耳鳴りが続く・めまいが起こる耳の病気
夜のしじまの中に耳鳴りが続くと何か異常なことが起きているのではないかと不安になります。
キーンという耳鳴りは、メニエール病や難聴といった病気の可能性が疑われるそうです。
また、めまいなどの症状にも耳の病気が深く関わっていると言われます。
耳鳴りは、原因によって音の聞こえ方が異なってくるようです。
高音域:せみの鳴き声のような音 シーン、ピー、チー
内耳
突発性難聴:
30~50歳に多く、原因不明である日突然起こる。片側の耳だけに起こる場合が多い
騒音性難聴:
職業性難聴とも呼ばれ、長期間、騒音にさらされて内耳感覚細胞や蝸牛神経が障害されて起こる
職業性難聴とも呼ばれ、長期間、騒音にさらされて内耳感覚細胞や蝸牛神経が障害されて起こる
老人性難聴:
内耳から脳の聴覚神経にかけての神経細胞が減少することによって起こる
内耳から脳の聴覚神経にかけての神経細胞が減少することによって起こる
中毒性難聴:
結核の治療などに使用されるストレプトマイシンやカナマイシンなどの副作用によって蝸牛神経が障害されて起こる
結核の治療などに使用されるストレプトマイシンやカナマイシンなどの副作用によって蝸牛神経が障害されて起こる
メニエール病:
蝸牛神経が障害されて起こる
蝸牛神経が障害されて起こる
中枢性(内耳の奥~脳)
聴神経腫瘍:
前庭神経に腫瘍ができて、血管を圧迫して血流が悪くなるため、急激に難聴が起こる脳血管障害
全身性
高血圧、低血圧、動脈硬化、糖尿病、貧血、心臓病、ストレス
低音域:ブーン、ゴー、ザー
内耳
急性中耳炎:
中耳の粘膜に細菌が感染し、鼓膜が炎症をおこす
真珠腫性中耳炎:
鼓膜の一部が破れて中耳側に入り込み、袋状のものを形成し、その中に皮膚のアカがたまる
鼓膜の一部が破れて中耳側に入り込み、袋状のものを形成し、その中に皮膚のアカがたまる
滲出性中耳炎:
幼児や高齢者に多く、粘膜組織からにじみ出た液が内耳にたまって鼓膜がうまく振動しない病気
幼児や高齢者に多く、粘膜組織からにじみ出た液が内耳にたまって鼓膜がうまく振動しない病気
耳硬化症:
あぶみ骨の耳小骨が固定されて振動しなくなる。
あぶみ骨の耳小骨が固定されて振動しなくなる。
耳鳴りを無くすのは難しい
月に一度くらいの頻度で5~10秒間くらいの耳鳴りであれば、ほぼ心配はいりませんが、数時間続いたり、たびたび起こったりするようであれば、きちんとした検査を受けることが必要です。耳鳴りを完全に治すことは難しいといわれていますが、症状を軽くすることはできます。
メニエール病
「メニエール病」は、回転性のめまいが10分間~数時間続き、何度も繰り返すのが特徴です。数年にわたってめまいが続く人もいます。
また、多くの人は難聴・耳鳴り・耳閉感(耳が詰まった感じ)を伴います。
難聴は低音から聞きづらくなり、初期には聴力の低下に気づかないこともあります。
良性発作性頭位めまい症
「良性発作性頭位めまい症」は、めまいを引き起こす代表的な耳の病気です。
じっとしているときはめまいが起こらないのですが、頭を動かして、決まった頭の位置でめまいが起こるのが特徴です。
ただし、めまいが起こる頭の位置は、人によって異なります。
たとえば、寝返りをしたときや朝起きたとき、目薬を差そうと上を向いたときや料理をしようとして下を向いたときなどに起こることがあります。
症状は、目が回るような回転性の激しいめまいが多く、平衡感覚が失われてよろめくような感じの場合もあります。
症状は、目が回るような回転性の激しいめまいが多く、平衡感覚が失われてよろめくような感じの場合もあります。
そのため、回転性のめまいでは吐き気やおう吐を伴うこともあります。
ただし、メニエール病のように、耳鳴りや難聴などの症状は起こりません。
めまいは長く続くことはなく、数秒から2~3分程度で治まりますが、めまい発作を何度も繰り返すのが特徴です。
前庭神経炎
「前庭神経炎」とは、内耳と脳をつなぐ前庭神経に炎症が起こる病気です。
症状としては、立っていられないほどグルグルする激しいめまいが数日間にわたって断続的に続くのが特徴です。
いったん治まればそれ以降は大きなめまいは起こりませんが、体がフラフラする感じが残ることがあります。
難聴や耳鳴りなど聴力に関する症状は現れません。
かぜのあとに発症しやすいことから、ウイルス感染が原因ではないかと考えられています。
加齢性難聴
耳鳴りは、周囲に音がないにもかかわらず、「キーン」という金属音や「ブー」という不快な音が聞こえる症状です。日本人全体の10~15%に耳鳴りがあり、特に65歳以上に限ると約30%に耳鳴りがあると考えられています。
