映画「ナイトクローラー」は過激な映像を求めてエスカレートしていくフリーランスのカメラマンの話



ネットで、題名に引かれて「ナイトクローラー」という映画を観ました。

監督・脚本はダン・ギルロイ、主演はジェイク・ジレンホール、作品は2014年トロント国際映画祭で特別招待作品として上映され、アメリカ合衆国では2014年10月31日にオープン・ロード・フィルムズ配給で公開されました

「ナイトクローラー」とは、テレビ局に
事故、犯罪や火事の映像を売って稼ぐ報道スクープ専門のフリーランサーのカメラマンのことです。

舞台は米国ロサンゼルスです。

主人公ルイス・ブルーム略称ルー(ジェイク・ギレンホール)は、学歴もコネもなく、まともな仕事に就くこともできず、銅線、金網やマンホールの蓋を盗んでは闇でスクラップヤードに売るコソ泥のような生活を送っていました。

話すことに自信たっぷりなルーですが、スクラップを買いたたかれ、自分を雇わないかと持ち掛けますがヤードの社長に全く相手にされません。

ある夜、ルーはフリーウェイで交通事故の現場を通りかかり、ナイトクローラーの撮影現場を目にします。

ルーは、現場の凄惨な映像を撮影しテレビ局に売り込む彼らの姿に惹かれます。

翌日、テレビを観ていると、昨夜のナイトクローラーたちが撮った映像が流れていました。

ルーはビーチに行き、そこで盗んだ競技用ロードバイクを売り、ビデオカメラと無線傍受機を手に入れます。

それから彼は警察無線を傍受しながら、事故現場に車で駆け付け、ビデオカメラを回します。

そして、車強盗の襲撃後の現場を撮影した翌日にローカルテレビ局へ直接映像を売りこむために訪れます。

そこのニュース番組のディレクターであるニーナ(レネ・ルッソ)は、すでに別のカメラマンからその現場の映像を買ったと言いますが、ルーの持ってきたものがさらに接近した過激な画像だったため、ルーの映像を250ドルで買いました。

ニーナはルーに撮影を続けるように勧め、画質が荒いため、マシな機材を買うことと関係者の取材も大事だと教え、何か撮ったら真っ先に自分に見せろと言います。

ルーは、ニーナにどのような映像なら買い取ってもらえるかと尋ねます。

彼女が特に求めていたのは多くの視聴者の関心を得られる郊外の裕福な住宅街での暴行事件の映像でした。

ルーが翌朝6時のニュースを見ていると、昨日の車強盗の映像が使われていました。

この仕事が金になると確信したルーは、警察の無線傍受からコードを独学で学びます。

ルーは、助手の求人に応募してきた貧しい若者リック(リズ・アーメット)を、巧みに言いくるめて一晩35ドルで雇います。

それからルーとリックは、警察無線を傍受しながら事件や事故の発生を待ち、猛スピードで車を走らせ、現場に駆け付ける毎日を送るようになります。

ある日、ビル災の情報が入り、2人は現場へ急行します。

LAの土地に詳しいリックのナビゲーションで現場へ向かいますが、リックが途中道を間違え行き過ぎてしまったためまた戻るはめになってしまい、着いた頃には消火されており、ルーはリックを激しく罵ります。

次の発砲事件に出向きますが、こちらもすでに終わっていました。

彼は執念から事件現場の家の中へ忍び込み、あらゆるものを撮影します。

銃痕の生々しい冷蔵庫の家族写真を、ケイヒル夫妻と書かれた封筒、そして警官から話を聞く夫妻と胸に抱かれた赤ちゃんの映像を撮ります。

ニーナの求める画を得るため、忍び込んだ事件現場に手を付けて、よりテレビ受けする画像に仕立て上げる違法スレスレな取材をするようになります。

テレビ局に戻ってニーナに見せると、彼女は感動し、最高の映像だと言いました。

部下のスタッフは不法侵入だと忠告しますが、彼女はルーの映像を採用したのでした。

翌朝、ニュースにはルーの映像が使われていました。

ルーはこの仕事に精を出し、ニーナのテレビ局で、ルーの撮った映像が次々と使用されていきました。

撮影取材は次第にエスカレートし、より刺激の強い映像を求め、ハイエナのように事件を求めて現場に車を走らせます。

そして、警察が到着する前に、事故現場の死体をヘッドライトの下へ動かすなど、違法な取材はとどまることを知りません。

ルーは次第に良心や人間性を失っていきます。

その映像で儲けた金で機材を充実させ、新しい車(ダッジ・チャレンジャー)を購入しました。

調子に乗ったルーは、
いつも現場を先取りされる商売仇の男からの共同ビジネスのオファーを断ります。

そして彼の車に細工をし、男が事故で血まみれになって瀕死の状態で運び出される映像を、リックが仲間じゃないかと制止するのを振り払って、冷酷な表情で撮影しテレビ局へ売ります。

