もやしのトリビア


もやしは一年中安いので色々な料理で使われている定番の食材です。
一件栄養が無いように見えますが、意外と多くの栄養素を含み色々な効能もあります。

もやしとは

モヤシ (もやし、糵、萌やし) とは、主に穀類や豆類の種子を人為的に発芽させた新芽です。
ただし単に発芽させたものでなく、暗所で発芽させ、徒長軟化させたものです。
一般的に、光がないところでは植物はなかなか育たないといわれています。
ところが「もやし」は例外で、光がなくても育ちます。
もやしというのは、豆の種に光を当てずに発芽させたもので、水だけで育つといえます。
豆の種を水に浸し、暗いところにおいておくだけで育ち、モヤシになります。
もやし栽培には肥料も必要なく、ただ水があれば育つ理由は、豆が自分自身の栄養を使って育つからといわれています。
もやしは豆の体内にある栄養と水だけで育つため、光がいりません。

呼称の由来

漢字でもやしのことを「萌」と書きます。
もやしというのは、「芽が出る」という意味の「萌ゆ」から名付けられたといわれています。
この「萌ゆ」が「萌やす」になり「萌やし」と呼ばれるようになりました。
そこから省略して「萌」と書くようになりました。
呼称は「萌やす」 (発芽させる意) に由来しますが、発芽野菜(新芽野菜)を総称してスプラウト(英: Sprout)といいます。


分類 

スプラウトは生育方法により、アブラナ科のかいわれ大根などのグループとマメ科のモヤシなどのグループとに分けられ、前者が種から根を伸ばすのに対し、後者は頭部に種子を付けた状態で伸びていく違いがあります。
また、栽培方法も、かいわれ大根などは茎が伸びた後は光を当てて栽培するのに対し、モヤシは光を当てることなく暗室のみで栽培するのが一般的です。
豆類のモヤシはビーンズスプラウト(ビーンスプラウト、Bean sprout) ともいいます。 

種類

もやしの主要な原料は大豆、緑豆、ブラックマッペなどです。
ムラサキウマゴヤシ (アルファルファ) のもやし (糸もやし) やソバのもやし (そばもやし) もあり、サラダなどに使われています。
中国ではエンドウをモヤシにした豆苗が栽培されており、欧米ではフェヌグリークやアルファルファなどの豆類ももやしも一般的です。

大豆もやし

大豆を原料として発芽させたものを大豆もやしといいます。
韓国料理や中華料理での炒め物に多用されますが、これらで使われるのは大豆による「大豆もやし」が一般的です。
沖縄ではマーミナー (豆菜) と呼ばれ、チャンプルー (炒め物) によく使われます。
青森県には大鰐温泉もやしという長さ30cm程度の大豆もやしが存在します。


緑豆もやし

緑豆を原料とするもやしを緑豆もやしといいます。
近年ではもっとも生産量が多い ポピュラーなもやしです。
太めで食味は比較的淡泊でクセがありません。


ブラックマッペもやし

黒豆は「ブラックマッペ」とも呼ばれます。
ブラックマッペ (ケツルアズキ) の黒色の種子を発芽させたもやしを、黒豆もやしまたはブラックまっぺもやしといいます。
「緑豆もやし」が開発される前は 日本のほとんどが黒豆もやしでした。
クセがありますが甘みがあるのが特徴です。
原料のブラックマッペ (ケツルアズキ) は、戦後にタイ、ミャンマーからの輸入が始まり、中華料理の普及と共に1965年 (昭和40年) 頃からブラックマッペもやしの消費量が増加しました。
以後、1985年 (昭和60年) 頃になるとスーパーマーケットに定着し、ラーメンや鉄板焼き (ジンギスカン鍋) の需要から人気は急激に高まりました。
手軽に購入でき多様に調理が出来るブラックマッペもやしの普及にしたがい、生産コストの高い小豆もやしや大豆もやしは衰退しました。


