超高バイパス比のオープンファンエンジン



エアバスとCFM、A380でファン露出型エンジン飛行試験を実施し、オープンファン実用化目指します。 

2022年7月20日 18:50 AviationWire エアバスと航空エンジン大手のCFMインターナショナルは現地時間7月19日、エンジン前部のファンが露出した「オープンファン・エンジン」の飛行試験で協業すると発表しました。

総2階建ての超大型機エアバスA380型機を使用し、航空業界が2050年を目標に定めるCO2排出実質ゼロ達成に向けた開発を進めます。

A380による飛行試験は、2026年開始を目指します。 

この飛行試験は、CFMのRISE(Revolutionary Innovation for Sustainable Engine)実証プログラムの一環です。

2026年から2030年までに仏トゥールーズにあるエアバスの飛行試験施設で実施します。


オープンファン・エンジンは、従来のターボファン・エンジンではカウルに囲まれている前方のファンブレードにあたる部分が露出しています。 

また、エンジンのバイパス比がCFMの最新エンジンLEAPでは11:1ですが、オープンファンは70:1を超える値を達成できるといいます。 

バイパス比が大きいほど、亜音速での推進効率が向上し、低速時の燃料消費が改善され、騒音も抑えられます。 

GEによると、オープンファンは既存のジェットエンジンよりも燃費を20%改善し、CO2排出量を20%削減できるといいます。 


A380は現在主流の双発機と異なりエンジンが4基あることから、このうち1基を新開発エンジンに換装する飛行試験に適しています。 

エアバスとCFMは、今年2月に水素エンジンの実証実験を行うパートナーシップを締結しており、実証実験ではA380を使用します。 

CFMはGEとサフラン・エアクラフト・エンジンズが50%ずつ出資する合弁会社です。 

飛行試験に先立ち、米カリフォルニア州ビクタービルにあるGEアビエーションのフライト・テスト・オペレーションセンターで、エンジンの地上試験と飛行試験の検証を計画しています。



ロペラと同じように回転・大量の空気を後方に送り推力を出すオープン・ファン1段とファン空気流を整流する可変ピッチ・ステーター1段で構成されています。


「オープン・ファン(open fan)」は「オープン・ローター(open rotor)」とも呼ばれ、ファン・ダクトを廃止/「アンダクテッド(Unducted)」化してファン直径を大きくバイパス比を増やし、ファン圧力比を下げて燃費を大きく改善しようと言うアイデアです。この新型エンジンは、CFMが公表した「RISE=Revolutionary Innovation for Sustainable Engines」計画、つまり「環境に優しいエンジン用の革新的技術計画 」に沿ったエンジンと位置付けています。

新エンジンは狭胴型機用で、現用エンジンに比べ燃費とCO2排出を20 %改善するのが目標です。これは国際的に合意された「2050年までにCO2エミッションを半減する」と云う目標に沿った指標です。「オープン・ファン」プログラムは、1980年代から研究を続けてきた「アンダクテッド・ファン」技術を継承するもので、現在の同社の主力CFM Leap-1エンジンの後継となります。