海外の新年お祝いスイーツ

海外の新年のお祝いに欠かせないスイーツを調べてみました。

国際化が進んで、美味しいものは積極的に取り入れる日本ですから、そのうちに当たり前にお正月スイーツとして定着するものがでてくるかもしれません。


ガレット・デ・ロワ(フランス)


ガレット・デ・ロワ(galette des rois)は、「王様の菓子」という意味で、公現祭(1月6日)の日に食べるフランスの菓子です。

フランスの地方ごとに少しずつ異なりますが、最も一般的なものは紙の王冠がのった折りパイにフランジパーヌ(アーモンドクリーム)が入ったパイ菓子で、中にフェーヴ(fève、ソラマメの意)と呼ばれる陶製の小さな人形が一つ入っています。

公現節(1月6日)に家族で切り分けて食べ、フェーヴが当たった人は王冠を被り、祝福を受け、幸運が1年間継続するといわれています。

日本でも、ガレット・デ・ロワを置く店が増えており、フェーヴだけを単独で販売する店もあります。

代表的なところでは渋谷区広尾にあったRUE DE SEINEというフランス雑貨店が、日本で最初にフェーヴを大々的に販売したショップです(閉店済)。

今でも、フランス大統領府(エリゼ宮)で行われる新年会においては、数百人に及ぶ列席者のための巨大なパイが焼かれます。

しかしこの中にはフェーヴがひとつも入っていません。

その理由として、ルイ14世当時、フェーヴを引き当てた者は一日限りのフランス国王や王妃になることができましたが、共和制をとっている現政権は、国民から選ばれた大統領を元首としているため、大統領が「国王」や「王妃」を任命することができないからとされています。


ブリオッシュ・デ・ロワ(フランス)


ガレット・デ・ロワと同様にフランスで食べられているのが、王冠がモチーフである大きなリング状の「ブリオッシュ・デ・ロワ」です。

こちらも中にフェーブが埋め込まれており、バターや卵、砂糖をたっぷりと使った生地で作られているためリッチな菓子パンのような味わいです。

プロヴァンス地方などでは公現祭を祝ってガレット・デ・ロワの代わりにブリオッシュ生地を用いてブリオッシュ・デ・ロワ(brioche des Rois)またはガトー・デ・ロワ(gâteau des Rois)という菓子を作ります。

「ロワ」とは東方の三博士(les Rois mages)のことで、ブリオッシュ・デ・ロワは普通のブリオッシュよりも大きく、王冠のような環型の生地を砂糖漬けの果実などで飾りつけます。

またブリオッシュの生地は、クグロフサヴァランババなどにも応用されます。


ブリオッシュのアレンジ。トゥーロンのブリオッシュ・デ・ロワ


近世ヨーロッパでは、主食とするパンは小麦粉を水と塩のみで練って作るもので、バターや牛乳、卵の入ったブリオッシュのようなパンは菓子であると考えられていました。

18世紀のフランス王妃マリー・アントワネットが言ったと伝えられる「パンが食べられないのならお菓子を食べればよいのに」の「お菓子」とはこのブリオッシュのことです(ただし、この発言は捏造であることが判明しています)


キングケーキ(アメリカ合衆国ニューオリンズ)

ルイジアナ風キングケーキ。中央にプラスチックの赤ちゃんの人形が置いてある

キングケーキ(King Cake)は、カーニバルのときに食べられる伝統的なケーキの一種です

この伝統はフランスとスペインから来た入植者によって、アメリカ合衆国南部の旧フランス領にもたらされました。

マルディグラのシーズンになると、カーニバルを祝う習慣のあるフロリダ州ペンサコーラからテキサス州の南東部まで、ニューオーリンズを中心にした地域でキングケーキが食べられます。

ケーキには、小さな安物のおもちゃ(trinket)が中に入っており、これが当たると、さまざまな特典がもらえたり、義務が課せられたりします。

中に入れるおもちゃは赤子のイエス・キリストを象徴する赤ちゃんの形をしていることが多いです。

ルイジアナスタイルのキングケーキの一部上のプラスチック製の赤ちゃんの置物Wikipedia site:ja.wiki5.ru

ニューオーリンズ・マルディグラの伝統であるキングケーキには多くの種類がありまするが、最も単純で伝統的なものは、輪状にしたブリオッシュに似た生地のパンで、通常、伝統的なカーニバルの3色、金色で色付けられた糖衣やグラニュー糖でトッピングされています。