アルファルファもやし

アルファルファもやしは、マメ科ウマゴヤシ属の多年草、アルファルファの芽生えたもの、スプラウトです。日本名は「紫うまごやし」「糸もやし」とも呼ばれています。
主に牧草として栽培されるマメ科の植物で、欧米では『食料の父』とも呼ばれるほど栄養価が高い「もやし」です。
シャキシャキとした食感で、ビタミンやミネラルなどの栄養をバランス良く含み、サンドイッチやパスタ、和え物、サラダなど様々な料理に利用されます。


豆もやしの栽培

原料の豆の種類はブラックマッペ、緑豆、大豆の三種があります。
豆を流水で10分ほど洗い、豆の量の3倍の水に一晩漬けておき、湯に15分ほど浸漬し真菌などを殺菌し、通気性のよい薄暗い部屋 (軟白栽培) で水を取り替えながら置くと7日 - 10日程度で発芽します。
成長が早いうえ、通年で栽培できるため安価な値段で取引されます。

歴史

もやしは人類が初めて植物の種子が発芽することを発見し、その普及に成功したことから始まったと言われています。
発芽や発育の方法は、中近東地方から、トルコ、イラク、を経て中国に渡り、それが広く拡散したものとの説が有力の様です。
豆の種子から発芽栽培する方法は、数少ない貯蔵できる食物を発見したという意味で重要でした。
豆の種子を貯蔵、その後に栽培することによって、共同生活発展の原動力ともなりました。


日本での歴史

日本で最初にもやしの確認が出来るのは、平安時代に書かれました「本草和名」(日本で最も古い薬草の本)で、その中に「毛也之」(もやし)と紹介されており、薬用として栽培されていた様です。
江戸時代の「和漢三才図会」という文献によると、黒豆を発芽させて芽が5寸(約15センチ)程の長さになった所で乾燥させて、煎ってから服用すると、皮膚の腫れや膝の痛み、スジの突っ張り等に効くと書かれています。
現在の食用を意識したモヤシ物は、1850年以降、長崎に漂着した異人が伝えた栽培方法が江戸に伝わり広まったものです。


日露戦争では特に203高地の戦いにおいて、日本軍は大豆からモヤシを作る技術を知っていたので兵士のビタミンを供給でき、モヤシを知らなかったロシア軍は壊血病になって負けた、という俗説があります。

第二次大戦中、光のない環境で容易に栽培でき、ビタミンが豊富なことから潜水艦内でも栽培されました。




もやしの選び方
ひげ根が短くて透明感があるもの、軸の色が白くて茶色い変色がなく、茎(可食部分)は太く、ハリ・ツヤがあるもの、豆付きのもやしは、豆が開いていなく、黒ずんでいないものを選びます。

保存方法


保存する際、開封したもやしはポリ袋に入れて軽く袋の口を閉じ、冷蔵庫で保存します。
もやしは水分を多く含み非常に痛みやすい野菜です。(保存期間は2日間)。
保存方法で食感を重視する場合は、タッパーやボウルにもやしを入れ、もやしが浸るまで水を入れて、冷蔵庫で保存し、水は毎日替えます。
栄養価は落ちますが、シャキシャキとした食感は残ります。
栄養価を重視する場合は、もやしをサッと茹でサッと冷水に通し、水気をとります。
冷凍保存用パックにもやしを入れて冷凍庫へ保存します。
栄養価は保てますが、シャキシャキとした食感はやや落ちます。
もやしは日光が当たらない暗所で栽培されるため、大腸菌などの細菌が繁殖しやすい野菜です。
摂取する際はしっかりと加熱調理をし、スーパーの店頭に並んでから23日以内に食べるようにします。(大腸菌は75度で1分間以上の加熱で死滅します)


免疫力が高まる

もやしに含まれているビタミンCには、「免疫力を高める」という効果があります。
これは、肝機能を正常に働かせてくれるほか、風邪やウイルスにかかりずらい身体に変えていくことができます。
また、カリウムも豊富に含まれているので、血液循環がスムーズになり、各所の臓器に良い影響をもたらしてくれます。


