夕方眠くなることの対策


このところ、というか、もうずいぶんと前から、夕方になるとどうしようもなく眠くなり、ついうとうとすることがあります。

それがために、夜に眠れないことはありませんが、あまり良いことではありません。

本来、夕方は最も覚醒して頭もスッキリする時間帯です。

夕方になると眠くなってしまう原因は何かあるのだろう考え、その対策も含めて調べてみました。


体力低下

自分が思っている以上に体力が低下している可能性があります。


疲労感を感じていなくても、身体が疲れて眠くなってしまっている場合があります。

もともとの体力や生活環境にもよりますが、体力を消耗している可能性があります。


自律神経

自律神経は〈交感神経〉と〈副交感神経〉によってバランスを保っています。

交感神経とは活動するのに必要な神経やストレスを感じると活動する神経で、副交感神経はリラックスしている時や心身を休める時に活動する神経です。

この2つの神経(以下自律神経)のバランスが崩れることが、夕方の眠気に繋がっている可能性があります。

オンオフが上手くいかないと、夜寝ているうちに活発になる副交感神経が働かず、交感神経が優位になってしまう事で常に神経が緊張している状態になってしまいます。


睡眠不足

夜型の生活になっていると寝不足になります。

人の体温は1日の中で1~1.5℃ほど変化し、体温が低くなった時に眠くなる仕組みになっています。

つまり、活発に活動する日中から夜にかけて体温は高くなり、寝る時間に体温が下がって眠くなるのですが、この時間が乱れていると夕方に体温が低くなり眠くなってしまいます。

夜型のパターンが強い人は体温のリズムが遅い時間にずれているため、本来は午後2時~4時にピークになる眠気が夕方以降に現れることもあります。


血糖値スパイク

夕方眠くなりやすい人は「血糖値スパイク(低血糖症状)」がおこっている可能性があります。

食事をすると血糖値は上昇し、その後下がっていきます。

血糖値スパイクとは、食後の血糖値が通常よりも急上昇し、食後に急降下する、血糖値が乱れてしまっている状態です。

血糖値が急降下すると、糖は脳にとってのエネルギー源なので、糖が足りなくなると脳がしっかり働かなくなり、眠くなってしまいます。

夕方の急激な眠気を防ぐには、早食いすると血糖値は急上昇、ゆっくり食べるとゆるやかに上昇しますので、時間をかけて食事をすることが薦められます。

また、食後、軽い運動などをして、カラダを動かすことによってエネルギーが使われ、これによって食後の血糖値急上昇をおさえることができます。


オレキシン

オレキシンとは脳内の覚醒維持物質のことです。

オレキシンの分泌が、「満腹になる」ことと「血糖値が上昇する」ことにより抑制されます。

食事の量を「腹八分目に抑え」て、「血糖値が上昇しにくいもの」を食べることで、オレキシンの分泌が抑制されることを抑えられ、食後の眠気を起こしにくくすることが出来ます。

また血糖値が上昇しにくい食べ物のことを、いわゆる低GI食品と言います。

糖質の少ない炭水化物は、玄米、全粒粉パン、全粒粉スパゲッティ、そば、などがあります。

また、血糖値を上げにくい低GI食品としては、低脂肪のタンパク質(牛肉の赤身、鶏肉(特にささみ)、魚、豆腐、チーズ、ヨーグルト)、野菜全般(さつまいも、玉ねぎ、ブロッコリ、葉野菜)があります。

