女性が90代になっても腰が曲がらないようにするためには

 91歳の義母は腰が曲がり、少し歩くだけでも腰が痛いので、自由に外を出歩くことができなくなりました。

一方、95歳の義父は、色々と持病はありますが、背が大分縮みはしましたが、背筋は真っすぐ伸びて、15分くらいかかる大型スーパーへ徒歩で買い物に行くことができるくらい元気です。

男性と比べて、女性は歳をとると骨が脆くなるので、その差が大きいと思いますが、義父はゴルフが趣味で、数年前までよく打ちっぱなしに出かけて、体を鍛えていた効果が大きいのではないかと思っています。

女性が90代になっても腰が曲がらず元気でいられるようにするためには、その辺にもヒントがあるのではないかと思い調べてみました。


老人性円背

年齢を重ねていくと、同じ姿勢を続けることで腰が痛くなったり、動かしづらくなってきたりします。

それを放置しておくと徐々に腰が曲がり、「老人性円背(ろんじんせいえんぱい)」になります。

円背とはいわゆる猫背のことですが、高齢者に見られる円背のことを老人性円背と呼んでいます。

男性よりも女性に多くみられ、変形や骨折を繰り返し起こしたりすることで円背は大きくなっていきます。

骨粗鬆症は痛みを伴うことが少ないため知らず知らずのうちに骨折をして円背が進行していくパターンも多いようです。

痛みを伴うことは少ないですが、背を伸ばした際に骨折が起きたり、痛みが出現していしまい、最悪の場合、寝たきりになる場合もあるため注意が必要です。


原因

腰や背中が丸くなってしまう原因として加齢とともに多いのが、日常生活での姿勢の悪さです。

背中を丸めた猫背の姿勢が習慣化すると、背骨が大きく曲がることがあります。

デスクワークでパソコン作業が多い人や、スマートフォンやゲームを前かがみで長時間操作する人、またかつては良く見られた風景ですが、手作業で田植えをしてきた人などにもよく見られます。

