高速なM.2 SSD

ハードディスクより早いけれど価格が高いストレージとして、SSDが定着して随分と経ちますが、最近M.2 SSDというのを目にするようになりました。


M.2 SSDとは

従来のハードディスク(HDD)にかわる記憶媒体として急速に利用が拡大しているのがSSDです。

SSDのパソコンへの接続インターフェースは様々な種類があります。

その中でも最近採用が増えているのがM.2と呼ばれるインターフェース規格です。

呼び方は「エムドットツー」です。

マザーボードメーカーがM.2スロットを搭載するようになってきたのは、2014年に発売されたZ97, H97, X99マザーボードからです。

毎年じわじわとM.2ソケットが登載されるようになり、2019年現在では、よほど価格の安いマザーボード以外でも搭載されるようになりました。

M.2 SSDもだいたい2014年頃から発売されています。

M.2 SSDは、マザーボード上のスロットに直接差し込む基盤の形をしており、基盤の種類によって3種類の長さのものに分けられます。

基盤タイプ M.2 type2280 M.2 type2260 M.2 type2242

サイズ(mm) 22 × 80、 22 × 60、 22 × 42

上からtype2280(22×80)、type2260(22×60)、type2242(22×42)

ちなみに、従来のSSDを含めてSSDの接続コネクタは以下の3タイプに分かれています。

1)マザーボード上の専用M.2スロットに直接差し込む
2)SATAケーブルを利用
3)PCI-Expressボードタイプ(ほとんどありません)

M.2とは、コンピュータに内蔵される拡張カードにおいて接続端子となる規格のことです。

SSDというデータを読み書きできる記憶装置の接続方式のひとつでもあります。

M.2はIntel 9シリーズ以降のマザーボードに採用された新しい規格で、機能性や柔軟性に優れています。

接続にはスロット形状を採用しており、板がむき出しになったような基板が一般的です。

タブレットやウルトラブックなどの普及に合わせて、ストレージ用の面積を小型化することを目的に開発されました。

マザーボードと拡張カードを接続するM.2は、従来あるさまざまなインターフェース規格に対応します。

中でも多いのが、マザーボードとストレージを接続するSerial ATAと、拡張スロットの利用に使われるPCI Expressです。

また従来のコネクターとの互換性はないものの、データ転送の技術は互換性を持っています。

M.2はコネクターなど物理的な部分に関しては新しく、データ転送に関しては従来の技術を取り入れたものです

mSATAとM.2

接続端子の規格の1つに、ノートPCなどで採用されている「mSATA」がありますが、M.2はその後継として開発された規格です。

mSATAのSSD(左)とM.2のSSD(右)

「M.2 SSD」とは、「M.2規格を接続端子としたSSD」ということになり、本体への接続にはケーブルを用いず、そのままマザーボードへ差し込むスロット方式を採用しています。

そのため、M.2 SSDの外観は基板がむき出しになったように見えることが特徴です。

またM.2端子はmSATA端子よりも更に小型であるため、SSDそのものや採用する機器本体のコンパクト化・軽量化にも寄与しています。

mSATAとM.2の両者の違いは、データの転送方式です。

mSATAがSerial ATA 3.0に対し、M.2は接続する機器に応じたデータ転送方式が可能です。

複数の信号が結線されているため、転送方式を自動的に切り替える機能が搭載されています。

転送速度にも顕著な違いがあります。

mSATAの転送速度は6Gbpsですが、M.2は10Gbps~32Gbpsです。

mSATAは小型のカードのような形状をしているのに対し、M.2は細長いスティック型です。

スロット部分はmSATAが約30mm幅ですがM.2は幅約22mmと、M.2の方がより小さくコンパクトに作られています。

小型化が要求されるモバイルノートPCやタブレット端末はもちろんですが、マザーボードのベイを占有しないなどのメリットもあるため、近年はデスクトップPCでM.2 SSDが採用されることも少なくありません。

またM.2は二つのタイプのインターフェースがあり、高速のPCI-E接続と低速のSATA接続の両方に対応します。

しかし、mSATAはこういった機能はありません。

M.2 SSDのメリットとして、インターフェイス次第でデータ転送速度を向上させられる点も挙げられます。

内部インターフェイスにPCIe(PCI Express)を用いて、PCIeを効率よく制御できる「NVMe(NVM Express)」という仕組みを採用したM.2 SSDの最大転送速度は「理論上は40Gbps」と、高速なデータ転送が可能です。


