高齢者には電子体温計の音が聞こえないことがある
90代の高齢の義母から妻へ電話があって、非接触式の体温計を買いたいと話があったそうです。
理由は、現在腋の下で計っているデジタル電子体温計が、測るごとに数値が違うのと、あのピピピという測定完了のお知らせ電子音が聞こえないというのでした。
体温計が計る毎に数値が異なる
家庭にある「デジタル体温計」はほとんどの場合”予測式”です。
1分や数秒で測れる電子体温計で測定される体温は、検温開始からの温度と温度変化を分析し、データのアルゴリズムで予測値を出したものです。
あくまで予測の体温なので、実際の体温とはずれが生じます。正確な体温を知りたい場合は、『実測式』で測定する必要があります」
実測式体温計の場合、一般的にはわきで約10分、口中で約5分測定する必要があります。
予測式体温計のなかには、ブザーの後も検温を続けることで、実測式に切り替わるものが多いです。
体温計を脇に挟む時、下から斜めに脇の中心に当てるのが正しい体温計の当て方です。2度続けて測定する場合、既に温まっている体温計で計ると温度の上昇率が変わるので、測定値の誤差がおおきくなることがあります。
検温途中でエラーが出た時や、検温中に一度外してからすぐに検温を再開すると、通常より低い数値が表示される事があります。
何らかの理由で、検温を繰り返す場合は30秒以上待ってから、再測定するようにします。
高齢者には高周波音が次第に聞こえ難くなる
電子的に作られた体温計や電子レンジなどのお知らせ音は、もともと成人にとってもっともよく聞こえると言われる3000から4000ヘルツの音が設定されていることが多いです。
家電メーカーも「誰にでも聞き取りやすい周波数」ということで設定した音だったのですが、高齢になると徐々にこの周波数の音が聞こえにくくなってしまうということが近年になって判ってきたのです。
特に女性の方が高い音が聞こえづらくなる傾向が強く、夫には聞こえているのに奥さんには聞こえず、それで高齢夫婦の諍いの原因になってしまうこともあるようです。
そのこともあって近年は家電メーカーも徐々に電子音を低い音に設定するようになりつつあり、平成14年にJIS(日本工業規格:現在は日本産業規格)が高齢者のために「家電の通知音は2500ヘルツ以上の高い音を使わないようにしよう」と新基準を定めています。
ただし高い音でも充分に聞き取れていた人の中には「低い音は音が小さく聞こえる」という人もいて、難しい面もあります。
新基準は強制ではないので、従来の高周波お知らせ音を変更せずそのまま使用している機器も多くあります。
高齢者が体温計のお知らせ音が聞こえない対策として、聞きやすいピポピポ音が繰り返されるものや、メロディーで知らせるもの、振動で知らせるもの等があります。
体温計のお知らせ音が聞こえない高齢者には、時計を見ながら10分間測定してから体温計を抜くとか、砂時計を使ってスマートに時間測定をすることを習慣化するのが抵抗がないかもしれません。
電子体温計を使って当面の対策
従って、現状は、普及している電子体温計の方が、最近コロナ対策のためよく使われる非接触体温計よりも正確です。
お知らせ音の聞こえない高齢者の場合、時計を使って10分間測定後、体温計表示を確認するのが現実的です。砂時計を使ってスマートに測るのを習慣化するのも良いかもしれません。
お知らせ音でメロディーが流れる体温計
これは1曲の中に高い音や低い音が混在していることから、どの年齢層にも聞き取りやすいという利点があります。
振動で計測完了を知らせる体温計
他に振動で計測完了をお知らせする体温計や、締め忘れを音と同時にライトが点滅することでお知らせする冷蔵庫なども開発されています。非接触式の体温計
非接触式の体温計は、人の体から放射される赤外線を利用して測定しています。測定部分が皮膚の表面になるので脇や口内と比べると、外気温に影響されやすく測定する環境によってはズレてしまうことがあります。
従って非接触式体温計は、1度以上の誤差が出ることがあります。
額のある一定の幅を走査して、最も高い温度を表示すると非接触式の体温計のバラツキを小さくすることが出来ます。
耳の鼓膜の表面温度を測る非接触式体温計
額で計るよりも、耳の鼓膜の表面温度を測る方が誤差が小さくなります。予め耳を掃除しておいた方が良いですし、鼓膜に対して垂直にセンサーを向ける必要があるため少しコツを要しますので、高齢者には難しいかもしれません。
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