背骨は本来、S字のような滑らかなカーブを描いて積み重なっていますが、高齢者の場合、背中を丸めた状態を続けていると、背骨が大きく曲がり円背になってしまいます。

これは、高齢者の場合は「骨粗しょう症」の影響によって腰が曲がりやすいと言われています。

年齢を重ねると自然と骨密度が低下して骨はもろくなり、また、骨と骨の間にある軟骨が弱くなり変形しやすくなってしまいます。

特に女性の場合は、骨粗鬆症になりやすいため、骨の変形や骨折には気を付けなければなりません。

骨や骨の軟骨が圧迫に耐えられない状態になると、少し力が加わっただけでも骨がつぶれてしまいます。

こういった圧迫骨折が重なると腰が大きく曲がったまま、もとに戻らなくなってしまうのです。

このように、高齢化により腰が曲がった状態は、圧迫骨折を伴っていることが多いとされています。

検査・診断

老人性円背の診断としては、X腺撮影の画像を見て判断します。

判断として、画像には椎間板や椎骨が潰れてくさび形に見えるようです。

また骨粗鬆症などを確認するために、血液検査やCT、MRIも行うこともあるようです。


老人性円背の健康への影響

老人性円背になると、足を上げる筋肉の働きが悪くなり、歩いたり立ち上がったりする日常生活における動作に支障をきたしてきます。

椅子からの立ち上がりなどで、重心移動が行いにくい、などの動作が行い難くなります。

また、 肩甲骨・肩関節の動きが悪くなり、手を高く上げられなくなったり、高いものに手が届かなくなります。

さらに身体のバランスが悪くなり転倒の可能性が高くなります。

その他、腰痛だけでなく膝痛や肩痛など全身の不調につながることもあります。

一度曲がってしまうと手術して直すほかありませんので、そうならないよう、早いうちから日々の生活のなかで予防をこころがけることが大切です。


老人性円背の予防法

老人性円背を防ぐためには、正しい姿勢を常に心がけることが最も重要です。

特に長時間同じ姿勢をとっている時は注意をします。

座っている時は、腰骨を立てるようにすると背骨がきれいなS字を保てます。

次に、背骨を支える筋肉をほぐすため、適度なストレッチを行うようにします。

上体を後ろにそらしたり、背筋を伸ばした状態で上半身をねじる運動などがよいです。

無理のない程度にゆっくりと時間をかけて伸ばしていきます。

そして、骨密度を保つために意識的にカルシウムを摂取するのも効果的です。

牛乳・チーズ・ヨーグルトなどの乳製品はカルシウムの吸収率が良いのでおすすめです。

カルシウムの吸収を助ける働きのあるビタミンDが豊富なイワシ・サケなどの魚類やキノコ類も一緒に摂取するようにします。


高齢者の「腰曲がり」

いわゆる腰曲がりの正式名称は「後弯症(せきついこうわんしょう)(前曲がり)」で、「成人脊椎変形」のひとつです。

三楽病院脊椎脊髄センターの佐野茂夫センター長によれば、原因となる疾患は主に「変形を伴う腰部脊柱管狭窄症」「骨粗しょう症による脊椎骨折」「変性後側弯症」の3つがあります。

「腰部脊柱管狭窄症」は、脊柱管と呼ばれる骨のトンネルが細くなり、神経が圧迫されて症状が出てくる病気です。

「特徴的な症状は、歩くと足がしびれたり痛んだりし、休憩するとそれらが消える間欠跛行です。

これに『すべり(前後、左右のズレ)』や『側弯(横曲がり)』が加わると強い症状が出て、徐々に腰曲がりになります」

「骨粗しょう症による脊椎骨折」は、骨折そのものが治っても、骨が変形して固まり、強い腰曲がりに至ります。

「変性後側弯症」は、椎間板の変性などの加齢現象による腰曲がりで、高齢になってから急速に進行します。

腰曲がりが引き起こす障害

腰曲がりが引き起こす障害は、「腰背部の痛み」「疲労感」「立ち上がったり歩行したりが困難になる」が代表的なものです。

日常生活の基本動作ができなくなり、引きこもりや、寝たきりを起こし、運動器の病気『ロコモティブシンドローム』につながります。

また、心臓や腹部が圧迫されて息苦しさや食欲不振、食べたものが食道に上がってくる逆流性食道炎のような症状が出てきます。

寿命が短くなるという報告もあります。


腰曲がりの予防

予防は具体的には、(1)骨を丈夫にする食生活を心掛ける(2)背筋、臀筋を鍛える(3)背骨を反らせるストレッチを日常的に行う、等です。

背筋、臀筋が衰えれば体を支えられず、前に曲がりやすくなります。

骨粗しょう症と診断されている人は、薬物治療を進めることが先決です。

「骨粗しょう症で適切な薬物治療を受けている人は2割程度」と指摘する骨粗しょう症の専門医もいます。

これは腰曲がりへの進行を阻止するチャンスを失っている人が多いということでもあります。


手術治療

腰曲がりがひどくなり、日常生活に支障が出てくれば、手術治療が検討されます。

大きく曲がった背骨を正常なカーブに矯正し、チタン製のねじやロッドを用いて固定する手術、変形矯正固定術です。

この手術は、患者の椎間板の硬さ、曲がりのパターン、程度などによって、アプローチの仕方を変えなくてはならない高難度の大手術のため、医師の経験値が大きく関係します。

ストレッチ



日本で最高齢の女性フィットネスインストラクター



瀧島未香(たきしまみか)さん(通称タキミカ)は、 1931年1月15日生まれ(92歳)の日本最高齢フィットネス・インストラクターです。


65歳でジムに通い始めて運動を始め、 79歳でパーソナルトレーニングを受け、 87歳でフィットネス・インストラクターデビューしました。