クリームチーズプラリネフィリングが入ったものもあります。

フランス式のガレット・デ・ロワは、フレンチ・キングケーキと呼ばれます。

キングケーキのシーズンは公現節からマルディグラ(ファット・チューズデー、肥沃な火曜日)までで、この期間中多くの団体やグループが毎週「キングケーキ・パーティ」を開きます。

ケーキの中のおもちゃが当たった者はパーティの王(女性の場合はもしくは女王)に選ばれ、紙やプラスチック製の王冠やティアラをつけます。

キングケーキ・パーティは、カーニバルのパレードの通り道の近くに住む人の家で開催されます。

ニューオーリンズでのキングケーキ・パーティは18世紀から行われており、南北戦争以前の上流階級のパーティでは、ケーキの中に貴金属製のフェーヴを入れることもありました。


ケーニヒスクーヘン(オーストリア)



オーストリアで公現節 (Dreikönigsfest) に食べられるお菓子はケーニヒスクーヘン( Königskuchen)と呼ばれます。

「王様の焼き菓子(ケーキ)」という意味で、パイ生地の中にレーズンオレンジピールレモン風味のスポンジ生地を入れて焼き上げた焼き菓子です。


セムラ(スウェーデン)


北欧スウェーデンで春の訪れを祝うお菓子として親しまれているのが「セムラ」です。

カルダモンを練り込んだパンにアーモンドペーストとたっぷりのクリームをサンドした、甘さの中にほどよいスパイシーさを感じられる伝統スイーツで、主にクリスマス明けからイースターまでの期間に食べられています。


セムラ(semla, laskiaispulla)とは、スウェーデン、フィンランド、エストニア、ノルウェー、デンマーク、フェロー諸島、アイスランドなどで様々な形で作られている伝統的な菓子パンで、四旬節、特にほとんどの国では「シュローブ・チューズデイ」にちなんで作られています。

スウェーデンとフィンランドでのセムラは、カルダモンで味付けした小麦粉のパンの上部を切り落とし、ミルクとアーモンドペーストを混ぜたものを詰め、ホイップクリームをトッピングします。

切り取られた上部は蓋の役割を果たし、粉砂糖がまぶされます。

コーヒーや紅茶と一緒に、そのまま食べることが多く、またホットミルクを入れたボウルに入れて食べることを好む人もいます。

フィンランドでは、アーモンドペーストの代わりにイチゴやラズベリーのジャムを入れることが多く、フィンランドのベーカリーでは通常、両方のバージョンを提供しています。

多くのベーカリーでは、伝統的なパンの上にアーモンドを飾り、ジャム入りのパンには粉砂糖をかけることで両者を区別しています。

フィンランド語やスウェーデン語では、semla はパンやバターに使う普通の小麦のパンを意味し、菓子パンを意味しません。

ある時、スウェーデン人が四旬節の遵守に嫌気がさし、クリームとアーモンドペーストを加えて、シュローブ・チューズデイとイースターの間の毎週火曜日にセムラを食べるようになったという言い伝えがあります。

一部のベーカリーでは、チョコレート、マジパン、ピスタチオなどを加えたレシピが考案されています。

デンマークのセムラ


ホイップクリーム、ジャム、粉砂糖を添えたノルウェーのセムラ




オリーボーレン(オランダ)



オリーボーレン ( oliebollen) またはオリボーレン、オリボルンは、オランダおよびベルギーの伝統的なドーナツです。

単数形はオーリボルまたはオリーボル、オリボール(oliebol)です。

現在の一般的なドーナツの起源となりました。

オリーボーレンはダンプリングの一種で、アイスクリームディッシャーまたは2つのスプーンによって生地を一定量すくい上げ、熱した油で満たされた深い天ぷら鍋に生地を落とすことで作られます。

このようにすることで、油の中でオリーボーレンは球状になります。

オリーボーレンは伝統的に、大晦日に食べられます

また、移動遊園地でも売られ、冬場になると、通り屋台で売られることもあります。


オリーボーレンは、小麦粉酵母少々、牛乳ベーキングパウダーから作られます。

通常はブドウの一種であるサルタナカシスレーズン柑橘類の皮、果物の砂糖漬けが用いられます。

オリーボーレンは通常は粉砂糖をまぶして提供されます。


一番古いオリーボーレンのレシピは、1667年に発行されたオランダの本『De verstandige kock "The smart/responsible cook"』で、当時は油でできたクッキーを意味する oliekoecken(オリークックまたはオリクック〈olykoek〉)と呼ばれていました。

オリーボーレンはその美味しさを競う大会が開催されたり、大きなお皿にたくさん盛り付けて食べながら年越しをしたりなど、新年を迎えるときに欠かせない伝統スイーツです。