ロールケーキのトリビア

最近は少し減りましたが、以前はロールケーキを買ってくるのが我が家の定番でした。

3時のお茶や食後のデザートに出されると、少しだけ特別感があってうれしいものです。

ロールケーキとは

ロールケーキは、ケーキの一種です。

薄く焼いたシート状のスポンジケーキに、ホイップクリームやジャム、カスタードクリーム、フルーツなどを乗せ、渦巻き状に巻いた円柱型のケーキの全般の事を指します。

また、厚さ2~3㎝位に輪切りスライスしたものもロールケーキと呼ぶことがあります。

名称について

フランス語ではルレ (rouleau)、あるいはルラード (roulade) と呼びます。

フランスのクリスマスケーキの一種のビュッシュ・ド・ノエル(ブッシュ・ド・ノエル、 仏:bûche de Noël、英:Yule log)はロールケーキの表面をココアクリームなどでデコレーションしたものです。

ジャムを巻いただけのシンプルなロールケーキをイギリスではSwiss roll、アメリカではjelly rollと呼ぶこともあります。 

日本では、山崎製パンの「スイスロール」が普及の一助となったことで、スイスロールの呼び名も定着しています。

作り方

薄い長方形に焼いたスポンジケーキに、ジャムやクリーム類(ホイップクリーム、バタークリーム、カスタードクリームなど)、細かく切ったり甘露煮(グラッセ)にした果物などを載せ、渦巻き状に巻いて作ります。 

スポンジ生地は、ココア・コーヒー・抹茶などを混ぜて作られる場合もあります。

また、生地や具に野菜を使用することもあります。

スポンジを巻いて作るので基本的に完成時には円柱状になり、食べる時には原則として適当な厚さに輪切りにして供します。 

外観は、巻いた後に何も飾り付けをしない、または粉砂糖を振るだけの単純なものから、さらにクリームなどを塗ったり、果物やチョコレートで飾った華やかなものまで様々です。


歴史

ロールケーキの発祥については、はっきりとはしていません。

以下のような説があります。 

スイスの料理ルーラードがイギリスに伝わり、参考としてお菓子にしたという説があります。

スイス旅行をしたヴィクトリア女王がイギリスに伝えたとする説もあります。 

スペインのカスティーリャ地方に「ジプシーの腕」(スペイン語: Brazo de gitano)と呼ばれる菓子があり、これがロールケーキの祖となったとする説もあります。

スペインは一時期ハプスブルク家の影響下にあり、ハプスブルグ家がスイス発祥であることから、上記のスイス料理の影響も考えられます。

逆に「ロールケーキはオーストリア、ハンガリーで発達した菓子であり、スイスの影響はない」とする意見もあります。 


日本への伝来

日本には16世紀半ばにポルトガルを経由して、果汁を加えたスポンジケーキを巻いたロールケーキの原型とも言える菓子が伝わったとされ、これから伊達巻が考案されています。

また、伊予松山藩では、あんをカステラ生地で巻く「タルト」が生まれました。 


フランスのブッシュ・ド・ノエル

ブッシュドノエル(bûche de Noël)は、フランスの伝統的なクリスマスケーキです。

ブッシュドノエルとは、主にロールケーキ表面をチョコレートクリームなどのクリームで塗ったものです。

薪や樹木のように見立て、クリームの表面をフォークなどで引っかき模様を付けたものもあります。

又、粉砂糖やクリームなどで雪を表現したり、雪だるまやキノコや小屋などを砂糖菓子でデコレーションしたものや、近年ではチョコレートの茶色いデコレーションの他に、ホイップクリームの白やベリーピューレなどの赤いクリームなどでデコレーションしたものもあります。

ブッシュドノエルとはフランス語で、ブッシュ=薪、ノエル=クリスマスの意味です。

ビュッシュ・ド・ノエルとも言います。

薪や樹木のように見立てたケーキにした由来は、いくつかあります。

1.冬至祭で燃やす丸太をかたどったとする説があります。

キリスト教普及以前に、北欧ではクリスマス時期になると神に捧げる儀式的な意味合いで、大きな丸太を何日も焼くという儀式が行われていました。

これを【ユール(冬至祭)】と呼び、その時に燃やしていた丸太の事をユールログと呼んでいました。

ユールログの灰は、無病息災や、井戸に入れれば水が良くなったり、畑の土がよくなるなど、来年の豊作や健康を祝う縁起物とされていました。

ですが、19世紀になると暖房器具が普及し、薪を燃やすことがなくなってきたので、縁起物としての意味合いを持つ【ユールログ=冬至祭の丸太】をかたどってケーキを作り、伝統を引き継いだとされる説があります。

2.また別の説で、キリストの生誕を祝い、夜通し暖炉に薪をくべて燃やし続けたことから、ブッシュドノエルのケーキが作られた、という説があります。

薪を燃やす、という慣習は、古来より何かしらの宗教的な意味合いを持っていたと考えられます。

3.さらに別の説として、貧しい青年が、恋人にクリスマスプレゼントを買ってあげることが出来ず、せめてものという意味で薪をプレゼントしたという事から作られたという説もあります。


日本のロールケーキ

日本でも第二次世界大戦以前からロールケーキ状の菓子は販売されていました。

これが一般に普及するようになったのは、1950年代に山崎製パンが「スイスロール」を発売したことに依ります。

1956年に山崎製パン創業者である飯島藤十郎がイギリスのケーキ会社を視察した際に製品化を思い立ち、1958年ごろから製造、販売を開始し、1964年には東京で大量生産のラインが完成し、以降、山崎製パンの日本全国展開と歩調を合わせて日本に普及しました。

