ピーマンの雑学


定年退職後は妻の料理をよく手伝うようになったのですが、その中でよく使う食材がピーマンです。

ピーマンは値段がそこそこ安いのと、野菜炒めなどで手軽に利用できるのがメリットです。


ピーマンとは

ピーマンはナス科の一年草、およびその果実です。

学名はCapsicum annuum L. 'grossum' であり、トウガラシの栽培品種に分類されます。

果肉は種子以外ほとんど空洞です。 


呼び名

日本語における「ピーマン」の由来は、広義のトウガラシを指すフランス語の「piment」ピマンあるいはスペイン語の「pimiento」ピメントとされます。

明治期では西洋とうがらし、甘とうがらしとも呼ばれていました。


歴史

ピーマンの祖先と言える唐辛子は熱帯アメリカ(中南米)が原産で、紀元前8000年頃には原産地付近の先住民族によって食用されていたと考えられています。

ペルーの先史時代の遺跡からなども発掘されており、栽培も非常に古い時期から行なわれていた可能性が高いと考えられています。

紀元前4000年頃に既に農業的栽培が行なわれていた可能性も示唆されています。

1493年にアメリカ大陸へと到達したコロンブスがスペインに持ち帰り、世界中に広がったとされます。

ただ、コロンブス自体は、西インド諸島で栽培されていた辛い唐辛子をコショウ(pepper)と思い込み、間違えて紹介したと言われます。

(そのため、ピーマンは英語でbell peppersweet pepperと言われます)

日本へはポルトガル人が持ち込んだ、朝鮮出兵の際に持ち帰った、南蛮貿易でタバコなどと共に持ち込まれたなど、諸説ありますが、いずれにせよ、16世紀頃、日本に導入されたとされます。

ただしこの頃、持ち込まれたのは、辛味種の唐辛子です。

江戸時代には野菜として食べなかったそうです。

ピーマンはヨーロッパからアメリカに伝わり、品種改良されて、明治時代に辛味のない品種が日本に伝わりました。

日本では当時「甘トウガラシ」と呼んでいました。


生産県

高温を好み、多湿と乾燥には弱いです。

日本では一年中流通していますが、これは冬から春にかけての寒い時期にはビニールハウスで加温して栽培されるためです。

これらの栽培は日本でも温暖な気候となっている宮崎県と高知県で特に盛んに行われ、日本国内で冬から春に出回るピーマンは両県産のものが多いです。

日本では5月頃に植え付けされ7月から10月頃にかけて収穫されるのが一般的です。

生産量の日本一は茨城県(2006年)、他に宮崎県、高知県、鹿児島県、岩手県、福島県などが主な産地として知られています。


味しいピーマンの選び方

ピーマンを選ぶ時は表面の色が濃く、艶の良いものを選ぶようにします。

ヘタの切り口は新鮮さを見分ける分かりやすいポイントなので、しっかりと瑞々しさが残っているものを選ぶと良いです。

全体の形は多少歪でも味に差はないと言われています。
形状よりもズッシリとした重さがあるか・果肉のハリ・ツヤが良いかを重視します。


ピーマンには色々なカラーのものがある

日本の店頭で食用として販売されるものは、明治初頭にアメリカから伝わったイスパニア種を品種改良した中形で緑色のものが多いですが、近年はカラーピーマンも出回っています。

