US-NCAPと IIHS の自動車安全性評価試験

NCAP

NCAP(New Car Assessment Programme、新車アセスメントプログラム)は、1979年よりアメリカで実施されている自動車の安全性の評価(自動車アセスメント)です。


NCAPの評価

毎年、政府機関である米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)により実施され、結果が公表されます。

前面衝突試験、側面衝突試験の2種の試験を行っており、ダミー人形の障害データを元に得点が付けられ評価されます。

また、耐転覆性の性能を評価しています。

星の多少で評価されており、星5個が最高(安全)と評価されています。

米国道路安全保険協会(IIHS)は、 NCAPに比べ、試験内容(時速40マイルにおける25%ラップ前面衝突など)と評価(4段階)が厳しくなっています。

US NCAPは現在、ほとんどの車が5スターを獲得し、車同士で差が付けにくい状態が続いています。

NHTSAは2013年と2015年の2度にわたり、NCAP改定を提案しました。

US NCAPの総合評価体系
注)D・P席:D (Driver)は運転席、P (Passenger)は助手席

IIHS

米国道路安全保険協会(べいこくどうろあんぜんほけんきょくかい、Insurance Institute for Highway Safety、略称: IIHS)は、米国保険業界が1959年に設立した非営利団体です。

自動車アセスメントとして自動車の衝突事故における人、車両、道路環境の3要素すべてを視野に入れた事故防止策、および事故発生前、事故発生時、事故発生後のそれぞれの損傷の軽減に焦点を置いた調査研究を行っています。


IIHSの評価

試験項目は、前面オフセット衝突2種、後面フルラップ衝突、側面衝突、転倒、屋根強度、前面衝突予防性能ですが、一部の試験が実施されていない車種もあります。

毎年「TOP SAFETY PICK award」が発表され、総合評価が高いものには「トップセーフティーピック」、最高のものには「トップセーフティーピック+」の称号を与えています

衝突実験の様子はYoutube IIHS チャンネルで公開されています。

保険業界が公表している情報のため、より現実の事故統計などを参考にしていることもあり、自動車メーカーNCAPのテストでは現れない、実質的な安全性の裏づけデータのひとつとしてとらえることも出来ます。

衝突試験はマイクロカーからラージピックアップトラックまでが15のグループに分けられています(2013年現在)が、絶対評価では無く、クラス(カテゴリ)内での相対評価となっています。

テスト結果は4段階で表され、Good(優)、Acceptable(良)、Marginal(可)、Poor(不可)となっています。

2012年から新たに実施されている「Small overlap frontal test」は、速度40 mphにおける左端25%のオフセット前面衝突テストです。

運転席側のAピラーやスカットル(フロントドアヒンジ部)に力が集中する厳しい内容ですが、IIHSによると、前席乗員の死亡重傷につながる前面衝突事故の約4分の1がこの場合に該当すると言います。

2013年から新たに実施されている「Front crash prevention」は、衝突被害軽減ブレーキの性能を評価します。

衝突被害軽減ブレーキの評価は警告機能で1点、自動ブレーキ性能で5点で最高6点満点で、「superior(5~6点)」、「advanced(2~4点)」、「basic(1点)」の3段階で評価されます。

自動ブレーキ性能試験は20km/hと40km/hでの減速性能を試験されます。

IIHSの評価体系

2009年、コンパクトカー衝突テスト、結果にメーカーが反論

米国IIHS(高速道路安全保険協会)は2009年4月14日、人気コンパクトカー3台を同一メーカーの中型車と衝突させるテストの結果を公表しました。

「コンパクトカーは安全性が低い」と結論づけたため、自動車メーカーが反発しました。

IIHSのテストは車対車を前面から、相対速度64km/hでオフセット衝突させる方式です。

テスト車には米国で人気のコンパクトカー3台が選ばれ、ホンダ『フィット』は『アコード』と、スマート『フォーツー』はメルセデスベンツ『Cクラス』と、トヨタ『ヤリス』(日本名:『ヴィッツ』)は『カムリ』と、それぞれ衝突テストが行われました。

重量が重くバンパー位置の高いSUVやピックアップトラックとの衝突では、コンパクトカーは明らかに不利ですが、米国では主流のミッドサイズセダンを衝突相手に選んでいるところが、IIHSのテストのポイントといえます。

結果は、3台とも4段階評価の最低ランク、「POOR」(不可)でした。

過去にIIHSが行った単独での64km/hオフセットバリア衝突テストでは、3台とも優秀な結果を残しているにもかかわらず、現実の事故形態に即した車対車の衝突テストでは、安全性が低いと評価されました。

3台の結果を検証すると、フィットは単独テストでは4段階評価の上から2番目の「GOOD」(良)評価でした。

しかし、アコードとの衝突試験では、ダミー人形は下腿の骨のひとつである脛骨に重大なダメージを負いました。

また、エアバッグが展開したにもかかわらず、ダミー人形はステアリングホイールに頭を強打しました。

この2点が影響して、評価は最低のPOOR(不可)となりました。

スマート・フォーツーはメルセデスベンツCクラスとの衝突で、インパネやステアリングホイールが室内へせり出し、ダミー人形を圧迫しました。

ダミー人形は頭と両足に重大な傷害を受ける結果となりました。

これが災いし、評価は最低のPOOR(不可)となりました。

ヴィッツはカムリとの衝突によって、ステアリングホイールのエアバッグが作動したにもかかわらず、ダミー人形はステアリングホイールに頭を痛打しました。

頭に重大なダメージを与えるということで、最低評価のPOOR(不可)となりました。

ちなみに、3台の中型車の結果は、アコードとCクラスは「GOOD」(良)、カムリは4段階評価で上から3番目の「ACCEPTABLE」(可)でした。

IIHSのデータによると、2007年に米国で起きた交通事故で、乗車中の1 - 3歳児が亡くなった割合は、コンパクトカーがラージサイズカーの2倍に達すると言います。

また、車両単独事故における死亡率では、ミッドサイズカーはコンパクトカーよりも17%低いとのデータが出ています。

テストの結果を受けてIIHSは、「コンパクトカーは環境性能や維持費の面でのメリットと引き換えに、安全性を犠牲にしている」とコメントしました。

さらに3社の安全性への取り組みを高く評価したうえで、「車重やボディサイズなど物理的な面から見て、小型車が衝突安全性で不利なのは否定できない」と結論づけました。

これに対して、自社製品の安全性が低いと批判された自動車メーカーは反発しました。

スマートの米国現地法人、スマートUSAは「過去に同様のテストをドイツの『Auto Motor und Sport』誌と共同で行っており、その結果は満足できる内容だった」とコメントしました。

米国ホンダも「同様の試験は社内で実施しており、安全性は確保している」と反論しています。


アクセス


下記をクリックするとNHTSAへアクセスできます。

参考:Car Safety Ratings | Vehicles, Car Seats, Tires | NHTSA

Search vehicle safety ratings.(車両の安全性評価を検索)の空欄へメーカー、モデル名、或いは年度を入力すると検索できます。


下記をクリックするとIIHSへアクセスできます。

Search our ratings(評価と検索)の空欄へ、メーカー、モデル名、或いは年度を入力すると検索できます。

参考:IIHS-HLDI



フォルクスワーゲン・ゴルフのIIHSによる試験動画です。


トヨタ・ヤリスIIHSによる試験動画とありますが、実際には、マツダ 2のセダンタイプOEMです。