良心の呵責を全く持たないルーの過激な映像は、高く売れるようになります。

使っている機材もさらに性能の良いものを手に入れることができるようになり、事故連絡をいち早く傍受して、警察よりも早く現場に駆けつけられるようになります。

警察が来る前の事件現場の生々しい死体を撮影して、テレビ局に売り、ルーの野心と上昇志向はさらに高まっていきます。

ある日、ルーとリックは高級住宅地のグラナダ・ヒルズで起こった強盗殺人の現場に警察よりも先に到着します。

現場から黒いSUVで逃走する犯人2人組をカメラで撮り、さらに被害者宅へ侵入して、凄惨な殺人現場の撮影をしてパトカーのサイレンが到着寸前に立ち去ります。

そのままテレビ局へ向かいのニーナへ映像を渡します。

番組のスタッフはルーの映像が倫理に反すると放映に反対しますが、ニーナはそれを無視して深夜の速報で流すことを決めます。

視聴率のためには、倫理をも踏み外した映像さえ欲しがるテレビ業界の裏側を描いています。

さらに、そのような映像を求める現代社会の病的な側面の薄気味悪さが垣間見えます。

ルーは映像の提供と引き換えに多額の謝礼金と自分の会社名を映像にテロップで入れること、自身をテレビ局内に宣伝することを要求して容れられます。

現場に警察よりも早く到着し、映像取材していたルーに疑惑がかけられます。

刑事2人がルイスの自宅をたずねてきて、家宅侵入の映像について尋問してきます。

しかし、ルーは刑事に犯人の顔やナンバープレートの写った部分を削除したテープを渡しました。

ルーは車のナンバーから犯人の自宅を突き止め、2人を人目の多い場所で通報して逮捕シーンの撮影と捜査協力の謝礼金を狙います。

日が沈み、犯人2人がレストランに入る所まで尾行したルーに、突然リックは今回の儲けを山分けにするか、さもなくば自分が警察に通報すると交渉を迫ってきます。

ルーは、しぶしぶ山分けに同意したように見せかけます。

ルーは警察に通報して、逮捕するシーンを撮影するのを待ち構え、リックを車から降ろして別の角度から撮影させます。

警察がレストランに到着し、武器を隠し持っていた犯人との銃撃戦が始まります。

1人は現場で射殺されましたが、もう1人はSUVで逃走し、ルーとリックも警察とのカーチェイスを追跡しながら撮影を続けます。

激しいカーチェイスの末、追跡していたパトカーとSUVが横転します。

ルーはリックに犯人は死んだから、車の中の犯人に近づいて撮影しろと命令します。

しかし犯人は生きており、撮影カメラを向けるリックを車中から射撃し、逃走しようとします。

間もなく警察が到着し、犯人を射殺します。

重傷を負ったリックの意識が薄らいでいく中、ルーはリックを撮影しながら「信用できないヤツとは仕事はできない」と言い放ちます。

ニーナはルイスの映像に満足し、ルーによくやったと褒めたたえます。

ニュース番組の制作スタッフはグラナダ・ヒルズの強盗殺人が実は違法薬物の取引に絡んで起こったものだという情報を入手します。

ニーナはこのスタッフの伝える情報を無視し、視聴率を上げるため、事件を彼女が求める形に歪曲したものにしようとします。

スタッフはニーナをまるでルーのようだと呟きます。

ルーとニーナの狂気が、相乗効果で先走っていくような、危うさを感じさせます。

映像を押収しようと刑事がテレビ局にやってきますが、ニーナは報道する権利があるとして、これを拒否します。

警察に取り調べを受けたルーは、犯人たちが乗っているSUVが証拠隠滅の為にルーたちを追跡してきたと話をでっちあげます。

しかし、取調室で、刑事は嘘であると見抜き、ルーの言っていることは全て嘘だと激しく非難します。

証拠がないため釈放されたルーは自身の会社を本格的に立ち上げます。

社名入りのバンを2台揃え、新たに3人の男女を雇います。

ルーは、かつてリックに語ったように彼等を激励し、バンに乗り込みます。

バンは交差点で二手に別れ、夜の街に消えていきました。