尿酸の生成を促す効果

もやしにはモリブデンという栄養が豊富に含まれています。
もやしには野菜平均の3倍以上のモリブデンが含まれています。
ちなみに、ここでいう「もやし」とは、緑豆もやし(日本で最も多く出回っている)のことです。
大豆やブラックマッペにはモリブデンは含まれていません。
緑豆もやしに多いモリブデンとは、ミネラルの一種で、キサンチンオキシダーゼの補酵素になる働きがあり、尿酸の生成を促す効果があります。
モリブデンには鉄分の利用を促す作用があることから、貧血を予防する効果にも期待ができます。さらに葉酸にも貧血を防ぐ効果があるため、もやしは貧血予防のサポートに役立つ野菜です。


疲労回復効果

もやしにはアスパラギン酸という成分が含まれています。
アスパラギン酸はアミノ酸の一種で、大豆などの豆類、もやし、サトウキビ、アスパラガスなどに多く含まれています。
アスパラギン酸はもともと、アスパラガスから発見されたことからこの名がついています。
アスパラギン酸の効果はタンパク質の合成に関わり、カリウムやカルシウムなどのミネラルと結合して細胞に運ぶ役割があります。
また、疲労回復、アンモニアを尿に合成する作用、肌の潤いを保つ効果などもあります。


腸の働きや環境を整える効果

もやしにはアミラーゼと呼ばれる消化酵素も含んでいます。
別名、ジアスターゼとも呼ばれます。
こちらもビタミンC同様、豆が発芽する過程で増える栄養成分です。
もやしにはこうした、豆の段階の栄養と成長する過程で増える栄養があります。
アミラーゼは消化を行う酵素の一種で、食べ物の消化を助けて、腸の働きを整える効果、胃もたれや胸焼けを防ぐ効能が期待できます。
また、もやしには豊富ではありませんが食物繊維も含み、中でも不溶性食物繊維が多いことが特徴的です。
不溶性食物繊維は胃や腸で水分を吸収し、膨らむ性質があります。
これにより、腸内環境を改善する効果、排便を促す効果に期待が持てます。
また、食感を良くするためにもやしのひげを処理すると、食物繊維量が減って効果も落ちるので、できれば取らないほうがよいです。


老化防止、ストレス対策

もやしは豆を水に浸して日光に当てずに発芽させたものです。
元々、豆のビタミンCは微量ですが、豆を発芽させる過程でビタミンCが増加します。
もやしは発芽させる段階でビタミンCが増えるのが特徴です。
ビタミンCは、老化防止やがん予防、ストレス対策に効果的です。
また、美肌効果や肌荒れ防止、免疫力の向上や風邪予防などの効能も期待できます。
もやしのひげを取ると、調理の際にビタミンCが流れ出やすくなります。
少しでもビタミンCの流出を抑えるためには、ひげは残すと良いです。
またもやしに含まれるGABA(γ―アミノ酪酸)は、高血圧の予防、精神を安定させる働き、ストレスを緩和する作用があるとされています。
カルシウムにも、鎮静効果があります。
更に、もやしに含まれるビタミンB群にも、神経系に作用して、興奮を鎮めてイライラを取り去く働きがあります。
これらの有効成分は、ストレス性の不眠症などへの効果も期待できます。


筋肉や髪などを正常に保つ効果

もやしは豆が発芽したものですが、豆の部分には良質なタンパク質を含みます。
野菜でタンパク質が摂れるのは貴重です。
タンパク質は筋肉や皮膚、爪、髪などを作る主成分となり、筋肉や皮膚、髪などを正常に保つ効果があります。
その他の効果には、免疫力の根源となり、抗体の原料になる働きもあります。
タンパク質は生物が生きるのに欠かせない酵素の原料ともなるますので、私たち人間が生きる上で欠かせないと言えます。
もやし類のタンパク質量を比較すると、最も含有量が高いのが大豆もやし(100g中:3.7g)、少ないのが緑豆もやし(100g:1.7g)になります。


骨の強化

あまり注目されませんが、もやしが持つ栄養の中には、カルシウムも豊富に含まれています。
そのため、もやしを食べる事で骨や歯を丈夫にしてくれます。