盆栽の世界

歴史

盆栽は、中国の唐の時代に行われていた「盆景(ぼんけい)」が平安時代に日本へ入ってきて始まったものです。

鎌倉時代には武士階級の趣味として、広く普及していきました。

盆栽の醍醐味は、自然の風景を植木鉢の中に切り取って作り出すところです。

その植物の野外で見られる大木の姿を、鉢の上に縮小して再現することを目指すもので、そのために剪定を施したり、自然の景観に似せるために枝を針金で固定し、時に屈曲させ、あるいは岩石の上に根を這わせたりとさまざまな技巧を競うのも楽しみの一つとされています。


概要


盆栽には、松や杜松などの松柏類、ウメモドキ、花梨、ヒメリンゴなどの実物(みもの)、梅、サツキ、ボケなどの花物、楓、欅、竹などの葉物があります。

盆栽とは、字のごとく、盆(鉢)、栽(樹)のことで、両方を別々のものとして見るのではなく一体のものとして鑑賞します。

そして、植物の根張り、立ち上がり、枝打ち、葉、鉢を鑑賞します。


盆栽は、小さな鉢の中に、大きな自然を感じ取るものです。大自然の縮小版を作るイメージで、鉢の中に、広大な自然を映し、再現します。

自然でありながら、自然のように見せるために、人の手を加える、その絶妙さが盆栽の魅力と言えます。


輸出

盆栽は、1970年頃より世界に紹介され始め、1990年頃以降、世界中から人気を集めるようになりました。

外国でも、BONSAIで通じます。

イタリアには、盆栽の専門学校さえあります。

日本貿易振興機構の発表によると「日本→海外への盆栽と園芸関連の輸出額」は以下のように年々増加しています。

2001年:6億4000万円
2011年:67億円
2012年:81億円


鑑賞のポイント



鑑賞して楽しむためのごく基本的なポイントは、木の部位ごとに大きく分けて4点です

1.根 根張り
2.幹 立ち上がり
3.枝 枝ぶり
4.葉


根 根張り

盆栽を観賞するとき、最初に根の張り具合を見ます。

年を経るごとに根が盛り上がり、土をしっかりとつかむようになります。

樹木の強い生命力が表れています。

あらゆる方向に根を伸ばす「八方根張り」が理想の一つとされます。


幹 立ち上がり

樹木を支える幹は、盆栽の見どころの一つです。

根元から最初の枝までの幹は「立ち上がり」と呼ばれ、ここから上に向かって伸び広がることで、大木のような迫力を生み出します。

幾層にも折重なった幹肌の様子からは長い年月を感じることが出来ます。

また幹を下から覗きあげてみた時に天へと太く伸びる、大木のような迫力を感じることができたなら、それは良い盆栽の証と言えます。


枝 枝ぶり

盆栽の輪郭を形づくるのが、幹から伸びる枝です。

大きな枝がバランスよく配置されており、見苦しい「忌み枝」の無いことが、よい盆栽の条件の一つです。

また冬に落葉した木では、細かく分かれた枝先が見どころになります。


「忌み枝(いみえだ)」とは盆栽用語で、樹形の美しさを損なう不要な枝のことを指します。

さらに、樹形を崩すだけでなく、他の枝への日当たりや風通しを悪化させ、樹の成長を妨げる要因となるため、適宜剪定を行う必要があります。

メリハリをつけてその木の持ち味である部分をより強調することと、左右対称ではなく、不等辺三角形の輪郭をつくることが、盆栽の基本です。


葉は幹とともに、盆栽の印象を大きく左右する要素です。

同じ樹種でも、葉にはそれぞれ個性があり、たとえば五葉松では、葉が短く光沢のある木が、盆栽に仕立てる「種木」に選ばれます。


またモミジなどのように、紅葉の季節に赤く色付くさまも大変に美しいものです。

葉が季節によって枯れていく様も、自然を表現する上では欠かせないものです。

他にも『ジン、シャリ』という歳月を経た盆栽の幹や枝の一部が枯れて、そのままの形を残す幹が白い肌を見せることで、緑色の葉と美しいコントラストを生み出すものもあります。

枝先のものを「ジン(神)」、幹の一部が枯れたものを「シャリ(舎利)」と呼びます。


白い部分が枯れている「舎利」で、生きている幹の部分とのコントラストが美しさを生み出します。

直幹 (ちょっかん)

盆栽の基本的な形の一つです。

樹が根本から枝先までまっすぐに立って伸びている姿のものです。

幹は空に向かってまっすぐ立ち、枝は前後左右にバランスよく振り出す八方根張りであることが特徴です。

一見単調ではありますが、シンプルなのでごまかしがきかない樹形です。スギやヒノキが向いています。


模様木(もようぎ)

