センメルヴェイス反射


センメルヴェイス反射

センメルヴェイス反射(Semmelweis reflex)或いは
ゼンメルワイス効果とは、常識や通説とは異なる現象を見てもなかなか信じたがらぬ人間の傾向のことを指します。


この用語は、十九世紀オーストリアのウィーン総合病院産科に勤務していたハンガリー医師センメルヴェイス・イグナーツが産褥熱、今日で言う接触感染の可能性に気づき、その予防法として医師のカルキを使用した手洗いが衛生予防になると説いたが、当時、彼の存命中はその主張は否定され、物笑いのタネにされて不遇な人生のまま生涯を終えた史実に由来します。


歴史

センメルヴェイス・イグナーツ・フュレプ (ハンガリー語: Semmelweis Ignác Fülöp [sɛmːmɛlvɛjs ignɑ̈ːʦ fyløp] 1818年7月1日 - 1865年8月13日) またはイグナーツ・フィーリプ・ゼメルヴァイス (ドイツ語: Ignaz Philipp Semmelweis[upper-alpha 1] ドイツ語: [ɪɡnaːts zɛmlvaɪs]) は、ドイツ系ハンガリー人の医師です。

消毒法の先駆者として知られ、「母親たちの救い主」とも呼ばれます。

19世紀中ごろには産褥熱の発生数が多く、産婦の死亡率も高い状況でした。

当時の出産では、妊婦の死亡率が10%近くもありました。
しかしそれは病院で出産した人の数字で、自宅で出産した人は死亡率が低かった。


特にウィーン総合病院(ドイツ語版、英語版)第一産科では、一般的な助産師による出産と比べ死亡率が3倍も高くなっていました。

センメルヴィスは、当日の医者達が治療した血まみれの服で歩き回りそのまま次の患者と接していたことに注目しました。

ここに勤務していたセンメルヴェイスは、産褥熱の発生数を調査し、1847年、産科医が次亜塩素酸カルシウムで手を消毒することで劇的に産婦の死亡率を下げることが出来ることを発見し、"Die Aetiologie, der Begriff und die Prophylaxis des Kindbettfiebers"(産褥熱の病理、概要と予防法)と題した本にまとめて出版しました。

センメルヴェイスは手洗い法が死亡率を1パーセント未満にまで下げられる科学的な証拠を数多く示しましたが、この方法は当時の医学界に受け入れられず、むしろ彼に怒りを示したり嘲笑したりする医師さえいました。

1865年、センメルヴェイスは神経衰弱に陥り、精神科病棟に入れられました。

そしてここで衛兵から暴行を受けた際の傷がもとで、47歳にして膿血症で死去しました。

しかし彼の死後数年を経て、ルイ・パスツールが細菌論を、ジョセフ・リスターが消毒法を確立し、センメルヴェイスの理論は、様々な人が消毒や細菌の研究をすることで、彼の主張が正しかったことを証明し、今では常識となっています。

センメルヴェイスの説が受け入れられなかった最大の理由は、「患者を殺していたのは医師の手である」という医師にとって受け入れがたい結論にありました。

当時はまた細菌の存在などもはっきり証明されていなかったので、彼の主張は常識から外れた妄想や思い込みであると扱われました。


確証バイアス

確証バイアス(かくしょうバイアス、: confirmation bias)とは、認知心理学や社会心理学における用語で、仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のことです。

認知バイアスの一種です。

また、その結果として稀な事象の起こる確率を過大評価しがちであることも知られています。