ステファニー・ガーバーの「カラヴァル 深紅色の少女」を読んで
ステファニー・ガーバーの「カラヴァル 深紅色の少女」を読み終えました。
本書は、本屋大賞翻訳部門1位を受賞した小説です。
主人公は17歳のスカーレットで、まだ会ったこともない伯爵と政略結婚させられる直前に、カラヴァルのゲームマスター・レジェンドから招待状を受け取ります。
カラヴァルの開催される島へ先に渡った妹テラを連れ戻すために、スカーレットはテラの恋人、船乗りのジュリアンとともに追います。
カラヴァルは、スカーレットが幼いころから憧れていた夢のイベントでした。
カラヴァルでは、虚実混淆の魔法に満ちたゲームが五夜に渡ってくりひろげられます。
話の展開は、キラキラした金や銀の色彩に溢れた描写とともに進みます。
姿を消したスカーレットの妹・テラの部屋にはレジェンドからの手紙があり、その中のヒントをもとに、スカーレットとジュリアンはドナテラを探します。
第一のヒントは「娘はレジェンドと共に消えた」。
第二のヒントは「娘の消えた跡に隠されている」。
第三のヒントは「自ら手に入れよ」。
第四のヒントを「得るために、大切なものが犠牲になる」。
第五のヒントを「得るには、信じて飛び込まねばならない」。
第一のヒントは第一夜、第二は第二夜、というように物語は展開していきます。
スカーレットとジュリアンの危ういやり取りが、恋愛少女小説のようなファンタジー風に仕上げられていて、少し引くところがありますが、全く少女向けというわけではありません。
17歳は、子供よりも大人に近い危うい年頃といったところでしょうか。大人の世界も知っている反面、夢見る乙女の心もあって、着かず離れすのジュリアンとの関係は一歩先へ進めば官能へ陥ってしまう危なさがあります。大人一歩手前のヤングアダルトロマンス小説といった感じです。
このような嗜虐的なシーンが、極彩色の幻想的な描写の間の、そこかしこに描かれ、単なる少女小説のようなものではないと読者は気づかされます。
17歳は、子供よりも大人に近い危うい年頃といったところでしょうか。大人の世界も知っている反面、夢見る乙女の心もあって、着かず離れすのジュリアンとの関係は一歩先へ進めば官能へ陥ってしまう危なさがあります。大人一歩手前のヤングアダルトロマンス小説といった感じです。
カラヴァルが開催されるのは日没~日の出の間で、日が昇るまでに宿に帰りつかないといけません。
スカーレットとジュリアンは、ゴンドラに乗ってカラヴァル内にある城に向かう途中、町の中で店から引きずり出される女性と、その女性をよってたかって打つ人々を目撃します。
驚くスカーレットに、派手な水色縞模様の姿をした彼女より少し年下の少女の船頭は「ああ、あれはキャストによるショーですよ。万引きしたとか、頭がおかしくなったとかいう設定でストリートショーをやっています。あなたたちも何度も目にするでしょう。お客さんが飽きないようにやってるんですよ。」と事もなげに言います。
体中に刻まれたタトゥーで、占いをする男も怪しげで危うさを感じさせますが、すべてがカラヴァルを演出するキャスト達のなせる技でした。
全ては、5感を震わせ刺激を喚起させるための、カラヴァルの演出で、どこまでが真実でどこまでが嘘なのか、頭の中は混乱しますが、それこそがカラヴァルの術中です。
作者ステファニー・ガーバーは、バリスタ、ウェイトレス、バーテンダー、販売員など様々な職を経て、大学で創作を教えながらこの作品を書いたと紹介されています。
一方ナショナル・パブリック・ラジオNPRのケイトリン・パクソンは、伝えたいことがはっきりとしないまま終わってしまっていると同作を評しています。
「すべてが幻想で、すべてが嘘」のカラヴァルの世界の5日間のラストに、何かしら腑に落ちないものを感じたのかもしれません。
