B型肝炎




妻から聞いて、B型肝炎についてテレビで放映されていたらしいので、改めてネットで調べてみました。


B型肝炎とは

B型肝炎(Bがたかんえん、英: Hepatitis B)とは、B型肝炎ウイルス (HBV) に感染することで発症するウイルス性肝炎の一つです。

ワクチンのある肝炎として、A型とB型がありますが、A型肝炎は食事などで感染し、急性肝炎が多いですが、B型肝炎は、肝臓に長く感染し、慢性肝炎になることがあります。

B型肝炎は、「Hepatitis type B」を略して、HBとも呼びます。

日本においてB型肝炎ウイルス保有者(キャリア)は、150万人程度といわれています。

その内の95%は自然治癒しますが、5%は肝炎発症となり、慢性肝炎、肝硬変、肝臓ガンへと進行することがあります。

血液を介して感染するため、従来の検査体制が確立されない時期に輸血を介して、または1986年に母子間ブロックが実施されるようになる前には母子感染で感染しました。

感染の予防策としては、注射器を共用しない、性行為時にコンドームの着用といったことがあります。 


感染について

B型肝炎ウイルスは、血液や体液の飛沫を介して感染します。

感染経路は主に以下があります。

成人以降での水平感染の多くは、一過性であることが多いです。

垂直感染:母子感染

水平感染:性行為・性感染症・輸血・臓器移植・針刺し事故・コンタクトスポーツ・刺青・ピアスの穴あけ・カミソリや歯ブラシの共用などでも感染の可能性があります。 

かつては幼児期(7歳まで)の輸血による感染が多かったのですが、現在では先進国では検査体制が確立したため、ほとんど見られません。

針刺し事故や覚醒剤注射の回し打ち・刺青での針の再使用などもあります。


集団感染訴訟 

日本では、戦後から1988年頃まで行われた、幼児期の集団予防接種における注射針や注射筒の使い回しにより、B型肝炎ウイルスが蔓延しました。

日本国政府は1948年には注射針・注射筒の連続使用の危険性を認識していましたが、40年にわたり使い回しの現状を放任していました。

2011年現在、推定150万人の持続感染者(キャリア)の内、集団予防接種による感染者は30%前後と言われています。

この集団感染訴訟は、2011628日に国と原告との間で基本合意が締結しました。

2012113日に特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法が施行されました。

裁判上の和解等が成立した者に対し、日本国政府は法に基づく給付金等を支給することになりました。

無症候性キャリア、慢性B型肝炎、肝硬変(軽度)、(重度)、肝がん、死亡等により50万円から3600万円が給付金として支給されます。


母子感染

母子感染の90%以上は、新生児にB型肝炎ウイルスが入ってしまい、ウイルスを持った共存状態になるキャリアーになってしまいます。

キャリアーになってしまうと、感染力を持ち、自らも慢性肝炎、肝細胞がん、肝硬変になってしまう可能性があります。

1986年から母子間ブロックが行われるようになってからは感染はほとんどありません。


症状

実際にはB型肝炎には症状がないことが最も多く、また症状があったとしても、いわゆる風邪のような症状だったり、だるさだけだったりします。

B型肝炎ウイルス(HBV)に初めて感染すると、下記のような症状が出ます。

全身倦怠感を感じる

食欲不振、悪心・嘔吐がある

B型肝炎に感染すると、多くは無症状で経過しますが、2030%の人が急性肝炎と言って、黄疸、発熱、倦怠感、発熱などが見られます。

ウイルス感染後に急性B型肝炎を発症(HBVの顕性感染)すると、下記のような症状が出ます。

・診察で肝臓の腫大が見られることがある

右背中に鈍い痛みがある

右背中を叩くと痛む

多くは自然に治ってしまうのですが、12%の人に肝炎が急速に進行し、肝臓が数日で機能しなくなる劇症肝炎があります。

重症化した場合は次のような症状が出ます 。

尿が紅茶のように褐色になる 。

皮膚に黄疸の症状が出る。

目の白い部分が黄染する。

上記のような症状が出た場合は、ただちに医療機関を受診する必要があります。

劇症肝炎の特徴は肝性脳症を発症することです。

肝性脳症は肝不全によって起きる意識障害で、言動がおかしくなったり興奮して暴れたり、重症になると昏睡状態(肝性昏睡)となり反応がなくなります。

劇症肝炎は死亡率が70の重症な肝炎です。

肝炎ウイルスに感染した人の1015%が、慢性肝炎、肝細胞がん(肝ガン)、肝臓が炎症で細胞が無くなって固くなってしまう肝硬変になってしまいます。

検査

肝臓専門医のいる病院、診療所では、一般に血液検査超音波(エコー)検査が行われます。

まずはB型肝炎にかかっているか。これは上記の血液検査でHBs抗原をチェックすればわかります。

特に体に異常がないのに検査を希望する場合は、保険が適応されません。

しかし検査は採血を一回するだけで済むので、検査費用は自費でも数千円程度です。

因みに私が住む名古屋市ではBC型肝炎検診が実施されています。

対象となる人は名古屋市民のうち、過去に肝炎ウイルス検査を受けたことがないです

検診料(自己負担金)無料です。

検査項目は所定の問診票に記入後、医師の問診及び血液採取による、CB型肝炎ウイルス検査が行われます

血液検査は採取後、10日から14日で結果が出ます。

もし血液検査でHBs抗原が陽性となり、B型肝炎にかかっていたことが判明した場合は、感染力の強さ、炎症の度合い、病気の進行度などを検査するために改めて血液検査をすることになります。

この場合も採血一回で検査は終了します。

ここからは保険診療になり、ウイルス検査を含めても、費用は5000円前後です。

血液検査では、肝炎ウイルスの有無を検査し、B型肝炎ウイルス持続感染者(HBVキャリア)かを知ることができます。

必要に応じて、HBe抗原、HBe抗体、HBVの量などについても調べます。

肝硬変かどうかは腹部超音波検査、腹部CT検査を行ったり、最終的には、肝臓の一部を採取する肝生検を行います。

これは、超音波で確認しながら針を皮膚から刺して、肝臓まで達すると小さなハサミで一部を採取する方法です。 

B型肝炎の感染状態を見るために、ウイルスそのものの表面に出ているマーカーを検査します。

ウイルスの表面に出ているのは、HBs抗原、HBe抗原、HBc抗原です。

そのマーカーに対する体の反応としてHBs抗体、HBe抗体、HBc抗体があり、これらの抗体があると、感染予防状態になったり、治ったことを証明することができます。


予防・治療

急性肝炎の場合には、肝臓を保護する治療が中心で、安静、点滴、肝臓を保護する薬、劇症肝炎では肝移植しかない場合があります。

B型慢性肝炎に対する有効治療は、インターフェロンとB型肝炎ウイルスDNAに対する薬です。

しかし、完全に体内からB型肝炎ウイルスをゼロにすることができません。

まずは発症させないためにも、B型肝炎ワクチンで予防を行うことが必要になります。


B型肝炎の治療費用・助成

一般的にB型肝炎の治療はインターフェロンやエンテカビルを用い、いずれも治療費が高額になってきます。

これら治療等に必要な医療費は医療保険が適用さ れますが、自己負担額が高額になった場合は、高額療養費制度の対象となり、一定の基準額を超える部分が保険から給付されます。

20104月からは、B型肝炎に対するインターフェロン治療、エンテカビルなどの抗ウイルス剤による治療に対する医療費助成がより強化されました。

これらの治療での自己負担額の上限が月1万円(世帯所得の高い方は2万円)まで軽減されています。