コロナウィルスによる肺炎

このところ中国の新型コロナウィルスによる肺炎に関するニュースが毎日のように報道されています。

そもそもどのようなものなのか調べてみました。




コロナウイルス

風邪などの呼吸器感染症を起こすウイルスです。

名称は、表面に花弁状の突起があり、太陽のコロナのように見えることからこの名がつきました。

飛沫感染や接触感染で伝播し、通常は、軽度から中等度の呼吸器症状を起こしますが、SARSコロナウイルスやMERSコロナウイルスのように重症化するものもあります。



感染経路

コロナウイルスの感染経路には、「飛沫感染」と「接触感染」がある、と考えられています。 

「飛沫感染」とは、感染者がくしゃみや咳などをする時に、ツバなどの飛沫(=しぶき)とともにウイルスが飛び散り、別の人がそのウイルスを口や鼻から吸い込み感染してしまうことです。 

接触感染とは、感染者がくしゃみや咳をする時に口を手で覆うなどして手がウイルスを含んだ唾液で汚染され、手で触れてモノの表面にウイルスが付き、別の人がそのモノに触ってウイルスが手に付着し、その手で顔(口や鼻の周囲などの粘膜)に触ることで体内にウイルスが入り込むことです。

特に多い接触感染の経路は例えば電車のつり革、バスのつり革、ドアノブ、各種スイッチ(照明のスイッチ、エレベーターのスイッチ、エアコンのスイッチ、コピー機のボタン、PCの電源スイッチやキーボード、 等々)などです。(また、スーパーやショッピングセンターの買い物かごの取っ手、ショッピングカートの取っ手 等々 も経由して感染する可能性があります)


感染予防

コロナウイルスに対しては、通常のインフルエンザウイルスと同様の感染予防法が有効だと考えられています。

つまり、手洗い、マスクの着用、粘膜を護るために湿度を50~60%に保つこと、などです。

咳や発熱などの症状のある人に近づかない、人混みの多い場所に行かない、ということも重要です。 


手洗い

つり革、ドアノブ、スイッチなど様々なものに触れることにより、誰の手にも(コロナ)ウイルスが付着している可能性があるので、以下のような時にこまめに手洗いを行います。

外出後の帰宅時
調理を行う前、および後
食事前

(自分の顔に触れる前は毎回)


マスクの着用 

感染者がマスクをすると咳やくしゃみによる飛沫及びそれらに含まれるウイルス等病原体の飛散を防ぐ効果が高いとされています。

 一方、未感染者にとっては、相当混み合っている場所、また屋内・乗り物など換気が不十分な場所では、やはりマスクをすることは有効な方法のひとつだと考えられています。

ただし、屋外や人の少ない場所では、マスクをつけていてもつけていなくても さほど変わりは無いです。


湿度を50~60%に保つ 

空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下してしまうので、乾燥しやすい室内では加湿器などを使って、適切な湿度(50~60%)を保ちます。 


健康管理 

普段から、十分な睡眠とバランスのよい食事を心がけ、免疫力(自己治癒力)を高めておくことが肝要です。


殺菌・消毒 

 コロナウイルスの表面はエンベロープ(外膜)と呼ばれる脂質で覆われており、アルコールによる消毒殺菌が可能で、石鹸などの界面活性剤にも弱いようです。


症状と治療法

風邪、その他重篤な呼吸器症候群、肺炎において、いずれもウイルス性疾患であるため、抗生物質は効きません。 

ヒトに対し安全性・有効性の両方が確認されているワクチンは、治療用・予防用どちらも存在しません。 

風邪と同様、解熱薬やその他の対症療法によって治療します。 

潜伏期間は長くて14日程度との見方が有力です。


アウトブレイク

たちの悪い流行病・感染症の突発的発生をいいます。

「感染症集団発生」ともいい、また「感染症集団発生」の前段を略して「集団発生」と表現されることも少なくありません。

 医療施設内で起こるアウトブレイクは「院内アウトブレイク」と呼ぶこともあります。 

アウトブレイクと似て非なる概念として、「エンデミック(英: endemic)」「エピデミック(英: epidemic)」「パンデミック(英: pandemic)」があります。

「エンデミック」は地域や季節的周期で罹患率が一定している状態をいい、しかも伝染病に限りません。

「エピデミック」はエンデミックの範囲(地域的・季節的想定範囲)を越えてしまった想定外の状態をいいます。

「アウトブレイク」はこれらとは言語的に異なる概念ですが、特にエピデミックが極めて異常な規模にまで拡大した場合に用いられることが多いです。

そして「パンデミック」は、原因の共通するエピデミックが世界の広範な地域で同時に発生している状態、または、アウトブレイクが長期に亘って多数の国・地域で連続的に発生している状態を指します。