緑色は未成熟の果実のためであり、成熟すると一般的なものは赤色のほか黄色、橙色に変わるものもあります。

北米では大形の成熟した様々な色のものが流通します。
その他に、未成熟で白色や、黒色(濃い紫色)、紫色のものもあります。

加熱すると緑色に変化し、熟すると橙色、赤色に変わります。


赤ピーマン

一般的なピーマンを赤くなるまで熟させてから収穫したものです。

通常のピーマンと比べて7週間ほど後に収穫しなければならないため、生産量は少ないです。


パプリカ

苦みがほとんどない、肉厚で大型のベル型ピーマンを指します。

日本では宮城県、茨城県、熊本県で多く生産されています。
韓国やオランダから輸入されることもあります。


脳梗塞・心筋梗塞の予防

ピーマン独特の少し青臭く感じる香りの成分「ピラジン」には、血液をサラサラにする効果があります。

血小板が凝縮するのを抑え、血栓や血液凝固を防ぐ事ができるので、脳梗塞や心筋梗塞の予防に大きな期待が持たれています。

ちなみに、このピラジンという栄養素、実は普段捨ててしまいがちな種の部分に多く含まれています。

そのため、料理本などでは種やわたは取り除いてと記載がありますが、ピラジンを摂取する際はまるごと食べるのが推奨されます。


高血圧の予防効果

ピーマンは高血圧を予防してくれる効果もあります。
ピーマンにはミネラルも含まれていて、 その中でもカリウムが血圧を下げる効果があります。

ピーマンに含有するカリウムが血圧を調整し、 高血圧の原因の一つである塩分の摂りすぎを 解消してくれます。


免疫力を高めてくれる

β-カロテンが体内に入ることでビタミンAに変換されます。
ビタミンAは鼻や喉、肺などの粘膜の材料になり、ウィルスの侵入を防ぐ効果が期待できます。

結果ピーマンを食べると、免疫力を高めてくれます。

ピーマンは粘膜などを強くしてくれる ので、 ピーマンを食べることで、 細菌などに負けない身体づくりができます。

免疫機能が高まることで風邪が引きにくくなります。


がんの予防効果

ピーマンはガンの予防効果があります。

これはピーマンの色素のクロロフィルに 抗がん作用があり、ピーマンを食べることで 身体の中でガン細胞が活性化するのを 抑えてくれます。


むくみ改善

カリウムは体の水分を調整する効果があります。

足や顔に水分が過剰に溜まっていまうと「むくみ」になっています。

カリウムは過剰な水分を排出する効果があるので、顔や足の水分を排出する手助けをしてくれます。


ストレス対策・疲労回復

ピーマンに豊富に含まれているビタミンCは副腎皮質ホルモンや神経伝達物質の合成に関係するビタミンでもあります。

正常な神経伝達を保持するためのサポートとしては勿論ですが、副腎皮質ホルモンはストレス下で分泌されることが多いため別名「抗ストレスホルモン」とも呼ばれる存在です。

ストレスなどにより分泌量が増えるとビタミンCの消費も激しくなり、ビタミンCが不足するとストレスに対しての反応が取れにくくなると考えられています。

このためビタミンCの適切な補給はストレス耐性を高めることに繋がるとされ、ビタミンCは“ストレスと闘うビタミン”とも称されています。

人の体はストレスを受けると活性酸素が増加することも指摘されていますから、抗酸化物質の補給という面でもストレスの軽減に繋がる可能性があります。

そのほかビタミンCはエネルギーを作り出すカルニチンの合成に関わる栄養素でもありますし、ピーマンにはビタミンB6を筆頭に代謝をサポートしてくれるビタミンB群も含まれてます。

こうした成分を含むことからピーマンやパプリカ・シシトウなどは疲労回復や夏バテ軽減のサポートとしても役立つと考えられています。


アンチエイジング効果

ピーマンには多くの「ビタミンC」が含まれていますが、「フラボノイド」という成分のおかげで、熱に弱いはずのビタミンCが、加熱しても破壊されにくくなっています。

そのため、ビタミンCがたっぷり含まれているレモンよりも、多くのビタミンCを摂取することが可能です。

ビタミンCは、シミやそばかすの原因となるメラニン色素を防ぐ効果があり、コラーゲンの生成も助けてくれます。

ビタミンCには、抗酸化作用があり、活性酸素の発生や酸化力を抑え、動脈硬化、皮膚や血管の老化を防ぐ効能があります。

また、ビタミンEの助けも加わり新陳代謝を高めてくれるので、アンチエイジング効果が期待できます。

ビタミンEは「若返りビタミン」と呼ばれることがあるほど、エイジングケア効果が期待されています。

ビタミンEは脂溶性ビタミンとして、細胞膜に存在しています。

活性酸素の攻撃から細胞膜を守る働きをしています。
ビタミンEは体内で生成されないので、ピーマンやパプリカなどから摂るしかありません。


便秘予防・腸内環境サポート

ピーマンは生100gあたりの食物繊維量2.3gと、野菜類の中で特に食物繊維が多い食材という訳ではありません。

しかし食物繊維の働きで便通を整え、腸をキレイに保つ手助けが期待されています。

それは豊富に含まれているビタミンCに便を柔らかくしたり、腸内善玉菌のエサとなる働きが期待されているからです。

また、ピーマンに含まれている食物繊維は便の量を増やして腸を刺激し蠕動運動を促す、腸の老廃物を巻き込んで排出させるなどの働きを持つ不溶性食物繊維が多いため、便秘予防に繋がる可能性があります。

加えてピーマンに含まれている葉緑素(クロロフィル)は食物繊維の約5000分の1と非常に小さく、食物繊維では届かない小腸絨毛の奥に蓄積した有害物質・金属類(水銀や鉛)などを取り除く働きがあると考えられています。

この働きからクロロフィルはデトックス成分として注目されていますから、食物繊維と相乗して便秘の解消・腸を綺麗に保つ働きが期待できます。

デトックスという点ではクエルシトリンにも緩下・利尿作用があるとする説もあります。


ダイエット効果

ピーマンに含まれる「カプシエイト」には、体温を上げる効果や、体内脂肪を燃やしてエネルギーにする効果があると言われています。

カプシエイトは、とうがらしに含まれる辛み成分「カプサイシン」に似ていますが、辛みがないのが特徴です。

とうがらし等の辛いものを食べて汗をかくダイエット方法がありますが、カプシエイトとカプサイシンは効果が似ているので、辛みが苦手な方には、ピーマンのほうがオススメです。

また、カプサイシンは血圧変動を起こしやすいですが、カプシエイトはそのようなことも起こりずらいので、血圧の急激な変化が心配な人にも安心の成分と言えます。