高齢者のお腹ぽっこりのリスク


最近、92歳になる義父のお腹周りが異状に肥満して、ズボンがどんどん履けなくなってしまうので心配です。

血圧も今のところ、低くて高血圧ではないのですが、お腹まわりだけがぽっこり太くなっていきます。


高齢になると脂肪がつきやすい

年をとると体の様々な細胞や器官が衰えてしまい、基礎代謝が低下し、同じ運動をしても若い人より、消費カロリーが少なくなります。

外出の意欲や機会が減るなど、日常の活動量も低下しがちで、基礎代謝が落ちると、摂取カロリーを消費することができず、余ったエネルギーが脂肪としてお腹に蓄積されていくことからぽっこりお腹になってしまいます。

高齢者の肥満は、脳や心臓、うつなどの病気のリスクを高めるため、注意が必要です。


BMIが基準値でもお腹周りはメタボ

厚生労働省の調査によると、BMI(体格指数)では肥満(BMI25以上)に該当しないものの、腹囲がメタボリックシンドロームの基準値(男性85センチ、女性90センチ)以上の割合は、年齢とともに増える傾向にあるとのことです。

一般的に、ウエストが女性なら89センチ、男性なら101センチを超えると腹部の脂肪が危険なレベルまで増えている可能性があります。

高齢になるにつれて身長が縮み、筋肉が減って脂肪が増えやすくなります。

内臓脂肪量の目安となる腹囲が重要です。


筋肉量減少により内臓が下がる

インナーマッスルとは内臓に近い深層筋と呼ばれる筋肉のことをいいます。

しかし、老化や運動不足によってインナーマッスルの筋肉量が減少し機能が低下してしまうと、胃や腸といった内臓も下垂してしまうことがあります。

その結果消化機能の低下、ぽっこりお腹の出現になるということになります。

インナーマッスルは他にも姿勢を維持することに関連していきます。

姿勢が崩れてくるとお腹ぽっこりだけでなく腰痛や背中の痛み、転倒しやすい歩行にもなりますので注意が必要です。


心拍数が増加し心臓に負担がかかる

肥満になり体が大きくなると、毛細血管もその分長く伸びます。

すると心臓は、今までよりも遠くへ血液を送らなければならなくなり、心拍出量が増加し心臓に負担がかかります。

また動脈硬化の進行を加速させる危険性が高まります。

これは後に心筋梗塞や脳梗塞に繋がる重大な病気です。


生活習慣病を引き起こす

高血糖、高血圧、高脂血症などさまざまな生活習慣病を引き起こした状態、「メタボリックシンドローム」の原因となります。

糖尿病や、脳血管障害、循環器障害を引き起こす原因になります。


睡眠時無呼吸症候群のリスク

睡眠時無呼吸症候群はお腹だけでなく、肥満により首回りまで脂肪が取り巻くことで発症する可能性があります。

睡眠時の呼吸が行われないことで、死につながり、最悪な事態になります。


ひざや関節を痛める

ぽっこりお腹は肥満であることが多く、そのうちひざや関節の負担が出てくるようになります。

体重はどんどん重くなるのに、運動不足で筋力は減っていくので間違いなく関節を痛めることになります。

腰痛、膝の痛み、股関節の痛み、場合によっては歩けなくなる可能性もあります。

着替えや入浴、料理、掃除、洗濯、買い物などの日常生活動作(ADL)の質も下げかねません。

さらに転倒・骨折につながる恐れもあります。

その場合は介護が必要な身体になってしまいます。


動く気力の喪失

ぽっこりお腹になると体重が増加して動く気力さえも失われてきます。

するとかなりの確率で動くことが極端に減ります。

家では座りっぱなし、または寝ることが多くなります。


うつ状態になるリスク

東京大高齢社会総合研究機構などの研究によると、筋肉量が著しく減った状態のサルコペニアで肥満の高齢男性は、うつ状態になるリスクが2・7倍もあり、精神的にも悪影響を及ぼすことが分かっています。


認知症になるリスク

お腹ぽっこりで、内臓脂肪が多くなると、認知症を発症させる物質を分解するインスリン分解酵素の働きが悪くなるため、認知症の発症リスクが高くなるそうです。

全身肥満よりお腹ぽっこりの腹部肥満は30%も認知症率が上がるとのことです。

ぽっこりお腹の人は、アルツハイマーのリスクが高くなることが、研究で明らかになっています。


高齢者のぽっこりお腹を脱却する方法

ぽっこりお腹の解消には、なんといっても運動が不可欠です。

筋力が落ちると、心肺機能の低下や死亡のリスクも高まります。

生活の中に適度な運動を取り入れることが望ましいです。

太ももやお尻の筋肉を鍛えるスクワットが、歩く力を維持するのに効果的です。

ウォーキングをするときは、背筋をまっすぐに膝を伸ばして歩くと脂肪を燃やす効果が高まります。

最初は10分でもよいですが、理想は30分毎日歩くことで、少しずつ脂肪燃焼ができてきます。


また腹筋のインナーマッスルを鍛える方法は、「息を吐き切ってできる限りお腹を凹ませた状態をキープ」することで強化されるます

時間にして30秒ほどでOKです

慣れてきたら、お腹を凹ませたまま呼吸するようにすると、キープする時間を1分くらいまで伸ばすことができます。

すわったままで上体をねじったり折り曲げたりすると、腹筋にさまざまな方向から負荷をかけ鍛えることができます。


カロリーオーバーしない

高齢者の平均は1200kcal程度です。

この数値を超えることがないように、カロリーを制限することが必要です。

ただし、摂取カロリーを下げようとして朝食を抜くのは逆効果です。

1食抜くと、その次に食べたものが脂肪として蓄えられやすくなります。

極端な食事制限は体重は減りますがリバウンドの発生と、筋肉量減少による脂肪燃焼効果が低下するため推奨できません。

減量には、揚げ物と甘いものとお酒を控えることが必須です。

3食バランスよく食べることで徐々に体重は減り、ぽっこりお腹がなくなってきます。


筋肉のトレーニングは90歳以上でも有効

スペインのナバラ公立大学理学療法学部のミケル・イズクイエルド教授らの研究グループは、90歳を過ぎても筋トレにより筋力が増強し、転倒予防効果があることを一般高齢者で調査し、医学雑誌『加齢』に発表しています。

イズクイエルド教授は、91歳から96歳までの高齢者に、週に2回、筋トレや平衡性改善運動を組み合わせた高齢者用のエクササイズプログラムを12週間にわたり指導しました。

その結果、上肢の筋力が平均11%、下肢の筋力が平均20%増強していたそうです。

興味深いことに、筋トレにより筋肉量が増加して筋力が増強しただけではなく、メタボ(筋肉における代謝)も改善していたとのことです。


筋トレの方法

筋トレはまさにぽっこりお腹には最適な運動だと言えます。

筋肉をつけることで脂肪を燃やし、基礎代謝を向上させます。

また筋肉が鍛えられることで姿勢の改善、肩こり、腰痛の予防にもなります。

腹筋をすると内臓を正確な位置に戻してくれるのでぽっこりが解消してきます。

ただし起き上がる腹筋は効果がなくなるのと、腰を痛める原因になるので要注意です。

筋トレは、膝付きフロントプランク、フロントプランク、体側トレーニング、ツイストトレーニング、レッグレイズ等、やりやすいものから無理せず取り組んでいくと、ポッコリお腹解消に効果があります。