幹が曲がりを持ちながら柔らかな曲線を描くものを指します。

幹が曲線を描くことを「模様」と呼ぶことから名前が付きました。

自然に生えている木のほとんどがこの樹形になり、ゴヨウマツや紅葉などが適しています。

直幹と同じく盆栽の基本的な形の一つです。


懸崖 (けんがい)

幹が鉢の縁から下方向へ大きく下がっているものを指します。

 断崖絶壁の場所や海岸に自生している力強い様子を表しています。

バランスの取りにくい樹形であるため、倒れている反対側の根張りを強くするなどの配慮が必要です。

ゴヨウマツ、紅葉などが適しています。


斜幹 (しゃかん)

樹が左右どちらかに傾いた形のものを指します。

強風などの影響や日陰で育ったことにより太陽に向かって曲がって生育した木樹を表現しています。

懸崖と同じく、傾いているのとは反対方向にある根張りで安定感を出すことがポイントです。

松やスギなどが向いています。


吹き流し

強い風の中で生き残ろうとする自然の強さを表現している樹形です。

すべての枝が同じ方向を向くようにすることで、風が一方向から常に吹いている様を表しています。

見ていると風を感じるような樹形と言えます。


展示会・展示館

直接盆栽を見る場としては、大宮盆栽術館という場所が埼玉県にあります

そこでは、何億円という値段が付けられた高級な盆栽を生で見ることが出来ます。

盆栽の展示会も日本各所で行われています。

毎年2月に上野で開催される国風展(国風盆栽展)というイベントや、全日本小品盆栽協会が主催する展示会も、関東関西、季節ごとにあります。





梅は丈夫なので初心者におすすめの盆栽向きの植物です。

黒くしっかりとした幹が生み出す曲線美と力強さがあります。

春に咲かせる梅は花付きがいいので、満開時にはずいぶん華やかな見た目と香りを楽しめます。



桜も盆栽で楽しむことができます。

花が落ちた後の「施肥」「水やり」の管理が重要です。

日々観察しながら手入れをしたい人向けです。


もみじ



もみじは四季折々、その繊細な姿を楽しむことができるので人気の樹種です。

春は芽出し、夏の青々とした緑葉、秋の真っ赤な紅葉、冬の落葉した繊細な姿です。


リンゴ


りんごは、緑の葉が鮮やかで、白っぽい花が咲けばその後結実と、季節ごとに顔を変えます。

必ず実をつけさせたいなら、受粉という手間が必要です。


カエデ


カエデも力強い幹と、豊富な葉がみせる色の移り変わりで人気です。

また、写真にあるように石に根をはらせるには長い年月を重ねなければなりません。

盆栽はそういった石とのコンビネーションも重要で、楽しみ方のひとつです。


黒松


盆栽といえば松、松盆栽といえば黒松、といっても過言ではない松盆栽の王様、黒松です。

どっしりとした根張り、歳月を感じる層になった幹、枝ぶりの力強さ、非対称のバランスが美しい葉が素敵です。

過去には樹齢300年の松盆栽に脅威の1億円の値がついたこともあります。


ミニ盆栽


最近では小鉢盆栽よりさらに小さい、ミニ盆栽が流行っています。

小さなサイズ感がかわいらしいですが、しっかりした幹を張っていて力強さを感じます。

お猪口に苔盆栽を作り込んで楽しんでる人もいます。


多肉コラボ盆栽


ピンクの花の沈丁花と、エケベリアのコラボ盆栽です。

高さのある沈丁花と、沈丁花の足元にこんもり生い茂っている多肉植物です。

まさに、鉢の上に広がる小世界です。


椿




多肉盆栽


セデベリア属の樹氷という多肉植物です。

樹氷は分頭しやすいので、うまく剪定していけば盆栽のような非対称のバランスが美しい盆栽として楽しめます。


小林邦夫/樹齢役800年の盆栽(春花園)


この盆栽は樹齢約800年と推定されています。



広島を生き延びた日本の五葉松



この盆栽は、約400年もの間、6世代にも渡る山木一族の努力と忍耐によって守られてきました。

また、特筆すべきは1945年、広島に原子爆弾が落とされたときにも樹は生き残り、後にワシントンのナショナル盆栽&Penjingミュージアム(画像提供)に寄付されました。


五葉松


銘「青龍」/さいたま市大宮盆栽美術館所蔵


蝦夷松


銘「轟」/さいたま市大宮盆栽美術館所蔵