小規模マンション駐車場の管理

私のマンションで駐車場のアンケートがあったので、他のマンションではどうであろうかとネットで調べてみました。


統計

国土交通省が公表する「マンション総合調査(平成30年度)」の住宅部分の駐車場の有無および種類別設置状況によると、駐車場があるマンションは全体で88.5%にもなるといいます。

内訳をみると平面式駐車場は78%、機械式駐車場は32.2%、立体自走式駐車場は5.3%(複数回答あり)となっています。

特に東京圏では、平面式駐車場は66.3%、機械式駐車場は40.6%、立体自走式駐車場は6.1%となっており、土地スペースの有効活用とはいえ、維持費のかかる機械式駐車場の割合が多いのが読み取れます。

さらに平成に入ってからは、機械式駐車場の設置率が増え、平成12年以降の機械式駐車場の設置率は50%を超えます。

特に平成22年~平成26年に完成したマンションでは60.2%ものマンションに機械式駐車場があります。

参考:国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」

月極駐車場 都道府県の相場 平均月額ランキング

 順位   都道府県    平均金額  
1位東京都30,836円
2位大阪府25,405円
3位京都府18,434円
4位兵庫県16,575円
5位神奈川県16,570円
6位広島県15,423円
7位愛知県14,271円
8位宮城県13,641円
9位福岡県12,022円
10位埼玉県11,243円
11位千葉県9,891円
12位岡山県9,624円
13位北海道9,093円
14位奈良県7,543円
15位香川県7,273円
15位高知県7,273円
17位和歌山県7,162円
18位岩手県6,752円
19位静岡県6,460円
20位秋田県6,191円
21位長崎県6,049円
22位富山県5,950円
23位栃木県5,936円
24位石川県5,926円
25位新潟県5,909円
26位愛媛県5,849円
27位滋賀県5,841円
28位三重県5,837円
29位福井県5,801円
30位島根県5,795円
31位青森県5,785円
32位茨城県5,730円
33位沖縄県5,720円
34位山形県5,676円
35位徳島県5,624円
36位群馬県5,503円
37位福島県5,310円
38位鳥取県5,268円
39位鹿児島県5,180円
40位山梨県4,888円
41位大分県4,852円
42位岐阜県4,719円
43位熊本県4,685円
44位山口県4,615円
45位宮崎県4,608円
46位佐賀県4,439円
47位長野県4,304円

各都道府県の県庁所在地の月額平均ランキングは下記の通りです。
順位    県庁名    平均月額  
1位新宿区34,960円
2位大阪市23,860円
3位京都市18,215円
4位横浜市16,890円
5位神戸市15,857円
6位広島市14,717円
7位名古屋市14,174円
8位札幌市11,611円
9位仙台市11,590円
10位福岡市11,506円
11位さいたま市10,329円
12位千葉市9,919円
13位盛岡市9,907円
14位長崎市9,695円
15位高松市9,219円
15位高知市9,219円
17位静岡市8,913円
18位奈良市8,679円
19位岡山市8,447円
20位宇都宮市7,867円
21位和歌山市7,818円
22位大津市7,704円
23位那覇市7,282円
24位松山市7,076円
25位金沢市6,862円
26位秋田市6,634円
27位鹿児島市6,471円
28位前橋市6,397円
29位富山市6,391円
30位津市6,364円
31位福井市6,342円
32位青森市6,105円
33位水戸市6,048円
34位徳島市6,014円
35位新潟市5,982円
36位山形市5,940円
37位松江市5,807円
38位岐阜市5,661円
39位甲府市5,658円
40位熊本市5,621円
41位福島市5,327円
42位大分市5,180円
43位長野市5,061円
44位宮崎市4,838円
45位鳥取市4,804円
46位佐賀市4,787円
47位山口市4,520円

駐車場に空きが生じることによる問題

駐車場に空きが生じることによって起こる問題は、多くのマンションの管理組合が、駐車場使用料を管理費会計・修繕積立金会計の収入源としているため、駐車場使用者が減ると収入も減り、収支バランスが崩れてしまうことです。

例えば、1住戸1台の駐車場が確保されている15戸の小規模マンションがあるとします。

月額使用料は1台1.3万円とします。

近年の車離れにより、現在15台中2台が空いていると仮定した場合、マンションの管理組合に入る収入を見てみると、下記の通り年間で31.2万円の差が出ます。

【駐車場使用台数による収入差】

【満車】(15台中15台契約)の場合
月額1.3万円×15台=19.5万円
年間19.5万円×12カ月=234万円

【2台空き】(15台中13台契約)の場合
月額1.3万円×13台=16.9万円
年間16.9万円×12カ月=202.8万円

⇒234万円-202.8万円=31.2万円

この31.2万円を15戸で割ると、1戸当たり年間20,800円を負担しなければ、空き駐車場によって減った収入源を補填できない計算になります。

平面式駐車場より維持費が高い機械式駐車場がある管理組合においては、空き駐車場によって使用料収入が得られないにもかかわらず、維持費負担という支出が伴い両側面から辛い状況となります。