外部から音を伝える仕組みに何らかの異常が起こり、これまで聞こえていた音が聞こえにくくなるのが難聴です。
外部からの音が不足すると、脳は音の不足を感じて興奮します。
そして、音を補おうとして本来ない音を作り出してしまいます。
それが「耳鳴り」です。
実際に耳鳴りのある人の9割に難聴、多くの場合は「加齢性難聴」を伴っています。
突発性難聴
突発性難聴は、年齢にかかわらず、それまで健康で耳の病気をしたことがない人が、明らかな原因もないのにある日突然聞こえなくなる病気です。
どの年齢層でも発症する可能性がありますが、特に仕事や家庭のことでストレスがかかりやすい30~60歳代の人に多い傾向があります。
多くの場合、片方の耳だけに起こるのが特徴です。
難聴以外の症状として、耳鳴りや耳がふさがったような耳閉感、めまいなどを伴う場合もあります。
原因はよくわかっていませんが、睡眠不足、不規則な生活、多量の飲酒、疲労の蓄積、糖尿病などと関連が深く、血流障害やウイルス感染による炎症が関係しているのではないかと考えられています。
突発性難聴は、発症した日から数日以内には治療を開始することが大切です。
突発性難聴は、発症した日から数日以内には治療を開始することが大切です。
耳には細かい血管があり、酸素が感覚器官に送られていますが、血流障害が起きることで、血液の流れが長い時間滞ると、内耳の「有毛細胞」が壊れてしまいます。
この有毛細胞は音の振動をキャッチして電気信号に変え、脳へ送る役割をしています。
有毛細胞は一度壊れると再生しないため、治療が遅れると、聴力の障害もひどくなって治療が困難になると考えられています。
発症直後であれば、有毛細胞が壊れていない場合もあるので、治療によって治る可能性があります。
発症してから数日以内に耳鼻科を受診する必要があります。
急性低音障害型感音難聴
Aさん(34歳・女性)が症状に気づいたのは、すぐそばにいた夫に話しかけられたときのことでした。夫の声は「そうだ.........だけど......しようか?」と、途切れ途切れになって、あまり聞き取れなかったのです。
飛行機に乗った時のような「耳がこもった」感じもありました。
症状のおさまる気配がなかったため、3日後に耳鼻科を受診しました。
症状のおさまる気配がなかったため、3日後に耳鼻科を受診しました。
検査の結果告げられた病名は「急性低音障害型感音難聴」でした。
低音だけが聞き取りにくくなる難聴だったのです。
Aさんの場合、高い音は左右それほど差がありませんでしたが、低い音については、右耳の聴力が明らかに落ちていました。
「急性低音障害型感音難聴」の原因は、次のように考えられています。
内耳にある、うずまき型の管「蝸牛(かぎゅう)」の中は、有毛細胞という細胞に音の信号を伝えるリンパ液で満たされています。
「急性低音障害型感音難聴」の原因は、次のように考えられています。
内耳にある、うずまき型の管「蝸牛(かぎゅう)」の中は、有毛細胞という細胞に音の信号を伝えるリンパ液で満たされています。
しかし何らかの原因で、このリンパ液の代謝が悪くなり、過剰にたまってしまうことがあります。
たまり過ぎたリンパ液は有毛細胞を圧迫するため、有毛細胞が正常に働かなくなって、音が聞き取りづらくなるのです。
これは低い音を聞き取る部分の有毛細胞で起きやすいため、低い音だけが聞こえにくくなってしまうと考えられます。
これは低い音を聞き取る部分の有毛細胞で起きやすいため、低い音だけが聞こえにくくなってしまうと考えられます。
これをのみ始めて4日ほどで症状は改善してきました。
ところが、さらに3日ほどすると、聞こえづらさや耳のこもった感じが再発しただけでなく、音が頭に響くなど、これまでなかった症状まで現れたのです。
そこで、ステロイドに加え利尿薬を使った治療も開始しました。利尿薬は体内の水分の循環を促すことで、リンパ液の代謝を活発にします。その結果、Aさんの症状は1か月ほどで徐々に改善されていきました。
急性低音障害型感音難聴は、再発することが多いといわれています。
その原因として、多いのが「ストレス」です。
ストレスによって自律神経が乱れるとリンパ液の代謝が悪くなるため、症状が再発してしまうのではないかと考えられています。
ストレスをためないよう、積極的に気分転換した方がよいと医師から勧められたAさんは、再発予防のために、時間を見つけては散歩をするようにしています。
わずかな時間、近所を歩いて風を感じ、季節の花を見つけたりするだけでも気分転換になるといいます。