タクシーの車種はその国の道路事情に合わせて合理的に選択されている
タクシーというのは、各国似たようなものと思っていましたが、実は微妙に異なります。
最近、日本ではトヨタ自動車によって開発されたタクシー専用車「JPNタクシー」が街角で多く見られるようになりました。
かの有名なロンドンタクシーを真似たのかと思いがちですが、日本のトップメーカーのトヨタ自動車がタクシーの理想を求めて開発した渾身のタクシー専用車です。
アメリカでは、イエローキャブの名で有名なタクシーですが、車種としては一般的には大きなセダンがイメージとして沸きます。アメリカらしく、ゆったりとして大らかな余裕を感じさせます。最近は事情が変わって日産車であるミニバンが使われているようです。
一方ドイツでは、日本では高級車のイメージが強いメルセデス・ベンツがタクシーとして使われていることが多いと聞きます。時としてアウトバーンを200㎞/h以上で飛ばすこともあるお国柄のためでしょうか。
タクシーに使われている車種はそのお国の道路事情を反映しているように思います。
ある意味、その国での道路事情に最もマッチしたのが、タクシーで使われている車種ではないかと思われる一面もあります。
日本「JPNタクシー」
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| toyota.jp より引用 |
「JPNタクシー」と呼ばれる新型車両はトヨタが新たに開発したタクシー専用車です。
かつて、また現在でもタクシーとして最も多く走っている、トヨタ・クラウンコンフォートから、次第に「JPNタクシー」に切り替わりつつあります。
| トヨタ・クラウンコンフォート (仕様:直4 2.0L FR、全長×全幅×全高=4,695×1,695×1,525mm) |
JPNとは「JAPAN」のことで、つまり日本のタクシーとしての使い勝手を追求して作られているのです。従来のタクシーとの大きな違いはまず、タクシー専用の車体として設計されたことです。
サイズは小さめながらボンネットを短くしつつ天井を高くするなど、居住空間を広げているのが特徴です。
全長 4,400 mm x 全幅 1,695 mm x 全高 1,750 mm、1.5 L 直列4気筒エンジンを搭載しています。
ボディは小型ミニバンのシエンタがベースとなっていますが、価格は2グレードで、和(なごみ): 3,277,800円、匠(たくみ):3,499,200円となっており、タクシー向け特別仕様のためか、かなり高価格です。
国土交通省のUDタクシーの認定要件に適合していることから、購入には1台あたり上限60万円の補助金が国から支給されるため、全国で普及が進んでいます。
装備として、開口幅720mmの電動スライドドアや低床フラットフロアなど、これまでのタクシーにはなかった機構を装備しています。
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| toyota.jp より引用 |
ドアは、日本の道路事情に合わせて、助手席側後部ドアがスライド式、運転席側後部ドアは通常のヒンジ式の非対称の組み合わせになっています。尚、前席側は運転席・助手席ともヒンジ式です。
助手席を畳めば、車椅子での乗車も可能で、バリアフリー性能も強化されています。
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| toyota.jp より引用 |
イギリス「ロンドンタクシー」
ロンドンのタクシーといえばまず思い浮かぶのが、コロンとした古風な車体が特徴的な、黒塗りのオースチンです。通称「ブラックキャブ」(black cab)と呼ばれるタクシー専用車で、そのルーツは17世紀の辻馬車にまで遡ることができます。
ブラックキャブのドライバーになる試験は世界一難しいとも言われます。ロンドンのあらゆる道を知り尽くし、厳し~いテストに合格しなくてはなりません。
大きな車体と高い天井で広い室内、乗り降りしやすいドアなど、さまざまな工夫が施されています。一台に乗れるのは5人までです。進行方向に3人と、折りたたみ式の椅子で後ろ向きに2人が座れるようになっています。
