急激に肝臓が悪くなる疾患
数日前から、急激に肝臓が悪くなる疾患を患った近親者がいて、ネットで調べてみました。
肝臓の機能が急激に低下したことから、素人の私はてっきり酒が原因かと思いましたが、そう単純な話ではないようです。
医師から、生肉を食べたかと聞かれ、肉はよく焼いて食べる方なので心当たりが無いと答えたそうですが、実はこの質問の頭にはこの3~8週間或いは6か月の間という期間が漏れています。
急性肝炎
ネットで検索すると、何らかの原因により、急激に肝細胞が破壊され肝機能に障害を及ぼす病気を急性肝炎といい、多くはウイルスが原因となると書かれています。
ウイルスにはA・B・C・D・E型と5つの種類があります。
ウイルスの内、急性肝炎の主な原因となるのはA型とE型で、B型とC型は急性肝炎と慢性肝炎の両方を引き起こす原因となることが多いです。自然治癒の可能性もある病気ですが、放置することで劇症肝炎・急性肝不全などの重篤な症状を引き起こすこともあります。
急性肝炎と慢性肝炎
慢性肝炎が半年以上の肝機能異常とウイルス感染が続いた状態ですが、急性肝炎はそれより短いものをいいます。
ウイルスを原因とする急性肝炎(急性ウイルス性肝炎)は、ほとんどの場合自然に治まりますが、慢性肝炎に進行することもあります。
急性肝炎には、ウイルス性・薬物性・自己免疫性があります。
慢性肝炎には、ウイルス性・アルコール性疾患(肝硬変・肝がんへの移行あり)があります。
ウイルス以外の薬物性肝疾患や自己免疫性肝疾患もそれぞれ急性肝炎の種類の1つといえます。
ただし自己免疫性肝疾患は慢性肝疾患の種類にも分類される場合があります。
肝硬変や肝がんに移行するのは主に慢性肝炎で、自覚症状がほとんどないままに進むことがあるので注意が必要です。
急性肝炎で最も一般的な原因はA型肝炎ウイルスで、次がB型肝炎ウイルスです。
A型肝炎
汚染された水や生鮮海産物、生の貝類などを食べる事で起こる経口感染です。
海外渡航時などに生水や生ものの摂取で肝炎になるのはこのA型肝炎です。
B型肝炎
B型肝炎ウイルスに汚染された血液が傷口や注射の針事故などで体内に入り込む事で感染する血液による感染です。
感染経路は主に、出産時の母子感染、性交渉による感染、などが多いとされますが、医療現場での針刺し事故も有名です。
C型肝炎
B型肝炎と同じく血液によって起こる感染です。
感染力は弱く、血液に触れたぐらいで感染することは無いとされています。
日常の生活においてうつる心配は無く、ほとんどの場合は輸血によるものですが、他にもB型肝炎同様に医療現場での針刺し事故でも起こることもあります。
D型肝炎D型肝炎は、B型肝炎の患者だけに発生する肝臓の感染症です。
D型肝炎は、血液や他の体液への接触によって広がります。
D型肝炎の同時感染によって、通常はB型肝炎の症状が悪化します。
D型慢性肝炎の診断は、血液検査の結果に基づいて下されます。
D型急性肝炎に対して特別な治療法はありませんが、D型慢性肝炎の治療はインターフェロンアルファによって行われることがあります。
E型肝炎
E型肝炎は、E型肝炎ウイルスによる肝臓の炎症です。E型肝炎は、通常、感染した人の便で汚染されたものを摂取したときに感染します。
E型肝炎は、食欲不振、全身のけん怠感、黄疸など、ウイルス性肝炎の典型的な症状を引き起こします。
E型肝炎の診断は、血液検査の結果に基づいて下されます。
E型急性肝炎に対する特別な治療法はありませんが、ほとんどの患者が完治します。
E型肝炎が慢性化することは通常ありませんが、免疫機能が低下している人(HIV感染症の人や、がんに対する化学療法の薬など免疫機能を抑制する薬を使用している人など)では慢性化することがあります。
これまで中国、インド、メキシコ、ペルー、ロシア、パキスタン、中央アフリカ、北アフリカで流行が起きたことがありますが、米国や西欧では起こっていません。
効果的な衛生管理対策が行き届いている国では、感染例の大半が安全な水を確実に得られない公衆衛生状況がよくない国から帰ってきた旅行者で発生しています。
薬剤性肝炎
アルコール性肝炎
