軽自動車の安全性の確保は現在でもかなり難しい

最近は、街を走っている車の半分は、軽自動車といわれるほど、軽自動車の数は増えています。
昔は軽自動車は、衝突事故に遭遇すると死亡事故につながりやすいと言われましたが、最近は随分と強度の高い軽自動車も作られるようになったと聞いていますが、はたしてどうなのでしょう。
軽自動車の事故率
交通事故総合分析センターの2019年4月過去1年間の統計(対4輪車のみ)が下記です。
交通事故 普通車 軽自動車
全事故件数 258,035件 187,924件
死亡者数 422人 412人
死亡者率 0.163% 0.224%
全事故件数 258,035件 187,924件
死亡者数 422人 412人
死亡者率 0.163% 0.224%
負傷者数 360,265人 253,634人
負傷者率 13.9% 13.5%
負傷者率 13.9% 13.5%
このデーターによると、軽自動車の方が事故数は少ないのに、普通車より事故死亡率が高くなっています。
衝突安全性
衝突安全性のテストは4つの条件下によって行われます。これらのメニューを簡単にいえば、前からぶつかったテストを2つと側面及び後方の4つのテストメニューを行っているというものになり、テスト詳細は下記の通りとなっています。
1)フルフラップ衝突=時速55kmで壁に衝突
2)オフセット衝突=時速64kmで前面の40%だけがぶつかる形で衝突
3)側面衝突=静止状態の車に側面から、950kgの台車を時速55kmで衝突
4)後面衝突=静止状態の車に同車種のクルマを後ろから時速36.4kmで衝突
NCAP(独立行政法人自動車事故対策機構)の衝突実験を見ると、最近の軽自動車は5段階評価中「評価4」までとれるようになりました。
しかし普通車はすべて評価5であり、やはり軽自動車の構造上、かなり改良されているにも関わらず普通車と同等の安全性は得られていません。
評価5 トヨタ カムリ 三菱 エクリプス クロス スズキ クロスビー ホンダ オデッセイ スバル フォレスター トヨタ クラウン トヨタ カローラ スポーツ ホンダ CR-V
評価4 スズキ ジムニー /ダイハツ ミラ トコット /ホンダ N-VAN
評価4 スズキ ジムニー /ダイハツ ミラ トコット /ホンダ N-VAN
下記のNCAPとは別の国土交通省の衝突評価試験結果では、軽自動車は1車種だけですが、同様の傾向は見られます。
日本の側面衝突評価試験は、運転席側に、「質量950kg」の台車を時速55kmで衝突させて行われます。
この「質量950kg」という台車の重さが、欧米と比較して、日本の側面衝突試験の条件は甘いという指摘の元になっていました。
質量950kgとは、「ぶつかって来る車の重さを950kgに想定している」ということなのですが、950kgというと、現行車では軽自動車全般(ウェイク、アトレーワゴン、NBOX+など除く)、パッソ、スイフト、バレーノなどが該当します。
これに対して日本がお手本にしてきた欧州Euro NCAPでは1300 ± 20kg、SUVやライトトラックが多く走っているアメリカの米国道路安全保険協会(IIHS)では1500kgの車両がぶつかってくることを想定して側面衝突試験を行っています。
日本でも2018年秋から欧米並みの1300kgに変わりました。
軽自動車は、普通車より重量が軽く、加速が出ないため衝撃も弱くなる利点もあります。
しかし現実問題として、衝突事故の影響が車両重量に大小によって異なるのは、物理的に覆しようのない事実です。
軽自動車と普通乗用車によるオフセット衝突試験において、衝突直後に普通乗用車がその場に止まれるのに対し、軽自動車は横へ飛ばされるようになります。
衝突による衝撃に対し客室の生存空間が残されるにしても、衝突後に飛ばされる影響によって二次事故的な事態が道路環境によっては起こる可能性があります。
特に、最近増えている広くて車高の高い軽ハイトワゴンと呼ばれる車での横転事故が問題となります。
軽ハイトワゴンのような車種は重心が高いため、交差点等で低速度で衝突しただけでも容易に横転します。
車両が横転した場合、乗員が車室内に強く二次衝突したり、割れた窓部から車外放出されるなどして死傷することが多いです。
日本交通化学学会会誌でも、軽ハイトワゴンの横転の危険性が発表されています。
実際に調査した横転死亡事故をもとに、実車を用いた衝突実験やコンピューターシミュレーショ
ン解析により事故時に軽ハイトワゴンが横転するメカニズムを解明されています。
また、側面や後方から、追突された場合、軽自動車は乗員との距離が近いため、死亡事故につながりやすくなります。
そのような側面や後方からの追突事故の場合は、やはり普通乗用車の3ボックスセダンが、ドアの厚さ強度やデッキ部分をクラッシャブルゾーンとして乗員との距離が確保しやすく、軽自動車と比べると死亡の確率が低くなります。
横転事故
軽自動車でよくある事故が横転事故です。
特に、最近増えている広くて車高の高い軽ハイトワゴンと呼ばれる車での横転事故が問題となります。
日本交通化学学会会誌でも、軽ハイトワゴンの横転の危険性が発表されています。
実際に調査した横転死亡事故をもとに、実車を用いた衝突実験やコンピューターシミュレーショ
ン解析により事故時に軽ハイトワゴンが横転するメカニズムを解明されています。
その結果、横転には衝突後のヨー回転速度やローリング共振周波数等が影響することが判明し、さらに走行速度が低いほど横転し易い可能性も示されました。
実際の事故事例で、ハイトール型のタントが交差点で青信号で発進したところ信号無視の車と接触して、ハンドルを切ったところ簡単に横転してしまったという事故が報告されています。
最近のハイトール型の軽自動車は「重心」が高いうえに、軽くて背が高いので低速運転中でも横からの衝撃で簡単にひっくり返ってしまうということです。