アウトブレイク事例1(重症急性呼吸器症候群)

2002年に発見されたSARSコロナウイルス (SARS coronavirus; SARS-CoV) によって引き起こされるウイルス性の呼吸器感染症です。

キクガシラコウモリが自然宿主であると考えられています。


中国広東省を起源とした2002年11月から 2003年7月における流行では、中国を中心として全世界で約8,000人が感染し、774人が死亡しました。(致命率約10%)

広東省(珠江デルタ地帯付近)が発生地とされています。


アウトブレイク事例2(中東呼吸器症候群)

2012年に発見されたMERSコロナウイルス(MERS-CoV)により引き起こされるウイルス性の呼吸器感染症です


ヒトコブラクダに風邪症状を引き起こすウイルスで、ヒトに感染すると重症肺炎を引き起こすと考えられています。

2012年9月に発生し2020年1月現在でも流行中です。

2020年1月27日時点で、約2,490人が感染し、約850人が死亡しています。

約27ヶ国に感染例が波及しています。 

2013年5月15日、世界保健機関(WHO)は患者が入院したサウジアラビアの病院の2人(看護婦と医療関係者)への「ヒトヒト感染」が初めて確認されたと発表しました。

この疾病はその後、2015年5月から7月にかけて韓国でアウトブレイクを引き起こし、186人が感染し、そのうち36人が死亡しました。(2015年韓国におけるMERSの流行)

2019年においてもサウジアラビアにおいて14人が感染し、そのうち5人が死亡しています。


アウトブレイク事例3(2019年の新型コロナウイルスによる呼吸器症候群)


2019年12月31日に最初にWHOに報告された2019-nCoV(2019新型コロナウイルス、仮称)による疾患およびその流行です。

新型コロナウイルスの感染源は,中国湖北省の武漢市と報道されています。

このウイルスについて、日本厚生労働省は単に「新型コロナウイルス」と2020年1月時点で呼称しています。

主に中国国外のメディアは地名をとって「武漢肺炎」「武漢海鮮市場肺炎」「武漢コロナウイルスによる肺炎」などと呼ぶことも多いです。

2019年12月8日、武漢市で原因不明の肺炎患者が最初に報告されました。

このときは公表されませんでしたが、12月30日、保健機関が作成した内部報告の公文書「原因不明の肺炎の治療の改善に関する緊急通知」がインターネット上で出回ったため、翌31日に湖北省武漢市疾病予防センターは、武漢市で原因不明の肺炎が発生していること、患者が華南海鮮市場の出店者であることを認めました。

症状は発熱、全身倦怠感、乾いた咳などがあり、入院患者では呼吸困難や胸の圧迫感も多いです。

また、入院時のバイタルサインは比較的安定しています。

ただし、発熱せずに死亡した人もいるので、発熱検知装置だけで検出できない可能性もあります。

新華社通信は、患者の当初の症状は、肺炎に特有の発熱や咳だけとは限らず、下痢や吐き気、頭痛や全身のだるさなど、消化器系や神経系の症状の場合もあり、早期の診断を難しくしているとして、病院の医師らが注意を呼びかけていると伝えています。

予防のため石鹸による手洗いが推奨されており、洗わない手で鼻や目や口などの粘膜に触らないよう注意が必要です。

また消化管からの感染も起こりうるため注意する必要があります。

消毒では消毒用アルコール (70%)や次亜塩素酸ナトリウム (0.1%)が有効とされます。 

新型コロナウイルスでは不明なものの、他のコロナウイルスでは低温低湿で活性状態が続き、温度20度/湿度50%で不活性化が進みやすいという屋内環境での実験結果が存在します。 (ただし単純に湿度の高い方が良いというわけではありません)

また機内など人が密集しており患者に1m以上近づく可能性のある場所ではマスクをつけることで鼻・口の粘膜への飛沫を防ぐことが出来ます。

また、ゴーグル・眼鏡により目の粘膜への飛沫を防ぐことが出来ます。

マスクやゴーグルの表面にはウイルスが付着するため、扱いには注意する必要がある。

2020年01月31日現在、新型コロナウイルスによる肺炎で、中国国家衛生健康委員会は30日、中国本土の死者が170人、感染者は7711人になったと発表しました。

世界全体での感染者は8100人を超え2002~03年に大流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の8096人を上回りました。

日本国内の感染者も1月31日現在で、14人が確認されました。