水道料金のしくみと節約する方法


 最近はコロナ対策で頻繁に手洗いをすることが多いため、水道料金が上がっています。

少しでも、水道料金を節約したいものだとは、誰でも考えることですが、改めて水道料金の仕組みと節水する方法を考えてみました。


基本料金

基本料金は水の使用量に関わらずかかる費用です。この基本料金は水道メータの口径(「呼び径」ともいいます)の大きさ(mm)に応じて決まっています。

こちらは、使用の有無にかかわらず、契約している限り請求されるものです。ただし、ある一定分量まではこの基本料金内で使用でき、超えた分から従量料金として請求されるのが主流です。

この基本料金は自宅に引き込まれる水道管の太さ「口径」という基準に従って、請求額が異なってきます。簡単に述べると、「太い配管で水を引くほど多くの水が担保できるとため、基本使用料も高くなる」仕組みです。

口径と基本料金

以下は、東京都23区の口径毎の水道料金の基本料金です。ご覧いただければ分かる通り、口径が太くなればなるほど、基本料金が高くなっていきます。

口径毎の水道料金の基本料金 [使用に関わらず契約していることで請求されるもの]

参照:東京都水道局(口径サイズ50㎜以上は省略)

1世帯での一般的な契約の場合、かつては13mm口径の契約が多く、最近では20mmが主流となってきています。

大抵の家庭では、これら13mm、20mm、25mmのいずれかに該当するはずです。
検針票に記載されているので確認ができます。
家庭の総使用量が増えている時には、口径の細い契約であればあるほど(13mmの契約の場合ほど)、水圧の低下という影響を受けやすくなります。


よって、複数の蛇口使用が高い頻度で行なわれる場合には、引き込み管の口径を太くすることで安定供給をしていくという選択になります。

従量料金

従量料金は水道の使用量に応じてかかる料金のことです。一般に、従量料金は段階的に水道使用量1㎥あたりの単価が設定されています。

契約しているだけで必要となってくる基本料金とは異なり、使用した量に対して累進的に料金が加算されていくのが、「従量料金」です。

水道の従量料金の設定は、「生活に必要不可欠な分については単価を低く設定しよう」という考えがベースになっています。

以下の表(東京都23区の例)にあるように、使用量が少なければ少ないほど1㎥ごとに課金される単価も低くなっています。

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毎の水道料金(上水1ヵ月分)[使用量に応じて請求されるもの]

参照:東京都水道局(使用量101㎥以上は省略)

つまり使えば使うほど、段階的にその水
1あたりの単価が高くなる仕組みで、このようなものを「累進制」呼んでいます。

世帯人員別の1か月当たりの平均使用水量

以下は世帯人員別の1か月当たりの平均使用水量(東京都水道局)です。例えば一人暮らしであれば、10㎥以内に抑えることが「無駄遣いをしない」という一つの大きな目安だとわかります。

出典:東京都水道局

下水道料金

私たちは水道料金を支払うとき、一緒に下水道料金も支払っています。下水道料金は「下水道使用量=水道使用量」とみなされ、水道使用量に応じて従量制で徴収されているのが一般的です。

水道局によっては「下水道使用量=水道使用量の90%」というように多少割り引いて計算しているところもありますが、計算の式は、下水道使用料金基本料金+超過料金、となります。

ある一定水量までを基本料金として設定し、超過分に対して課金されていく契約が主流です。

下水量が多くなるほど高単価になる累進制の考え方は、水道の使用料の場合と同じと言えます。

下水道料金(1ヵ月分)(東京都23区 平成10年6月1日から適用されている価格)

参照:東京都水道局(排水量101㎥以上は省略)


