華麗で迫力ある世界のエアロバティック・チーム

曲技飛行隊(きょくぎひこうたい、aerobatic team、エアロバティック・チーム)とは、航空機を用いて曲技飛行(芸術的な機動など)を行い、地上の観衆にアピールを行う航空隊のことです。

「アクロバット・チーム」「デモ・チーム」「ディスプレイ・チーム」とも呼ばれます。

曲技飛行隊は、各国空軍・陸軍における事実上の広報部隊として設置されているものが多いです。

軍のアクロバット飛行チームの目的としては、最先端操縦技術の開拓・練成、外国に対し自国パイロットの練度を示威するということもあります。


これらの事から、総じて軍の曲芸飛行隊においては、全組織を見渡しても特に優秀な技術を持つパイロットやその候補者と位置づけられている者が配属されるのが常套です。

アメリカンスタイルと言われるショーアップされた曲技飛行においては、パイロットが航空機に乗り込む前から観衆にアピール(ウォークダウン、ウォークバック)を行っています。

日本のブルーインパルス、アメリカのサンダーバーズ、ブルーエンジェルスがこれに当てはまり、パイロット搭乗、エンジン始動、機体点検、離着陸後のタキシング等から演技に含まれており、離陸時においても、編隊離陸や単独機による急上昇離陸などが行われます。

これに対し、ヨーロピアンスタイルのチームであるイタリアのフレッチェ・トリコローリ、イギリスのレッドアローズ、フランスのパトルイユ・ド・フランス等は地上での演技を行わず、展示飛行のみを実施しています。

飛行展示中は、編隊や単独機での急上昇や急降下、横転、宙返りを始めとする様々な機動を行います。

またスモークを用いて航跡を示し、絵や文字を描く課目もあります。

アメリカ空軍のアクロバットチームであるサンダーバーズ(Thunderbirds)は、F-16を使用して、ぎりぎりまで2機を近づける飛行が多く披露されています。

飛行中の両機間の距離は世界最短となり、ネバダ州で披露したこの飛行はギネスブックに登録されました。


英空軍のアクロバットチームであるレッドアローズ(Red Arrows) の塗装はチーム名を表す赤で、スモークは3色の赤白青を使用し、演技課目ごとに操縦席のスイッチで切り替えられるようになっています。

演技内容は「ダイヤモンド9」と呼ばれている9機による編隊課目と5機、4機編隊による課目、2機による課目の3パターンあり、常に観客の視界から機体が消えることが無いよう、綿密なプログラムを組んでいます。

また、毎年3名の新人を入れることにより組織の若返りを行っています。

これにより当然、演技内容のレベルは非常に高く、ヨーロッパアクロチーム御三家の一角をなしています。



パトルイユ・ド・フランス(Patrouille de France)は、フランス空軍のアクロバットチームです。

2013年には創立60周年を迎えました。

使用機種は1981年より、ダッソー/ドルニエ アルファジェットを使用しています。

8機編成で、演技は8機による編隊科目、4機ずつに分かれての科目、6機編隊とソロ2機による科目で構成されますが、リーダーが毎年交代するため、演技内容がシーズンごとに変化するのが特徴です。

ただ、演技を締めくくる8機全機での「ファイナル・ブレイク」などいくつかの科目には手を加えないという暗黙の了解があります。

演技内容のレベルは非常に高く、イギリスのレッドアローズ、イタリアのフレッチェ・トリコローリと並ぶヨーロッパアクロチーム御三家の一角をなしています。

チームには毎年3名の新パイロットが加わりますが、フォーメーション先頭のリーダー機の後ろ(スロット)に位置する4番機のパイロットが翌年のリーダーの定位置となっています。



フレッチェ・トリコローリ(Frecce Tricolori)は、イタリア空軍のアクロバット飛行チームです。

名称の「フレッチェ」は「矢」を意味し、「トリコローリ」は直訳すれば「三色」、ひいては「三色旗(イタリア国旗)」を表します。

飛行隊は10機で演技を行うことが特徴であり、この機数は各国の曲技飛行隊中、最多です。

演技内容は10機・9機による編隊と5機・4機による2つの編隊による組替と交差演技、ソロ1機によるテールスライド、ラムシェバック、クレージーフライト等となっています。

他チームは2機のソロ機を用いていますが、フレッチェでは「ソロは1機なんだからソロ」と言うチームのポリシーを守っているのが特徴です。

ほぼ毎年同じ課目で演技をしていますが決して観客を飽きさせることはなく、飛行技術、演技内容、観客に対する見せ方等、世界最高レベルのアクロチームです。

2018年から使用機種として、アエルマッキ M‐345 HET(アエルマッキ S-211の近代化改修型)を使用しています。



日本のブルーインパルス(Blue Impulse )とは、航空自衛隊に所属するアクロバット飛行チームの愛称です。

当初は部隊の中の1チームという位置づけで、1995年(平成7年)に正式に一部隊として独立しました。

正式部隊名は第4航空団飛行群第11飛行隊で、広報活動を主な任務とし、展示飛行を専門に行う部隊です。

現在の本拠地は宮城県の松島基地です。

第11飛行隊では、ブルーインパルスがイベント等で行う飛行のことを「展示飛行」、展示飛行の開催地に向かうことを「展開」と呼んでいます。

ブルーインパルスは、スモークを使って空中に描画する、いわゆる「描きもの」を得意とし、少数機による密接した編隊での精密な演技をします。

3代目機体T-4は、その機体形状から「ドルフィン」の愛称もある国産の中等練習機です。

翼面荷重が260キログラムと小さく、エンジン推力に対する重量比もF-86FやT-2と比較すると大きく、低空での性能はF-15をも凌ぎます。

このため、「360°ループ」のような高Gの連続課目や「バーティカルキューバンエイト」のような垂直系の高負荷課目が余裕を持ってできるようになりました。



ロシアのアクロバットチームであるルースキエ・ヴィーチャズィ( Пилотажная группа «Русские Витязи» ピラタージュナヤ・グルーッパ・ルースキイェ・ヴィーチャズィ)は、ロシア空軍の展示飛行チームです。


チーム名は、「ロシアの勇者たち」という意味です。

対外向けアピールもあり、「Russian Knights」の英名も使用しています。

但し「ヴィーチャズィ」とは、半ば伝説と化した古代ロシア・ルーシ固有の英傑のことを指す名称で、「ナイト」(Knights)とは別物です。

日本語では、英語表記からロシアン・ナイツと呼ばれることもあります。

ロシアでは、単に「ヴィーチャズィ」とも呼ばれています。

大量のフレアを使用する夜間の演目が有名です。