M.2の汎用性

高速のデータ転送を可能にしたM.2は、高性能なスペックを追求する人向けの製品です。

ストレージに連続してアクセスするような負荷のかかる動作を多く行う場合に適しています。

コンパクトな形状でドライブベイが不要なため、タブレットや小型ノートパソコンなどにも搭載できます。


NVMeとSATA接続との違い


M.2 SSDはマザーボード上のM.2ソケットに挿入してネジで固定します。

現在のSSDには大きく分けて以下の2つの接続プロトコルがあります。

・SATA
・NVMe

言うまでもなくSATAは、従来から一般的に使われてきたもので「安価」「省電力」などのメリットがある反面、「速度が遅い」というデメリットがあります。

これに比べるとNVMeは「圧倒的に速い」といったメリットはあるものの、「高価」「発熱が多い」といったデメリットがあります。

逆に言うと、圧倒的な速さを実感できるNVMeでないとM.2 SSDはあまりメリットがありません。

SATA M.2 SSDで、わざわざM.2スロットを使うことは、省スペース以外のメリットは無く、普通の2.5インチSSDとスピードは同じです。


接続方法


M.2 SSDの接続コネクタには下記の2種類があります。

M-keyはPCIe接続のみですが、B-key及びB&MkeyはSATAとPCIe接続の両方があります。



・M-key:PCIeの4レーン接続
・B-key及びB&Mkey:SATA接続またはPCIeの2レーン接続

レーンは1本で10Gbpsなので、単純に4レーンの場合は40Gbps、2レーンの場合は20Gbpsとなります。

(PCIe3.0の場合)製品にPCIe3.0×4のような表記がある場合はPCIeのGen3の4レーン接続という意味になります。

また、データ転送速度だけでなくコネクタ部分の形状も異なるため、購入時には、自身の使用しているパソコンのマザーボードはどちらのコネクタに対応しているのか確認が必要です。

M.2端子には一つ以上の切り欠きがあり、組み合わせで機器のタイプを示します。

左から、mSATA、 SATA、 M.2、 NVMe

サイズ

M.2端子の幅は約22mmですが、製品の奥行きはそれぞれの製品によって差異があります。

最も多いサイズは「奥行き80mm」のものですが、ほかにも「奥行き42mm」「奥行き60mm」などのサイズの製品もあるため注意が必要です。

もっとも一般的に使用されているものは2280です。

M.2のサイズは「○○2280」などのように表記されることが多いため、そこで見分けることができます。

購入の際には、マザーボードのスペースに収まるサイズかどうかを確認する必要があります。


NVMeは発熱に注意

PCIe接続を使用しNVMeが採用されているM.2 SSDは、非常に高速なデータ転送速度というメリットがありますが、その一方で、温度が高くなりやすいというデメリットがあります。

特にM.2 SSDはサイズが小さいため発熱対策が難しく、データの書き込みや読み出しを長時間続けることで、温度が高くなり易くなります。

そのようになると、高温による熱暴走を避けようと、SSDは処理能力を落としてしまうため、データ転送速度が低下してしまう恐れがあります。

そのため、M.2 SSDにヒートシンクやファンを付けて冷却するなどの方法により、発熱対策を施すことが必要となる場合もあります。


SLC/MLC/TLC/QLCの違い

セルの中にどれだけの Bitを格納できるかによってSLC/MLC/TLC/QLCのタイプが分かれます。

SLC/MLC/TLC/QLCとは、 NANDフラッシュメモリの中にあるデータを格納しているセルに、どれだけの Bit単位のデータが入れることが出来るかの量の違いをタイプ別で表現したものです。


SLC(シングルレベルセル)

1つのセルに1 Bitの情報を格納できるタイプ です。

セルが複雑ではない分、不具合がもっとも起きにくいタイプです。

そのかわり値段の単価が高く企業向け、一般の人には手の出しにくい物になっています。


MLC(マルチレベルセル)

1つのセルに 2Bitの情報を格納できるタイプ です。

一つのセルに 2つの情報を入れる為 SLCよりも、データの劣化が早くなってしまいます。

一般仕様の中では一番耐久性に優れた、高級品です。

TLC(トリプルレベルセル)

1つのセルに 3Bitの情報を格納できるタイプ です。

速度は速くなりますが 1つのセルに入るデータが増え、さらに劣化が早くなります。

しかしその分価格は MLCよりも安価です。


QLC(クアッドレベルセル)

1つのセルに 4Bitの情報を格納できるタイプ です。

更に増えて 4つ格納できますが、さらに劣化が早まります。

しかしこれだけの負荷がかかってもすぐに壊れると言う事は、おそらくないのではと思われます。

価格は一番安くなります。


M.2 SSDの容量選択

1)120GBの容量のモデルは、事務的な作業をこなす為にしか使わないパソコンに入れる場合、或いはネットサーフィンのみで使用可です。

120GBあったとしても、 windows10を入れた場合システムだけで 20~ 30GBの容量を必要とします。

SSDはメインの容量を圧迫されるとパフォーマンスが一気に落ちてしまい、せっかくの SSDの性能が引き出せなくなります。

定期的な windowsアップデートや更新で、容量が圧迫されていくので、120GBですと意外と余裕がありません。

2)240GBの 容量が、一番売れている容量となります。

これ以上はいらないけど 120GBじゃ少なすぎて心配、と言うちょうど良いポジションになります。

容量の選択に困った場合はとりあえず240GBの容量を選んでおけば心配ありません。

3)500GBの容量は、メインで使う容量がそこそこ多い場合、早く起動させたいソフトが多くある場合、特にゲームなどをする機会が多いユーザー向けです。

4)1TBの M.2 SSDを選ぶ場合は、高速で動かしたいソフトが多い、サブで保存用のストレージを付けずにこれ一つで終わらせたい、主にハイエンドユーザー向けになります。

普通使う場合は、1TBほどの容量はまず使うことはありません。


メーカー

Western Digital

NVMe接続で競合ドライブの中でも優れたパフォーマンスを誇ります。

容量は250GBから最大2TBまであります。


Crucial

Micron製品のブランド「Crucial」でDynamic Write Accelerationテクノロジーを搭載しています。

高速なフラッシュメモリからなる適応型プールを採用しています。


SanDisk

高負荷環境に最適化、NVMeプロトコルによる最大500,000のランダム読み取り IOPS1で究極のスループットを実現しています。


Seagate

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