上下水道料金の実際の計算

たとえば、東京23区内に住む家庭が20mm口径の水道管を引いており、2か月59m³使用した場合の料金を求めます。

使用水量を1/2にし、1か月当たりの使用水量を求めます。
なお、端数が生じたときは一方の月に寄せます。
2か月で59m³の場合は30m³と29m³となります。


以下に水道料金を求めます。

1)1か月30m³の計算

  ◇基本料金

   呼び径が20ミリですので、1,170円です。

  ◇従量料金

    1~5m³@0円×5m³=0円

    6~10m³@22円×5m³=110円

    11~20m³@128円×10m³=1,280円

    21~30m³@163円×10m³=1,630円

    小計 3,020円


2)1か月29m³の計算

  ◇基本料金

   呼び径が20ミリですので、1,170円です。

  ◇従量料金

    1~5m³@0円×5m³=0円

    6~10m³@22円×5m³=110円

    11~20m³@128円×10m³=1,280円

    21~29m³@163円×9m³=1,467円

    小計 2,857円


3)【水道料金】
計算式=基本料金+従量料金)×1.10(税額、1円未満の端数は、切り捨てます。)
 (基本料金 1,170円×2か月分 + 従量料金1+2= 3,020円+2,857円)×1.10(税額)=9,038円


以下に下水道料金を求めます。

4)1か月30m³の計算

  0~8m³  560円

  9~20m³@110円×12m³=1,320円

  21~30m³@140円×10m³=1,400円

  小計 3,280円


5)1か月29m³の計算

  0~8m³  560円

  9~20m³@110円×12m³=1,320円

  21~29m³@140円×9m³=1,260円

  小計 3,140円


6)【下水道料金】
 計算式=料金表に基づき算定した金額×1.10(税額、1円未満の端数は、切り捨てます。)
 (料金表に基づき算定した金額4+5= 3,280円+3,140円)×1.10=7,062円

7)以上より【合計料金(水道料金+下水道料金)=3+6 】は、
合計 9,038円+7,062円=16,100円

2か月で、上下水道合わせて税込み16,100円となりました。

上下水道料金の全国平均

総務省統計局「家計調査(家計収支編)」のデータによると、1世帯あたりの上下水道料金の全国平均は毎月約5000円程度となっています(二人以上の世帯)。

よく水が使われる場所

東京都水道局のデータを参考にすると、一般的に家庭で一人が1日に使う水の量は、平均224リットル程度とされていて、その内訳は以下のようになっています。



出典:東京都水道局

平成24年度の調査時点では、「お風呂」で使用される割合がダントツで高いとされています。平成18年度の同実態調査では、トイレが28%(1位)、風呂が24%(2位)と逆になっていたことを考えると、トイレで流すために必要となる水量についての各メーカーの企業努力や、浴槽サイズが大きくなってきている近年のライフスタイルの変化が見てとれます。

節水の効果

一般的にお風呂の浴槽には200L ~250Lの水が使用され、シャワーなどで使われる分も含めると250Lから300Lが必要になるとされます。このことから、お風呂で使用する水(お湯)の量を減らしていくことは、一番節約効果が高いと判断できます。

節水によって水道代を節約できるのは、水道と下水道の従量料金の部分です。例えば、東京23区で1か月に30㎡の水を使っている家庭なら、月に1㎥を節水できると、水道163円+下水道140円=計303円+消費税分の水道代が安くなります。1㎥=1,000リットルなので、1,000リットル÷30日(1ヵ月)=1日あたり約33リットルの節水をすればいいことになります。

お風呂

2日に1回の場合であれば、3日に1回にするなど、「できる範囲の調整」をすると、月に1,000L=1㎥の水の使用を抑えることができます。
シャワーは1人あたり約120リットル弱の水がかかります。一方、一般家庭の湯船はだいたい200リットルくらいです。1人ならシャワーの方がお得、2人だとシャワーと湯船でほぼ同じ、3人目から湯船にお湯を張る方がお得といえます。

お風呂の残り湯の使い道としては、洗濯、掃除、水やりなどがあげられます。例えば、洗濯なら「洗い」に残り湯を使うと、8kg程度の洗濯機なら、洗濯1回ごとに約65リットルの水が節約可能です。
また、水掃除に残り湯を使うとバケツ2杯分で約20リットルの節水、水やりや水まきに残り湯を使うとバケツ3杯分で約30リットルの節約になります。以上のように、洗濯・掃除・水やりに使うと100リットル以上の節水が可能です。