特に駐車場使用料を管理費会計の収入にしているマンションでは、今までは収入減を余剰金や費用削減でなんとか乗り切っていたとしても、昨今の物価高によって支出が増加しており、管理費の値上げを避けられない事態に陥っています。


機械式駐車場の維持費

機械式駐車場のコストは、毎年かかる維持費、故障などによる修繕費、耐用年数に達した時の交換費用からなります。

毎年必要になる維持費は、1台当たりおおよそ1万円~1万2000円とされます。

15台なら毎年15万~18万円かかる計算となります。

25年~30年経過すると耐用年数が過ぎ、新たに駐車場設備を全交換すると1パレットあたり100万円程度かかるとされ、15台分なら目安として1500万円となります。

また耐用年数に達しなくても、年数が経過すれば故障や劣化による修繕費も必要になります。

これらの費用は、駐車場の収支状況とは関係なく常に費用として発生し、どれだけ空き駐車場があっても機械式駐車場が存在する限りかかり続けます。

機械式駐車場の交換費用は長期修繕計画に組み込まれていないマンションも多く、そのため、当初設定されていた積立額では足りずに一時金の徴収や、修繕積立金の値上げという事態も起こっています。

マンションの駐車場に空きが生じ、管理組合の管理費会計の収支バランスが崩れる問題を回避するためには何らかの対策を講じる必要があります。

例えば、「駐車場使用料を値上げする」「外部の駐車場使用者を呼び戻す」「外部貸しをする」「空き駐車場をバイク置き場などに転用する」などがあります。

管理組合で何らかの空き駐車場の対策を講じていなければ遅かれ早かれ、駐車場使用不使用にかかわらず、マンション住人各個人にまで空き駐車場問題のしわ寄せがきます。

マンションの駐車場に関するルール確認

近年多いのが、機械式駐車場で停められるサイズと車両サイズが合わないことです。

近年ユーザーが増えているワンボックスカーやミニバン、RV、SUVは、機械式駐車場のサイズや高さ制限にひっかかり使用できないことが多いです。

従来の「マンションの駐車場問題」といえば、違法駐車のほか「駐車スペースが足りない」というものでした。

そのため、「1住戸1台」などの制限や貸出ルールがされているマンションもありますが、実情に合わせてルールを見直しをすることも必要です。

駐車場の収支だけに特化した「駐車場会計」が別にあれば、原則として駐車場の使用者で収支を運営することになるため、多額の維持費がかかる機械式駐車場の長期修繕計画も立てやすく、駐車場使用料の改定もし易くなります。

こういった会計を行っているマンションは少数派ですが、機械式駐車場や空き駐車場にかかわるリスクを比較的少なくすることが可能です。

中には駐車場が共用部分ではなく「分譲車庫権利付きマンション」として販売されていることもありますが、この場合、駐車場は使用料を支払わず利用できるかわりに、平置き駐車場以外は維持管理がさらに複雑になります。


駐車場空き対策

一昔前は、駐車場問題の多くは、『マンション住戸の数に比べて駐車場の収容台数が不足し、希望者の全員が駐車場を利用できない』という状況に起因していました。

ところが、現在は逆に、『自動車離れ』という社会状況や、マンション居住者の高齢化などを背景に、空き待ちでなく、駐車場利用者が足りず、空き区画が生じることが多くなっています。

以下は、空き駐車場が増える要因の一例です。

1)ミニバンやSUV車等、全高の高い車に買い替えて機械式駐車場が利用できなくなった。(利用不可)

2)近隣の駐車場の方が安かったので外部で借りた(賃料比較で外部利用)

3)居住者の高齢化が進み、運転をやめた人が増えた(車を手放す)

4)保有した車を手放してカーシェアリングを利用している(カーシェアに変更)

5)駐車場が狭いので使い勝手が良くない(車を収容しにくい)

「車離れ」の構造的な変化として、自動車保有率の低い都市部への人口集中、高齢化による車離れ、若者世代の自動車免許保有人口の減少、若者の経済力の低下、趣味の多様化などが起きているためであるとも推測されています。

