脚にぼこぼこではないけれど静脈が目立ち始めた時に考えられる疾患


皮下すぐのところにある細い静脈に起こる静脈瘤としては、網目状静脈瘤とクモの巣状静脈瘤があります。

網目のように青色に浮き上がってみえるのが網目状静脈瘤で、それよりもさらに細い血管がクモの巣のように放射状に広がって見えるのがクモの巣状静脈瘤です。

クモの巣状静脈瘤と網目状静脈瘤

細くて赤い1mm以下の細かい静脈がクモの巣状にみえるのがクモの巣状静脈瘤です。
太ももやひざ、ふくらはぎに赤や紫色の毛細血管が見られることがあります。

2~3mmの静脈が網の目状にみえる網目状静脈瘤は、 太ももやひざ、ふくらはぎにみられ、通常は青色をしています。多くの場合、膝の裏の静脈で発生することが多いです。
クモの巣状静脈瘤と共通していることが多く、クモの巣の「栄養血管」ともいわれます。

クモの巣状静脈瘤

網目状静脈瘤


クモの巣状静脈瘤は、英語では spider vein といい、クモの巣状「静脈瘤」と名前はついていますが、正確には、「 毛細血管拡張症」 と言います。

毛細血管が拡張した状態である毛細血管拡張症は、静脈瘤の有無にかかわらず、多くの人にみられます。毛細血管は、心臓から全身に血液を送る動脈と全身から心臓に血液を戻す静脈との間をつないでいる、極めて薄い壁でできた非常に細い血管です。

太ももの裏側を走る表在静脈「外側静脈系」から派生し、多くの場合、「栄養血管」といわれる網目状静脈瘤を根っことして、樹枝状に生えてきます。

原因

足の静脈がボコボコ目立つ「下肢静脈瘤」とは発生の原因が異なります。
下肢静脈瘤は静脈の逆流防止弁が機能しなくなり血液が逆流する ことで血液の滞留により静脈瘤が発生します。

これに対し、 クモの巣状静脈瘤は ホルモンの影響、遺伝、皮膚が薄いことなどの要因に加え、静脈の血圧が高くなることにより毛細血管が拡張・蛇行していきます。
妊娠中に発生することが多く、年をとるにつれ増えてくるというわけではありません。

年配者においては足部にクモの巣状静脈瘤がみられることが多々ありますが、この際は静脈壁や周囲支持組織の加齢性変化も伴っての発症とされています。

症状

通常、クモの巣状静脈瘤=毛細血管拡張症は基本的には無症状で、症状を引き起こしませんが、チクチク、ピリピリとした痛みや灼熱感が生じることもあります。

治療

見た目は気にならないという人は、放っておいても構いません。
治療しないで放っておいても巨大化するわけではありません。
美容上で、治療を希望する人への治療法は、保険診療では硬化療法、自由診療では皮膚レーザー照射があります。

硬化療法は、きわめて細い針で静脈瘤に直接硬化剤を注射して、皮膚の上から包帯で圧迫し、血管の内側を密着させて閉塞(へいかん)させます。薬の作用で1-6ヶ月で数か月かけて退縮して静脈瘤は消失し、症状が改善します。1回の治療にかかる時間は5-10分で、通常、数回の治療が必要です。

レーザー照射は、特に血液中にあるヘモグロビンに反応するレーザーを使用して、赤いタイプのクモの巣状静脈瘤や、細すぎて注射をうつことが困難な0.5mm以下で、硬化療法が行えない場合に有効です。
しかし、保険が使えないので治療費は自費での治療となり高額になります。

網目状静脈瘤の場合、皮膚レーザー照射は、静脈の太さや色を考えると必ずしも効果的とは言えません。