常習的にアルコールを多量摂取し続ける事で起こるものです。
自己免疫性肝炎
免疫機構に何らかの障害が起こり、肝障害を起こしてしまうものです。
劇症肝炎
感染症、脳浮腫、消化管出血、腎障害、などの重い合併症状を発生させて、多臓器不全を起こす可能性もあります。その為、劇症肝炎は肝臓病の中でも死亡率が高いものです。
発症
発症の原因としては、ウイルスによる感染が最も多く、ウイルスを介して感染して発症します。
特にA型E型の感染が多いのですが、A型E型は食べ物などを介して口に入ることで感染する経口感染です。
その他には服用した薬によって肝炎を発症する場合や何らかの要因で免疫機能に障害が起きることで肝炎を発症する場合もあります。
症状
急性肝炎の発病初期は風邪の症状(発熱、倦怠感、頭痛など)で始まるため、しばしば風邪と勘違いされるようです。
初期には自覚症状がないことも多いです。
急性肝炎の初期段階では風邪とよく似た症状で発熱や喉の痛み頭痛などがあります。
全身の倦怠感が表れ、目の結膜や肌が黄色くなる黄疸や尿の色が濃くなることで肝炎と診断されることが多いです。
肝炎に特異的な症状は黄疸(血液中のビリルビン濃度が上昇し、肌が黄色くなったり尿が濃くなったりする症状)です。
褐色尿で気が付くことが多く、進行すると尿の色はより濃くなり、皮膚や白目が黄色くなります。
その後嘔吐・吐き気・腹痛などがひどくなり、尿の色は黒に近くなります。
潜伏期間
肝炎ウイルスが体内に侵入してから症状が現れるまでの潜伏期は、3~8週間であることが多いですが、B型肝炎では6カ月になることもあるそうです。
そのため原因の特定が困難になることもあります。
潜伏期間ではありませんが薬の服用による急性肝炎については比較的早く、症状が現れるまでの期間は数時間から数日であるようです。
診断
急性肝炎の診断には、まず血液検査が行なわれます。
罹患している場合は、肝細胞内の酵素であるALTやASTの著明な上昇や、黄疸の指標となるビリルビン値が上昇します。
さらに、重症度の判断のために血液凝固能検査やアンモニア値の測定も行なうようです。
また、各ウイルスに特異的な血液検査を行なうことで、原因ウイルスの特定が可能になるようです。
ウイルスの種類により経過と重症度が異なるため、原因ウイルスの特定はとても重要とのことです。
E型ウイルスは食肉などからも感染するため、しっかりと加熱処理することが大切だそうです。
医師が生肉を食べたかと聞いたのは、このことだったようです。
他の人にうつるか
ウイルスによる急性肝炎の場合は、飲食物などを介してウイルスが口から侵入して人にもうつります。ただ人によっては体内に入っても症状が出ない場合もあるため、まわりに急性肝炎の人がいる場合には注意が必要です。
食器やトイレを共用した場合、B型肝炎ウイルスがうつる確率はかなり低いです。
B型肝炎ウイルスは唾液にも含まれますが、血液や体液を介して感染するものなので、食事を一緒に食べることによる感染の心配はありません。
自宅のお風呂では、B型肝炎ウイルスが体液から水やお湯に溶け込む可能性もありますが、水中で薄くなるため、うつる確率は0%に近いです。
家族が介護を必要としており、入浴を介助した場合でも、B型肝炎ウイルスに感染することはないです。血液に触ってしまった場合は石けんで洗い流し、衣類は洗濯すればB型肝炎ウイルスを除去できます。
1948年7月1日~1988年1月27日の間で、満7歳になるまでに集団予防接種などを受けている場合、注射器の使い回しが原因でB型肝炎に感染しているケースがあります。
集団予防接種などが原因でB型肝炎ウイルスに持続感染した場合、B型肝炎給付金の支給対象になるので、該当する方は必ず請求しておきます。
1987年以降は注射器の交換が徹底されているため、現在は予防接種などが原因でB型肝炎ウイルスに感染することはありません。
安静
急性肝炎の場合何よりも安静にすることが大切で、安静にした上で低蛋白質・低脂肪の栄養を補給します。
安静にすることで肝臓の機能を回復させ、肝臓の働きを抑えることで肝臓を休ませる効果があります。