空き区画の発生は管理組合にとって、『マンション管理に必要な資金が不足する』という財務上の問題を引き起こします。

駐車場使用料収入が減り管理費会計が赤字になったら、使用料の値上げを検討しなければなりません。

理事会で、どの程度の値上げが必要か収支のシミュレーションが必要です。

最後は、総会の場で使用料の値上げを決めることになります。

この場合、使用料の値上げでマンション外の駐車場に移ってしまう住民が出てくる可能性があります。

一方、アンケートの結果で、駐車場使用料の見直し要望がある場合、最近の近隣相場と比較し、月額数千円程度高い場合は、料金設定を見直しする必要があります。

マンションに最も近い月極駐車場料金より低めに設定すれば、外部に借りていた人が複数戻るケースもあります。

駐車料の値下げによって、契約率が改善され収入増が見込まれます

車高の高いワンボックスカーやSUV車等の増加や車自体の保有率低下がある場合、機械式駐車場を一部撤去し、平置き駐車場に変更工事をすることにより、マンションの付加価値を向上する方策もあります。

マンションの状況にもよりますが、結果的に駐車場の契約率が改善され、メンテナンス費用や修繕工事などの支出も一部削減でき、将来に向けての管理組合の収支バランスも健全な状態に戻すこともできます。

機械式駐車場を一部撤去し、平置き駐車場に変更工事をし、その一区画を居住者専用のコインパーキングとし、マンションの付加価値を向上する方策もあります。無断駐車が減り、来客用として、あるいはマンション内での工事用車両の駐車場として利用する方策もあります。

昨今の車離れにより駐車場に空きが生じる場合には、財産の有効活用、財務基盤の強化等の観点から、組合員以外の者に使用料を徴収して使用させることも考えられます。

つまり、マンションの駐車場を外部に貸すか、サブリース会社に駐車場をリースするという方法があります。

この場合、管理規約の改正や管理組合の収益事業にかかわる税務対策などハードルが高いので別途、検討が必要です。

駐車場利用者が減少し、将来の増加が見込めなければ使用料の値上げを検討しなければなりません。

利用者を増やす工夫や駐車場そのものを縮小することも検討する必要があります。

細かなシミュレーションをし、さまざまな解決策を複合的に組み合わせて検討することが大事です。また、メリット、デメリットを出し、将来にわたる修繕積立金の不足問題も見直しすることが大事です。


駐車場会計を管理費会計から独立

多くのマンションでは、駐車場使用料収入が管理費会計に組み入れられています。

駐車場使用料を管理費収入に組み入れて会計処理している管理組合の場合、収入減は深刻です。

また、機械式駐車場の保守料金は管理費会計で処理し、残りは修繕積立金会計で会計処理している管理組合の場合、将来の改修工事費用の減少が懸念されます。

多額の維持費がかかる機械式駐車場を採用しているマンションでは、駐車場会計を管理費会計から独立させておくことが理想です。

その方が、駐車場使用料の改定がしやすく、駐車場設備の長期修繕計画が立てやすい面があります。

また、駐車場を利用していない人からの不満が出にくい利点もあります。

駐車場の区画数がマンションの全住戸より少ないとき、「戸当たりの駐車場の利用は、1台分」と管理規約等に規定し、不公平を避けるために、1戸が2台以上の駐車区画を占めることを禁止した例があります。

また、賃貸の人はマンションの駐車場を使用できないなどの規定もありました。

これらの規定を解除すれば、外部貸しにせずに利用者が増えるかもしれません。

検討の余地はあります。あるいは、駐輪場、バイク置き場等に転用することも考えられます。

ある小規模マンション、15台分の機械式駐車場のメンテナンス費用を見積もったところ、1台80万円で、15台×80万円=1200万円 との金額が出ました。

では、今交換したらいくらでしょうか?と交換費用を見積もったところ、なんとほぼ同額だったのです。

機械式駐車場メーカーとしては、新しい駐車装置を売りたいから、ある程度値引きもできます。

駐車場の維持管理が管理組合会計の重荷に

マンションの居住者で組織される管理組合の大きな収入源の1つである駐車場使用料が、利用者の減少によって収入減となり、管理組合の会計を逼迫(ひっぱく)するというのが、分譲マンションにおける駐車場問題です。

機械式の駐車設備は維持管理することが必要となりますが、メンテナンス費用が捻出できないなど、単に収入減になるだけでなく、設備の維持に問題を抱えるマンションが出てくる状況があります。

年数が経過したマンションでは、所有していた住人の高齢化が挙げられます。

免許を返納してマイカーを売却したりすると、駐車場が空くことになります。

また交通利便性の高い都市部であると、車を所有していても使用頻度が少なくなり、最近はレンタカーやカーシェアリングで済ませ、必ずしもマイカーを所有しない人も目立つようになりました。