節水シャワーヘッド

シャワーの水を出しっぱなしにしがちな場合は、小まめに止めることで効果を見込めます。シャワーを1分間出しっぱなしにするだけでも12リットルもの水を使うようです。
節水用のシャワーヘッドを利用すれば、同じ時間水を出し続けても水の使用量を抑えることができます。30%以上の節水効果が期待できる商品もあり、数千円で購入できるものですので一度試してみるのも一つです。節水シャワーヘッドの多くにはシャワーヘッド手元に「出す・止める」の切り替えボタンがあり、シャワーの出し始め・出し終わりに流れる水をなくし、水の使用量を抑えることが可能です。


トイレ

旧式のトイレは昨今の節水タイプのものと違い、一回流すための水量が大幅に異なっています。TOTOのデータによりますと、例えば1994年製のもので10L近く必要だった大洗浄水量は、2012年製で3.8Lの水量で流せるまでに進化しています。

他にもトイレの水の補給量を都度調整する節水グッズなど、「トイレ 節水グッズ」などで検索して試してみるのも一つの方法です。水圧を変えずに排水量をカットできる器具も販売されています。

炊事

「食器洗い機」は長期的に考えて水道料金を節約することができるお得なものと言えます。パナソニックの最新式のもので(NP-45KS7Wシリーズ)、手洗いとの使用水量と比較すると「約9分の1」に抑えることができるとされています

台所の蛇口に「節水アダプター」を付けることで、かなりの節水効果が期待できます。節水意識の高まりからも安価で様々な商品が出ており、40%から50%の節水効果が期待できると言われていますので、お安く手軽な節水グッズとしてはお勧めです。
水道局のデータによると、5分間流しっぱなしにすることで60Lの水を使うとされています。5分間だけで1L牛乳パック60個分の水量ということです。

洗い物で節水をするためには、食後の汚れを拭いてから洗う、「流し洗い」でなく桶などで水をためてから洗う「ため洗い」、冷水ではなくお湯で洗うなども節水に効果があります。

あらかじめ、汚れをふき取っておくと、食器洗いにかかる時間と水道量を節約できます。ティッシュペーパーやキッチンタオルを使わなくても、古新聞紙や古布を小さく切っておいたもので十分です。

洗い桶にお米のとぎ汁や野菜などを洗った水をため、食後の食器をつけておき、まとめて洗いましょう。ごはんがこびりついた茶碗はつけおきすることで洗いやすくなります。

洗い桶が場所を取って使いにくい場合は、洗い桶ではなく調理後の大きい鍋やボウルでもかまいません。さらに、すすぎの際は洗い桶にすすぐ前の食器を入れ、すすぎ中の水が洗い桶に流れるようにすれば、終わりの方はほかの食器のすすぎ水の効果で洗剤がほとんど落ちています。

節水コマとは、水量を減らして水道代を節約できるアイテムです。水道局にも推奨されている節水アイテムとして人気です。水道局で無料配布されていたり、ホームセンターなどでも安価に購入することができます。

洗濯

風呂水を洗濯で使う方法が有効です。少ないすすぎ回数でもOKな洗剤、ドラム式洗濯機への交換も効果的です。

洗顔や手洗いには洗面器を使う

洗顔や手洗いのときに、水を出しっぱなしにしないようにしましょう。食器洗いのとき同様に、洗面器などに水をためて、そこで洗顔や手洗いをすると水道代の節約につながります。

元栓を閉める

水道の少しだけ閉めるだけで、家で使う全ての水量を減らす事ことができます。

ただし、元栓の締めすぎはNGです。トイレが流れにくくなったり、洗い物で汚れが落ちにくくなったりとストレスが溜まるので注意します。