フォルクスワーゲン・ゴルフ
フォルクスワーゲン・ゴルフは昔から、リアドアに大きな三角窓があるため、私の興味を引く車ではありませんでした。
しかし、どの自動車雑誌を手にとっても、ゴルフをベンチマークとして褒めたたえる記事ばかりです。
改めて、車としてのパッケージを考えてみると、ミニマックスを見事に具現した車型であることが分かります。
車としての最大容量を充足しているのはワンボックスであるし、後席の居住性を必要かつ十分に満たしているのは、トヨタ・ジャパンタクシー、そのベースとなったトヨタ・シエンタです。
更には、衝突安全性を考えた時に、軽自動車以外で普通乗用車の税金ミニマムの車重1t以下のリッターカーとしてトヨタ・ポルテ/スペイドは、後席に乗った時にその広さに思わず唸らせるものがあり、最も合理的な車ではないかと思わせられます。
しかし、車に乗っている時には、乗り心地や音の問題があります。
仕事車である、トヨタ・プロボックスから、古くて今や不合理だらけのマークⅡに乗り換えた時の満足感は雲泥の差があり、やはりマークⅡに乗り続けたいと思うものです。
この居住性と、音や振動・乗り心地を上手くバランスさせたのがフォルクスワーゲン・ゴルフではないかと思います。
何世代にも渡って、旧車型の欠点を解消すべく改良し続け、ドイツ人的な律義さで造られてきたベストセラーと言えるのかもしれません。
70代のドライバーとして、今やマストとなってしまった自動ブレーキなどの衝突予防安全性を考えると、フォルクスワーゲン・ゴルフの中古車は同時代の日本車よりも劣りますが、それ以外の車本来の完成度はピカイチと言われます。
ゴルフ
ゴルフ(GOLF)は、フォルクスワーゲンが製造・販売する小型乗用車(コンパクトカー)です。1974年の発売以来、フォルクスワーゲンの基幹車種として2017年までに全世界累計で3,000万台以上を売り上げており、これは単一モデルシリーズとしてはトヨタ・カローラ、フォード・Fシリーズに次ぐ世界第3位です。
7代目 ゴルフVII 5G型 (2012-2020年)
先代までのプラットフォームを一新し、車体骨格にモジュールプラットフォームアーキテクチャ「MQB(モジュラー・トランスバース・マトリックス)」を採用した結果、高い走行性能や安全性、高い生産効率、部品点数の大幅削減などを実現しました。
エンジンは先代までの直列5気筒(北米向け)が廃止され、全て直列4気筒となりました。
車体に加えて、エンジン、リアサスペンション等の主要機構も一新されました。
「ハイライン」、「GTI」には気筒休止システム(ACT)を搭載しました。
リアサスペンションは「ハイライン」、「GTI」がマルチリンク式サスペンション、他のグレードがトーションビーム式サスペンションとなります。
変速機にはDSGが採用されています。
オーディオ・ナビゲーションシステムにはタッチパネルを採用しています。
日本仕様車はハッチバックタイプの「GTI」を除き、「平成17年基準排出ガス基準75%低減レベル(☆☆☆☆)」と「平成27年度燃費基準+20%」を達成しています。
日本市場においては、輸入車初の日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY 2013-2014)受賞車両でもあります。
ゴルフVIIの仕様
概要 | |
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販売期間 | 2012年11月 - 2019年10月(欧州) 2013年6月25日 - 2021年6月14日(日本) |
デザイナー | ワルテル・デ・シルヴァ |
ボディ | |
乗車定員 | 5人 |
ボディタイプ | 3 / 5ドアハッチバック ワゴン |
駆動方式 | 前輪駆動 / 四輪駆動 |
プラットフォーム | MQB |
パワートレイン | |
エンジン | 1.2L直4ガソリン(TSI) 1.4L直4ガソリン(TSI) 2.0L直4ガソリン(TSI) 1.6L直4ディーゼル(TDI) 2.0L直4ディーゼル(TDI) |
最高出力 | 77kW(105PS) (1.2L TSI) 103kW(140PS) (1.4L TSI) 162kW(220PS) (2.0L TSI) |
最大トルク | 175Nm(17.8kgm) (1.2L TSI) 250Nm(25.5kgm) (1.4L TSI) 350Nm(35.7kgm) (2.0L TSI) |
変速機 | 6速/7速DCT(DSG) 5速/6速MT |
サスペンション | |
前:マクファーソンストラット 後:4リンク / トレーリングアーム | |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,635mm |
全長 | 4,265mm(ゴルフ) 4,575mm(ゴルフ ヴァリアント) |
全幅 | 1,799mm(ゴルフ) 1,800mm(ゴルフ ヴァリアント) |
全高 | 1,460mm(ゴルフ) 1,485mm(ゴルフ ヴァリアント) |
車両重量 | 1,320 - 1,350kg(日本仕様) |
8代目 ゴルフVIII CD1型 (2019年 -)
2019年10月、8代目モデルがドイツにて発表されました。
48Vのマイルドハイブリッドシステムである「eTSI」を採用しており、始動時に電気的ブーストをかけ、駆動トルクを増加させる小型軽量な発電機として機能します。
2021年6月15日、日本仕様のゴルフが8代目へフルモデルチェンジされ、同日より発売されました。
日本仕様では発売当初、トランスミッションは7速DSGのみ、エンジンは1.0直列3気筒 TSIエンジンと1.5直列4気筒 TSIエンジンの2種類が設定され、1.0eTSIモデルは「eTSI Active Basic」と「eTSI Active」、1.5eTSIモデルは「e-TSI Style」と「e-TSI R-Line」の4グレード展開となっています。
同年7月28日には、ステーションワゴンモデルであるゴルフヴァリアントの日本仕様も8代目へフルモデルチェンジされ、同日より発売されました。