日本ではスポンジ生地でクリーム(生クリーム)やジャムを巻いたシンプルなロールケーキがほとんどでした。

1992年にPatisserie KIHACHIが販売したフルーツなどを巻き込んだ「キハチトライフルロール」が先駆けとなり、クリームやスポンジ生地そのものに工夫を凝らした抹茶ロールやきなこロールや、スポンジ生地の上にデコレーションを施したものが登場するようになりました。 

2009年にはローソンが「容器に細長く切ったスポンジ生地を立てて円筒を作り、中央にクリームを充填する」という巻かないロールケーキ「プレミアムロールケーキ」を発売しました。

クリームをスプーンですくって食べるという食べ方も提案され、クリームを主体とした新たな潮流を築き上げました。

また、同時にコンビニスイーツのブームを引き起こしました。

ロールケーキの日

ロールケーキの日は、市やメーカー、店舗が設定していくつかあります。

6月6日


最もポピュラーなロールケーキの日は6月6日です。

一般的に「ロールケーキの日」といえばこの日のことを指します。

洋菓子店で独自のサービスをしているところも多く見られます。

この記念日は福岡県北九州市の「小倉ロールケーキ研究会」が2005年に制定して、日本記念日協会に登録されたものです。

もともとロールケーキの美味しいお店が並ぶ小倉の、町おこしとして決められました。

その由来は数字の6がロールケーキを巻いた形に似ているからということです。

加えて、ロールケーキの「ロ」がろくの「ろ」と重なるという理由もあります。

北九州市ではこの「ロールケーキの日」のイベントに力を入れていて、「北九州市をロールケーキで街起こし!」を合言葉に、2014年から毎年6月上旬に「ロールケーキフェスタ」が開催されています。 

市内から集まった人気店のロールケーキを、カフェ形式で楽しむことが出来るイベントです。 

会場には約20店舗以上のロールケーキが1,000カット並び、お目当てのロールケーキは購入してその場で飲食可能です。

また同時に、その年のテーマに沿った創作ロールケーキコンテストも行われています。



9月9日


9月9日は「秋のロールケーキの日」とされています。

「秋の」とついているので6月6日の記念日より後に作られたようですね。

スイーツメーカーのモンテールが制定して日本記念日協会に登録されています。

その由来は、数字の9がロールケーキを巻いた形に似ているため。

「クルクル」や「キュッキュッ」という語呂合わせという理由もあります。

さらにモンテールは毎月6日を手巻きロールの日に制定しています。


手巻きロールというのはモンテールの主力商品のひとつです。

普通のロールの断面が丸なのに対して、手巻きロールシリーズは6の形になっています。


11月6日

11月6日はアリンコのいいロールケーキの日です。

アリンコ(ARINCO)というのは、各地の材料を使ってそれぞれ独自の商品を販売しているこだわりのロールケーキ専門店です。

運営している株式会社パティスリードパラディが制定して、日本記念日協会に登録されています。

由来はいいろーる(11.6)という語呂合わせです。

毎年11月6日には、アリンコからオリジナルのいいロール(iiroll)が発売されます。


毎月11日

ハンディタイプのロールケーキ商品「ロールちゃん」を知ってもらうために、山崎製パンが毎月11日を「ロールちゃんの日」に制定し、日本記念日協会に登録されています。

言ってみればヤマザキ版ロールケーキの日です。



ロールケーキをきれいに切る方法

包丁で切るときはまずキッチンペーパーや布を用意します。 

温めた包丁をそっと前後に動かして3往復くらいで切り離します。 

1回切るごとにキッチンペーパーなどで包丁を拭きます。 

クリームは油分が多いので切れ味が悪くなってしまって、それが綺麗な断面にならない原因となります。

そのため、毎回クリームを拭き取ります。

包丁は刃渡りの長いものがおすすめです。

パン切包丁や出刃包丁などだとより綺麗に切れます。

もう1つの方法はボビン糸などで切る方法があります。

半熟卵を綺麗に切るときと同じ方法です。

ロールケーキに糸を回して糸をクロスさせて引けば断面が潰れずに綺麗に切れます。


ロールケーキの保存方法


ロールケーキを美味しく食べるためには保存方法も重要です。

冷蔵、冷凍は好みで選びます。

スポンジやクリームはにおいがつきやすいのでラップとアルミホイルに包んでジップロックに入れておくのが推奨されます。

アルミホイルで包むことで急速冷凍されるのでフルーツの美味しさや栄養分も失われないのでおすすめです。

箱や包装紙のまま保存してしまうと数時間でもすぐに乾燥してしまいます。

スポンジがぱさぱさして美味しくなくなるので、必ずラップなどで巻いた上で保存した方が良いです。

ロールケーキは冷蔵保存だと1~2日が賞味期限です。

冷凍庫の場合は7~10日は美味しくいただけます。

ただし、風味が落ちたりスポンジやクリームの触感が悪くなってしまうので10日を目安に食べきるのが勧められます。

風味が多少落ちても長期間保存しておきたい場合は1ヶ月ほどは大丈夫です。

ただし、解凍時に水分がかなり出てしまうので、長期間冷凍保存したロールケーキは凍ったまま食べた方が美味しくいただけます。

フルーツがたくさん乗っているロールケーキの場合、どうしても解凍時に水分が出てしまうのでフルーツがたくさん使われたロールケーキは冷凍保存に適していません。

また、フルーツは傷みが早いので、冷蔵保存して当日~翌日までに食べきることが推奨されます。