火星の想像を絶するオリンポス山

火星のオリンポス山は、火星・太陽系随一の高さと面積を誇る火山であり、そのスケールは色々な意味で想像を絶します。

直径はざっと550キロメートルで、北海道が収まるぐらいの大きさで、アメリカ・アリゾナ州とほとんどおなじ面積です。


山頂は周囲の平原から2万7000メートルも高くそびえ立ち、エベレストの3倍と、地球ではまず見られないほどの途方もない高さです。

火星の低い表面重力と頻繁な噴火活動が相まって、大量の溶岩流が今のかたちに固まったと推測されています。


オリンポス山のCGイメージ
概要

標高21,230m、周囲の地表から約27,000メートルまで山体が立ち上がっています。


これはエベレストの3倍程度に相当します。

火星の標高基準面からの高度は25,000メートルあり、裾野の直径は550キロメートル以上もあります。


斜面の最大傾斜角度は数度しかありませんが、外縁部では高さ5,000m以上の断崖が切り立ち、一体どのような光景なのか想像できません。

また、山頂のカルデラは長径80km、短径60km、深さ3.2kmもあり富士山がほぼ収まってしまうほどの大きさです。

これほど巨大化したのは火星ではプレート移動が起こらないため、ホットスポット上に火口が留まり続けたためではないかと考えられています。

やや斜めから写したオリンポス山

1971年5月30日に打ち上げられ、同年11月14日に火星に到達し、初めて惑星軌道に乗ったNASAの惑星探査機マリナー9号により、初めて鮮明な写真が送られその姿が明らかにされました。

オリンポス山は望遠鏡による観測に頼っていた時代には、周囲より白く見えることがあることからオリンピア雪原と呼ばれていました。 

オリンポス山の名前はこれを部分的に引き継いだものです。


オリンポス山は宇宙から見ても、その山容がはっきり確認できるほど巨大です。

火星の経緯度で北緯18度、東経226度にあります。

長らく死火山だと思われていましたが、2004年12月23日、ドイツベルリンのチームが240万年程前に噴火した形跡を発見し、将来の噴火の可能性もあると発表し、活火山である可能性が指摘されました。

火星の火山は数十億年という長い寿命の中で数十万年から数百万年にわたり活動を休止することもあるということです。

オリンポス山の山基底崖をアニメーション化したもの

オリンポス山は巨大火山の一部

壮大すぎるスケールを誇るオリンポス山ですが、最新の研究で、これもまた巨大な火山の一部に過ぎないという説が出ています。

オリンポス山の付近にはアルシア山、パボニス山、アスクレウス山という3つの火山がありますが、最新研究では、4つの火山は幅7000キロに及ぶ超巨大な火山体の一部なのだと論じています。

つまり、タルシス高地として知られる巨大な隆起台地全体が1つの火山であるとしています。

研究チームの一員でイギリスにあるオープン・ユニバーシティの地質学者アンドレア・ボルジア氏は、「大きな尺度でとらえれば、オリンポス山はほかの小火山と同様、タルシス高地の一部をなす小さな側火山(寄生火山)の1つとみなすことができる」と話します。

ボルジア氏は、「新説の証明には時間がかかるだろう」と言います。

真実を明らかにするためには、火星のタルシス地域に無人あるいは有人の探査機を送り込む必要があるからです。

新説の証明はともかく、もしこれがひとつの火山だとすれば、その幅は約7,000kmにも及びます。

ちなみに東京からハワイのホノルルまでが約6,210kmですから、もはや山と呼んでいいのか分からないほどのスケールです。