パワートレインやグレード体系は日本仕様の8代目ゴルフに準じています。
ホイールベースは先代まで通常モデルと同一であったが、今回モデルから50mm延長された2670mmになり、後部座席のレッグスペースの拡大と乗り心地の向上にもつながっています。
同年12月10日には、2021-2022日本カー・オブ・ザ・イヤー「インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。
2013-2014に日本カー・オブ・ザ・イヤーとして受賞した7代目に続き、2代連続での受賞となりました。
同年12月21日には、2019年8月より日本にも導入されているクリーンディーゼル搭載のTDIモデル、その翌日にはスポーツモデル「GTI」の各日本仕様も8代目へフルモデルチェンジされました(TDIモデル、GTIともに2022年1月7日発売)。
TDIモデルは2.0Lエンジンに7速DSGを組み合わせられていますが、SCR触媒コンバーターを直列に2つ配列し、そこから尿素水(AdBlue)を注入することでNOx排出量の削減と最大トルク強化の両立を図った「ツインドージング(デュアルAdBlue噴射)システム」を採用した最新世代のDTS型へ換装されています。
グレード体系はeTSIモデルにほぼ準じており、「TDI Active Basic」、「TDI Active Advance」、「TDI Style」、「TDI R-Line」の4グレードが用意されています。
また、「TDI R-Line」にメーカーオプションされている18インチアルミホイールについては、eTSIモデルの「e-TSI R-Line」にも同時に設定されました。
一方、「GTI」はTDIと同じ2.0Lの排気量を持ちながら、最高出力245PS・最大トルク370Nmの高出力・高トルクを発揮するTSIエンジンであるDNP型が搭載されています。
2022年8月9日にゴルフ・ゴルフヴァリアント共に仕様変更を発表しました(同月中旬以降順次出荷)。
USB type Cポートの給電機能をUSB PD規格に対応し、インテリアトリム(ドアトリム・ドアアームレスト・センターアームレスト)の素材を変更しています。
ゴルフの「e-TSI/TDI Active Basic」・「eTSI Active」・「TDI Active Advance」・「e-TSI/TDI Style」及びゴルフヴァリアントの「e-TSI Active Basic」・「eTSI Active」・「e-TSI Style」にはセンターエアバッグが追加され、ゴルフの「e-TSI/TDI Style」及びゴルフヴァリアントの「e-TSI Style」に設定のグレー内装時のトリムを一部グレーからブラックに変更されました。
また、仕様変更に加えて原材料費の急激な価格上昇に伴う工場出荷価格の上昇を受け、車両本体価格(メーカー希望小売価格)が改定され、グレードによりゴルフは14.2~20.2万円(10%相当の消費税込)、ゴルフヴァリアントは14.7万円~17.9万円(10%相当の消費税込)それぞれ値上げされました。
同年10月4日には7代目に設定されていたゴルフRとゴルフRヴァリアントの日本仕様も8代目ベースへフルモデルチェンジされ、同日より発売されました。
7代目モデルよりも出力・トルク共にパワーアップさせ、最高出力320PS・最大トルク420Nmを発生させる2.0TSIエンジンのDNF型が搭載されています。
また、ブレーキは1インチ拡大して18インチにしたことでストッピングパワーが強化され、高速域からのブレーキング性能を向上しています。
ティグアンRにも採用されている「Rパフォーマンストルクベクタリング」と「ビークル ダイナミクス マネージャー」を採用しました。
外観はバンパーを専用デザインに変え、サイドシルは専用のボディカラー同色となり、リアはグロスブラックのディフューザーと4本出しのエクゾーストパイプを装備します。
内装ではブルーの「R」ロゴをあしらった専用ヘッドレスト一体型トップスポーツシートが採用され、デジタルメータークラスター「Digital Cockpit Pro」はスポーツモードもしくはレースモードを選択したときに専用の表示が可能となります。
ボディカラーはラピスブルーメタリック(オプション)、ピュアホワイト、ディープブラックパールエフェクトの3色展開となります。
同年10月25日にはゴルフ同様に日本にも導入されているゴルフヴァリアントのTDIモデルの日本仕様も8代目ベースへフルモデルチェンジされ、同日より発売されました。
エンジンやグレード体系は先にフルモデルチェンジ・発売されているゴルフのTDIモデルに準じます。
ゴルフVIIIの仕様
概要 | |
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販売期間 | 2019年 - (日本:2021年 -) |
ボディ | |
乗車定員 | 5名 |
ボディタイプ | 5ドアハッチバック/ステーションワゴン |
駆動方式 | FF |
パワートレイン | |
エンジン | DLA型 999cc 直3 DOHC IC付ターボ DFY型 1,497cc 直4 DOHC IC付ターボ DTS型 1,968cc 直4 DOHC IC付ディーゼルターボ(TDIモデル) DNP型 1,984cc 直4 DOHC IC付ターボ(GTI) |
モーター | 4450型(eTSIモデルのみ) |
変速機 | 6速MT 7速DCT 8速AT |
サスペンション | |
前:マクファーソンストラット式(スタビライザー付) 後:トレーリングアーム(1.0L車) 後:4リンク(スタビライザー付/1.5L車) | |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,620mm |
全長 | 4,295mm |
全幅 | 1,790mm |
全高 | 1,475mm |
車両重量 | 1,310 - 1,360kg |