逆に高GI食品としては、食パン、もち、精白米、うどん、ジャガイモ、にんじん、やまいも、トウモロコシなどがあります。


体力低下による眠気対策

食生活の見直しをします。

カリウム・アミノ酸を含む食事がおすすめです。

カリウムを含む食材は、ひじき、ごま、パセリ、アボカドなどです。

アミノ酸を含む食材は、牛乳、卵、肉、魚などです。

また、決まった時間に食事を摂ることも、規則正しい生活習慣を身に付けるポイントです。


適度な運動

“適度に毎日”というのはなかなか難しいですが、室内でのストレッチでもOKです。

まずはストレッチから始め、ウォーキングやジョギングを習慣づけるとよいです。


リラックス

オススメとしてはアロマや低温の湯船(37℃前後)に長い時間浸かるとよい効果があります。

物理的にリラックス効果を得ることで、その時間は心身ともにリラックスできるので、時間を少しずつ長くしていくことにより、ストレスが軽減されます。


睡眠不足による眠気対策

体内時計を正常に戻す

体内時計は、睡眠リズムを作り出す自然のタイマーのような役割を担っています。

体内時計は、太陽の光を浴びることによって、毎日リセットされ、睡眠に必要な睡眠ホルモンである「メラトニン」を分泌します。

そして、朝になるとメラトニンの分泌がストップして、覚醒します。 

この体内時計は、睡眠欲求のように、体の疲れとは関係しません。

前日にたっぷり寝ていても、翌日にも同じように睡眠をとることができるのは、体内時計が作用しているからです。 

言い換えれば、寝だめができないということです。

睡眠負債を何とか返済しようと、休日に昼過ぎまで睡眠をとっておこうと思っても、これは返済にはなりません。

むしろ睡眠リズムが乱れてしまって、夕方に眠くなるという症状が強まる可能性があります。

よくお昼ご飯を食べ終わって、午後2時くらいの時間帯になると猛烈な眠気に襲われるという経験を持つ人がいます。

人の体内時計では、24時間周期とは別に、「脳の中休み」と考えられている12時間周期で眠気が訪れるという睡眠リズムがあります。

それがちょうど午後2時~4時くらいまでの時間帯です。

メリハリのない生活をしていると、自律神経のオンオフも上手くできずに、睡眠不足に陥りがちです。

どうしても夕方に眠くなってしまう場合は、20分程度の睡眠で起きるようにします。


睡眠の質を上げる

睡眠の質を上げるには、睡眠環境の見直しをします。

1)寝る前のスマートフォンの使用は避けます。

2)パソコンの明るさはブルーライトを下げるソフトを利用すると良いです、

3)身体に合っていない寝具をやめ、低反発素材を使った枕などを使って、快適に寝られるようにします。


病気の可能性

糖尿病

食後に異常なほどの強い眠気が襲ってくる場合、あるいは、眠気の状態が夕方まで続く場合、もしかすると糖尿病の初期症状が表れているのかもしれません。

人は、食事をすると血糖値が上がり、眠気を覚えます。

しかし、インスリンの働きによって、2~3時間後には元の状態に戻ります。

インスリンが効かない状態、つまり糖尿病にかかっている場合は、なかなか血糖値が下がらなくて、高血糖の状態が続くため夕方まで眠いという症状が断続的に続きます。

心当たりがある場合は、一度病院を受診して、自分の血糖値を調べてもらうことが推奨されます。

糖尿病の初期は、生活習慣や食事療法で改善しますが、放置しておくと症状は悪化してしまいます。


低血糖症

また、可能性として考えられるのは〈低血糖症〉があります。

血糖値は変動している数値で、70~120mg/dlが正常の変動幅ですが、低血糖症の場合変動幅を超えて低くなってしまいます。

外因性の原因としては糖尿病治療薬・アルコール摂取・抗不整脈薬などによるものが考えられます。

内因性の原因としては胃切除後のダンピング症候群・胃下垂・インスリン感受性の高い人である可能性があります。

普通の健康診断ではなかなか異常が表れない事があります。

1)夜眠れず、急に日中に眠くなる
2)砂糖入りの食べ物やお菓子をよく食べる
3)炭水化物が好き
4)中性脂肪の数値が高くなってきた
5)食事は変わらないのに太ってきた
6)疲れやすくなってきた
7)眠りが浅く、目覚めが悪い
8)肉や魚をあまり食べていない

これらの症状に当てはまる場合は、低血糖症を疑って、病院で診てもらうようにします。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群が原因で、日中、重要な会議や運転中でもウトウトしてしまうことがあります。

健康な人でも睡眠中は舌や気道周辺の筋肉は緩みますが、気道がふさがることはありません。

上気道が狭くなることで、一時的に呼吸が止まり、睡眠の質が低下します。

上気道が狭くなる要因としては、肥満や扁桃肥大※、舌が大きい、顎が小さい、鼻炎、鼻中隔弯曲※などが考えられます。

肥満ぎみの人は、喉の周辺にも脂肪がついて、気道が狭くなり、いびきが起こります。

そして、仰向けで寝ることで舌根が落ち込んで気道をふさいでしまうことで睡眠時無呼吸症候群になります。

数秒から、長いと数十秒も窒息状態になるので、苦しくなって目が覚めます。

それをひと晩中繰り返していると、浅い睡眠しかとれずに、長時間眠っているはずなのに、日中眠くなります。

睡眠時無呼吸症候群の症状としては、朝になってもとれない疲労感、起きたときの口の渇き、頭痛がすることもあります。

呼吸が止まるたびに覚醒してしまうので、睡眠障害を起こす人もいます。

睡眠時無呼吸症候群になりやすい人は、女性よりも男性で太っている、首が短くて脂肪が付いている、気道が狭い、下アゴが小さく後退している、扁桃腺肥大があるといった傾向があります。

また、耳鼻咽喉科の病気が原因の場合もあります。

日中から夕方までの強い眠気が続いたり、家族から大きないびきを指摘されたりするようであれば、早めに病院を受診することが肝要です。


認知症リスク

人の脳は、睡眠をとることで覚醒時の10倍以上の老廃物や疲労物質を排出しています。

ある研究によると、睡眠負債が続くことで、脳の老廃物や疲労物質の排出がうまくいかずに、認知症の原因の多くを占めるアルツハイマー病の発症率を高めてしまうことがわかってきました。 

睡眠負債は、このように若年性アルツハイマーや認知症の発症に深くかかわっています。

自分はしっかり眠れていると思っても、夕方から眠くなるという症状が表れたら、睡眠負債を疑って、睡眠の質の向上や生活習慣を見直すことが必要です。


免疫システムの低下

人は、生命を維持するために免疫システムをもっています。

外部からの細菌やウイルスが侵入すると、免疫システムが発動されて排除します。

また、ガン細胞が増殖すれば、それを抑える働きをします。

しかし、睡眠不足が続いて睡眠負債がたまることで、免疫システムの機能が弱まったり、細胞を修復する成長ホルモンの分泌が少なくなってしまうため、身体が疲れやすくなり、すぐに風邪をひいたり、ガンの発症率を上げてしまう恐れがあります。