かつては「ロンドンタクシーカンパニー」、今では「ロンドンEVカンパニー」と社名を変えたロンドンタクシーを開発・生産する専門会社があります。LEVC社は、親会社の吉利汽車が3億2500万ポンドの投資の元、コヴェントリー近郊に英国初となる電気自動車専用拠点を設けた会社です。
2017年12月には「TX」という新型車両がロンドンタクシー用車両として正式に認可され、2018年1月22日に最初のTXが営業運転を開始しました。
新型車両はスタイルが一新され、一気にモダンになりました。
インテリアは新世代のボルボと、おなじデザインの部品が使われています。「ロンドンEVカンパニー」の現在の親会社である中国の吉利汽車の傘下にはスウェーデンのボルボもあります。
ロンドンタクシーのアイデンティティとも言えるTXの旧来の黒塗装は引き継がれましたが、電気だけですと、フル充電でおよそ130km走ることができる次世代のタクシーに生まれ変わりました。
最大6人乗車できて、レンジエクステンダー付きEVは航続距離が最大600kmあって、最小回転半径が4.0mで小回りがききます。
Pure EV モードではレンジエクステンダーを使わず、電力のみで走行します。
このモードではガソリンを消費しないため排気ガスが発生せず、市街地での走行に適しています。
バッテリーの残量が少なくなるとインジケーターが点灯し、他のモードへの切り替えをアシストします。Pure EV モードは、バッテリーが十分に充電されている場合のみ選択できます。
デフォルトのモードである Smart モードは、TX を最も効率的に駆動します。可能な限りバッテリーで走行した後に、レンジエクステンダーが起動します。
高速走行時など、バッテリーからの電力のみでの走行が効率的ではない場合には、レンジエクステンダーがアシストします。
運転席と乗客のためのコンパートメントが空間的に分離され、エアコンも2基それぞれ専用のものが使われるから、コロナ禍での感染の心配もありません。
仕様
エンジン:直列 3気筒 1,477 cc ガソリン直噴ターボ
EV用バッテリー:31 kWh
車両重量:2,310 kg
全長×全幅×全高:4855×2036(ミラー格納時1945)×1880mm
ドイツ「ベンツタクシー」
世界中で高級車の代名詞ともいえるメルセデス・ベンツですが、その本国ドイツでは、アイボリー色に塗られてタクシーとして使われています。ドイツのタクシーのボディカラーは基本的にアイボリーですが、かつて法律でタクシーの色が定められていた頃の名残だそうです。
ドイツではメルセデス・ベンツのタクシーが大多数を占めます。中でも、主力車種は「Eクラス」です。かつては「ミディアムクラス」とも呼ばれていたモデルで、BMW「5シリーズ」やレクサス「ES」などをライバルとする、やや大きな車体サイズで上級ポジションに属するモデルです。
フランクフルト空港のタクシー待機場では、何台か他車も混じっていますが、ほとんどがメルデセス・ベンツです。
燃料代を抑える目的から、多くのタクシーがディーゼルエンジンを積んでいるのも日本と大きく違うところです。
高級だから使っているというわけではなく、コスト計算までしっかりおこなったうえでの最適な選択としてベンツを採用しているとのことです。
多く使われているのはミドルセダンのEクラスですが、装備を簡略化したタクシー用車両は一般市販車に比べて安く販売されています。
一人で乗る場合は、日本のように後部座席でなく基本的には助手席に乗るのが一般的です。
アメリカ「イエローキャブ」
車体が黄色いから「イエローキャブ」という愛称でも親しまれている、アメリカ・ニューヨークのタクシーです。
今でも多く走っている車種は、かつて定番中の定番だったフォード・クラウンビクトリアです。
大きくてゆったりした大排気量のFRフルサイズのビッグセダンです。フォード・クラウンビクトリアの最期のモデルは、1998年から2012年まで生産されました。
仕様は、乗車定員5人、駆動方式FR、変速機4AT、エンジンV型8気筒 SOHC 4.6L、全長5,385mm、全高1,445mm、全幅1,965mm、ホイールベース2,915mm、堂々たる体躯のビッグパワービッグサイズのアメ車です。
ロングノーズ、ロングデッキが、少々ぶつけられたくらいではびくともしない頑丈さを感じさせ、これに乗っていれば絶対安心の信頼感があります。何となく日本の定番であったトヨタ・クラウンコンフォートと相通じる雰囲気を持った車です。



