライトエンジニア(航空機関士、通信士)+ロードマスター2名)
定員: 88人
ペイロード: 150,000kg (330,000lb)
全長: 68.96m (226ft 3in)
全高: 20.78m (68ft 2in)
翼幅: 73.3m(240ft 5in)
翼面積: 628m2 (6,760sq ft)
空虚重量: 175,000kg (385,000lb)
運用時重量: 405,000kg (893,000lb)
有効搭載量: 230,000kg (508,000lb)
最大離陸重量: 405,000kg (893,000lb)

動力: イーウチェンコ=プロフレース製D-18T ターボファン、229.5kN (51,600lbf) × 4

性能 

最大速度: 865km/h (467kn) 537mph
巡航速度: 800–850km/h (430kn) 490mph
航続距離: 5,200km (2,808nm) 3,231mi
実用上昇限度: 12,000m (39,370ft)
離陸滑走距離: 2,520m (8,270ft)
着陸滑走距離: 900m (3,000ft)
翼面荷重: 365kg/m2 (74.7lb/sq ft)
推力重量比: 0.23