それと、近年のミニバンブームやRV、SUVの流行で車高の高いマイカーを持つ人も増えており、古い機械式駐車場では高さ制限などの問題から機械式駐車場に搭載できないという物理的な制約も出てきています。

平面式であれば保守の必要はほとんどなく、区画や番号などの再塗装くらいで済みますが、機械式となると毎月の保守やメンテナンスに相応のコストがかかります。

循環式の機械式駐車場は点検やメンテナンス箇所が多いのが難点です。

点検だけでも1パレットあたり3000〜4000円程度かかり、破損や老朽化した部品が見つかれば、当然修繕費用もかかります。

見直し対策としては、既存の設備を継続使用するケースと、更新時期に合わせてスリム化するなどの方法が考えられます。

いずれにしても、「出費を減らす」ことと「入金を増やす」ことについて考える必要があります。

既存の駐車場を当面使用し続けていくとなると、撤去費用は不要なものの、一定の維持管理費用が発生し続けます。

この場合、メンテナンスの間隔を空けたり、保守契約をシンプルなサービスに変えたり、管理委託先をメーカー系から独立系の管理会社に替えたりするなどして、少しでも出費を抑える方法が考えられます。

機械式駐車場には車検制度のようなものはありませんが、安全性維持のため最低限の保守は必要で、その内容を見直すことになります。

一方、入金を増やすための方策として、マンションの居住者以外の人にも駐車場利用を認めることで、空き区画を減らす方法があります。

ただし、マンションの居住者以外に貸出を行うと営利事業となるため、所得に応じた納税義務が発生することになります。

駐車場収入は、税務上、区分所有者を優先する条件を設定している等のケースでは、外部貸しのみが課税対象となり区分所有者が支払う使用料は共済事業として非課税とする旨の国税庁の見解(「マンション管理組合が区分所有者以外の者へのマンション駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定について(照会)」(平成24年2月3日国住マ第43号)及びこれに対する回答(平成24年2月13日))が公表されています。

マンション外の人に駐車場を貸すことで「収益事業を行っている」とみなされ、法人税や事業税、地方法人特別税(一定の要件に該当する場合には消費税など)が課税されるようになります。

マンション敷地内に居住者以外の人が出入りできるようにすると、セキュリティ上あまり好ましくないという意見もあり、駐車場の外部への貸し出しは住民の合意が必要です。

しかし規模の大きいマンションでは収入を増やす有効な方法であるため、駐車場を外部に開放している事例もあります。

例えば、管理組合として、5台、10台を一括してサブリース会社に貸し出し、業者側で利用者を探してもらう形態を取るケースもあります。

機械式駐車場がある場合の修繕工事費積立金の加算額目安(1台当たり月額)は下記の通りです。

2段(ピット1段)昇降式 7,085円/台・月
3段(ピット2段)昇降式 6,040円/台・月
3段(ピット1段)昇降横行式 8,540円/台・月
2段(ピット2段)昇降横行式 14,165円/台・月

出典:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」

機械式駐車場の場合、一般的に20年程度で更新する必要があります。

この更新時期に合わせて、駐車規模を縮小したり、別の駐車方式に替えるなど、マンションの実情に合ったスリム化を図ることが大切になります。

平置きでも十分足りるのであれば、既存の機械式駐車設備を撤去して舗装し直し、白線を引くなどして再区画するのが、一番シンプルな更新方法です。

ただ平置きでは足りない場合、機械式駐車場の規模を見直し、導入コスト・維持管理コスト共に負担の少ない設備に更新します。

マンションには行政の「附置義務」があり、一定数の駐車場を確保しなくてはならない場合があり、勝手に台数を減らせないケースもあります。

役所に実情を伝え、相談・陳情することで、確保する駐車台数の減少が認められる場合があります。

その際、管理会社任せにせず、理事長や組合員も同席するなど“市民の困りごと”として相談することが、行政を動かす一因になったりするようです。

附置義務が現在の実情にそぐわないことを示せれば、台数緩和の余地はあります。

そもそも駐車場の更新は「共用部分の変更」となるため、重要事項決議として管理組合総会で戸数・議決権数それぞれの3/4以上の賛成による成立が必要になります。

ハードルが相当高いので、居住者間の合意形成が何よりも重要になってきます。

駐車場は分譲マンションの所有物となる設備のため、通常は維持管理費用を利用者だけで負担するのでなく、全所有者で按分(あんぶん)しています。

利用しない人の資産でもありますから、まずはアンケートを通じて、全戸の使用意向や要望を確認することが重要です。

他にも、撤去/更新/そのまま使用する場合の中長期的な費用負担を比べられるように図表化したり、複数の更新プランを示したり、相見積もりを取って費用の妥当性を明確にしたりするなど、透明性を高める取り組みがポイントになります。