トルコのTFX「KAAN」

トルコの航空宇宙産業が開発中のステルス戦闘機で、正式名称は「TAI TF-X Kaan」です。

この戦闘機は、トルコ航空宇宙産業(TAI)とBAEシステムズがサブコントラクターとして開発しています。


TAI(トルコ航空宇宙産業)は2023年5月1日、独自開発の戦闘機TFXに「KAAN」(カーン)という愛称を付与したと発表しました。

KAAN」は、「支配者」や「王の中の王」という意味を含有するチュルク語を起源とする男性名詞です。



TFXは、TAI(トルコ航空宇宙産業)が中心となって開発中のジェット機で、TAIではアメリカ製のF-22「ラプター」やF-35「ライトニングII」、ロシアのT-50(のちにSu-57に改称)などと同じ、いわゆる第5世代戦闘機に分類しています。

機体サイズは全長21m(69フィート)、翼幅14m(46フィート)、全高6m(20フィート)。出力2万9000ポンドのジェットエンジンを2基搭載し、最高速度はマッハ1.8(高度約1万2000m)、実用上昇限度は約1万8330m(5万5000フィート)を計画しているそうです。

搭載されるエンジンについては、プロトタイプと初期生産機はF-16戦闘機と同じF110エンジン、量産機は国産エンジンの予定で開発が進められています。


トルコ国防産業庁のイスマイル・デミル長官は2023年3月23日、自身の公式ツイッターにおいて、同国が独自に開発した戦闘機「TFX」が、初のタキシングテスト(滑走試験)に成功したことを明らかにしました。

当初は2026年の初飛行を目指していましたが、2023年12月までに初飛行、2029年ごろの納入を目指しています。


トルコは2010年9月の時点で、韓国のKFX計画への参加に興味を示していました。

しかし、同年12月15日、トルコの調達担当の上級職員は「戦闘機の開発において、我々は真に対等な協力関係を必要としている。問題は、韓国が対等な関係には合意しそうにないことだ」と述べ、事実上KFX計画への参加を撤回しました。




北大西洋条約機構(NATO)に加盟するトルコでは、現在200機以上を運用しているF-16ファイティングファルコンC/D戦闘機の後継機として、初期から米国などとF-35共同開発プロジェクトへ参加していました。

100機程度の購入を予定し、すでに何機かはトルコ空軍向けに製造され、パイロット訓練も行われていました。

しかし、2019年にロシアの地対空ミサイルシステムを導入したことにより、このプロジェクトから締め出されました。

これによりF-35の導入が難しくなり、以降国産ステルス戦闘機の開発スピードを加速させていました。

トルコ空軍ではF-16の後継として100から150機のTFXを調達する予定で、実用化は2023年を目標とし2030年からの運用を予定しています。